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視覚障害者のシンボルとしての白杖の歴史は1921年に始まる。この時、怪我が原因で視覚を失った英国人男性のジェイムス・ビッグス(James Biggs)さんは、通行人や運転手からの反応が薄い黒い杖から白杖に持ち替えた。そして徐々に、全世界の視覚障害者が白杖を使うようになった。国際白杖日は1970年、国際盲人連盟(International Federation of the Blind)が制定。次第に運動に参加する国が増えていった。
こうした企業の1つが、モスクワの工場「エレクトロ」。20世紀中旬からスイッチ、ソケット、延長コードおよびその他の電化製品を製造している。工場ではおよそ350人が働いており、うち200人は18〜80歳の障害者。スプートニクにワレリー・モロジャエフ工場長が語った。
「会社の独自性は、全ての組立作業が100%、障害者の手で行われていることです。製造の自動化への切り替えも可能でしたが、そうなれば、障害者の人数を減らす必要があったでしょう。ですがこれはできません。あらゆる企業の目標は利益を得ることですが、私たちの目標は他に、障害者の雇用を維持することでもあるからです。一方で、私たちには税制上の優遇は一切ありません。私たちは市場で平等な条件にあり、こうした社会的負荷を持たない企業と競合しています。ですが、こうした条件下でさえ、私たちの製品は品質と価格でロシアだけでなく外国製品と競合できるばかりか、しばしば上回ります。」
視覚障害者の間で最もアクチュアルな仕事は職業としてのマッサージだ。スプートニクのインタビューで全ロシア盲人協会の視覚障害者雇用キュレーター、コンスタンティン・ラプシン氏はそう述べた。
「この職業は視覚障害者が望む職第1位だ。ロシアでは視覚障害者のマッサージ師訓練システムが機能している。国内の各地域に医療カレッジが13校ある。毎年およそ200人の視覚障害者が医学教育を受けた資格持ちのマッサージ師になる。2018年のデータによると、2千を超える視覚障害者がさまざまな機関で働いている。これは全ロシア盲人協会に加盟しており、高等または中等職業教育を受けた視覚障害者全体の30%超だ」
2014年、ロシアは全国障害者技能競技大会(アビリンピック)に参加。これは日本で生まれ、1972年から開催されている。1981年には東京で初めての国際大会が開かれた。現在、国際アビリンピック連盟(International Abilympic Federation)には46カ国が加盟している。第4回目ロシアアビリンピックは今年、11月20〜23日にかけてモスクワで開かれる。
「全世界で視覚障害者は、その手の特別な敏感さによって、一定の職業では健常者よりも多くを達成できることを示している」ロシア・アビリンピックのリディア・フロロワ会長がスプートニクに伝えた。
最後に全ロシア盲人協会付属の盲導犬訓練学校について少し。この学校はすでに60年近く続いている。ここでは経験豊富なインストラクターが同時に50匹近い犬を訓練する。訓練期間は半年。その後、犬は試験を受ける。試験を通った犬は特別な装備のセットとともに、視覚障害者に無償で引き渡される。
世界保健機関(WHO)は、世界には全盲の人がおよそ3600万人、弱視の人が2億5300人いると算出している。だがWHOは、2050年までに視覚障害者の数が3倍になると予測している。ロシアでは今日、登録された視覚障害者が21万8千人。うち全盲が10万3千人となっている。日本では様々な情報に基づくと、弱視が50万人以上で全盲が18万7千人ほど。