サンクトペテルブルク絵画アカデミー学長「日本文化には美があり、余計なものがない」

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15日から17日にかけてサンクトペテルブルク国際文化フォーラムが開催されている。世界的なこのフォーラムには、100か国以上から3万人が参加している。フォーラムの開幕前スプートニクは、フォーラム組織委員会のメンバーであり、サンクトペテルブルク絵画・彫刻・建築アカデミーの学長でもあるセミョーン・ミハイロフスキー氏に独占インタビューを行なった。ミハイロフスキー氏は先月、日露間の文化交流に深く貢献したことで日本の外務大臣表彰を受けた。

スプートニク日本

スプートニク:あなたはロシアだけでなく国際的に活躍し、ロシア芸術を紹介する展覧会を世界各国で開催しています。こうした文化交流における課題とは何だとお考えですか。

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ミハイロフスキー氏:学生達にとって海外を訪れ現地の美術館を訪れて視界を広げたり、同世代の人や仲間と交流することは非常に大事だと確信しています。我々のアカデミーは創立260年を迎え、伝統を継承するとともに、多くの学校、文化人、研究機関と良好な関係を築いています。現代においてこれが特に大事なのは、政治経済の分野で多くの問題が存在し、ある国がある国に敵対しバリアーを張ったり、多くの相違する見解が対立しあっている今の時代、まさに文化こそが異なる国々の人々を一つにし、共通点を見出し、世界に調和と喜びをもたらしてくれるからです。

スプートニク:先月、日本とロシアの友好親善に寄与したということで日本の外務大臣表彰を受けられましたね。これについて詳しく教えてください。

ミハイロフスキー氏:2011年に東日本大震災が起こったとき、ペテルブルクの総領事に電話して、被害にあった県にお住まいの若い方々を助ける用意があると提案しました。我々のアカデミーに、無償で被災地からの学生を受け入れると発表したところ、山口恵都さんが来ることになりました。彼女は版画学科でもう長期間学んでいて、我々はこの数年の中で、彼女を外国人学生だと捉えなくなりました。山口さんは何度か個展も開きましたし、現在は卒業制作に取り組んでいます。彼女の成功が嬉しいですし、アカデミーで人種や宗教、政治的姿勢、様々なものが違う色々な人が学んでいることを誇りに思います。重要なのは学びたいという意欲と才能です。だからこそ39か国から350人以上もの留学生が在籍しているのでしょう。

© 写真 : Imperial Academy of Arts福島正則とセミョーン・ミハイロフスキー
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スプートニク:昨年の国際文化フォーラムでは、あなたのイニシアティブで武蔵野美術大との協力協定が結ばれました。この協定の結果と、日本に対する印象を教えてください。

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ミハイロフスキー氏:武蔵野美大とは、双方の学生が参加する共同プロジェクトを行いました。今年2月にはペテルブルクの展覧会ホールで大規模な展覧会「克服」を開き、武蔵野美大、多摩美大の学生の作品、そして並行して我々のアカデミーの学生の作品も展示されました。日本には数回行きました。最初は、外国人には理解するのが難しい国だと思いましたが、多くの方と話し、日本文化の深淵に触れるうち、徐々に日本の心を理解し始めているような気がします。何よりも驚いたのは日本人の礼儀正しさ、繊細さ、親切さです。私はよく外国へ行きますが、日本のような辛抱強くて親切なタクシー運転手を、他の国で見たことがありません。そして余計なものが存在していません。美はありますが、そこに余計なものがないのです。ここから、ミニマリズムが特徴の日本建築が来ているのでしょうね。例えば安藤忠雄氏の設計だけを見ても、日本の建築は素晴らしいとわかります。東京で彼の展覧会に行きましたが、彼の建築には伝統的な日本の心がありながら、同時に非常に現代的でもあります。

スプートニク:フォーラムの開催にあたり、サンクトペテルブルクの文化遺産をどう評価しますか。

ミハイロフスキー氏:サンクトペテルブルクは文化遺産という視点では素晴らしい町で、現代人ではなく前世代の人々によって築かれました。我々はこれを保護し支援しなければいけません。他方で、町は発展しなければいけないし、住人に快適なものである必要があります。ですから過去・現在・未来をひとつの町の枠の中でうまく調和させ、新しいアイデアや新しい精神で、この空間を満たす必要があると思います。

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