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ジャーナリストらが調べた文書から察するとこの取引はすでに4月の段階で英国政府の承認を得ており、軍事レーダーの供給の原則的な合意は今年1月末から2月初めにかけてのメイ首相の中国訪問時に達成されていた。メイ首相と中国の李 克強首相、習 近平国家主席の交渉の主目的は、二国間貿易の活発化および工業のコーポレーションの拡大の道を探ることにあった。メイ首相の訪問が首都北京ではなく、工業中心地に数えられる中国中央部の都市、武漢から開始されたことも決して偶然ではなかった。メイ首相は英国実業界の50人のリーダーから成る一大代表団を引き連れていた。これらのリーダーたちは世界第2の経済大国で自社のビジネス拡大を望んでいる。
米国の他の連合国らもトランプ氏の輸出制限の呼びかけに耳を傾けず、中国への軍民両用のプロダクトの供給を止めないこともありうる。この英国政府の決定は中国国内ではどう評価されているのだろうか?
「英国と中国の取引締結まではあらゆることが秤にかけられたはずだ。英国は中国の技術が一連の分野ですでにかなりのレベルに達していることを認識している。もし英国が中国に軍事レーダーを売らなかったとしても実際には何も変わらない。ただし取引がもう締結されたのであれば、利益を得ることは可能だ。」
そうなった場合、米国の進める国抑止政策はどうなるのだろうか? 世界のプレーヤーのほぼ全員が協力を望んでいる世界第2の経済大国に反対し、広範に徒党を組むことなど可能なのだろうか? これについてメイ氏はさらに次のように語っている。
もうひとつ、米国にとって寝耳に水となる可能性があるのが、無線測位における英中の専門家らの協力だ。先日、この分野で英国の第一人者に数えられるヒュー・グリフィッツ教授は中国から権威ある賞を受賞した。 (Outstanding Contribution Award for Chinese Radar International Development)中国の軍事開発者らは、量子レーダーのプロットタイプのフィールド試験にのぞんでおり、当然ながらこの技術の開発で中国は外国の専門家らとの知識交換を望んでいる。米国が協力の扉を閉めることにやっきになっているとしても英国製レーダーの供給がこうした形になったということは、状況は中国にとっては望み薄ではないことを示している。この結果、隅に立たされる者が出てくるとしたら、それは米国自身であろう。