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今季のGPファイナルの出場選手は非常に特徴的だ。女子シングルではGPで2度優勝のメドベージェワ選手は参加しない。代わりにロシアからは、3年間の沈黙を破って脚光を浴びるエリザベータ・トゥクタミシェワ選手と今年シニアデビューのソフィア・サモドゥロワ選手が出場する。
男子では構成が大きく変化した。11月29日、羽生選手のGP欠場が明らかになった。日本スケート連盟は、羽生選手が右足首の治療中で、リハビリにはさらに1ヶ月ほどを要すると発表した。
つまり、12月6〜9日にカナダ・バンクーバーで開催するファイナル棄権は確実。羽生選手が負傷したのは、GPロシア大会フリー直前にモスクワで行った午前中のトレーニング中だった。4回転ループの着氷で大きく失敗。医師は前下脛腓靭帯と三角靭帯の損傷、腓骨筋腱損傷の疑いと診断した。
強い痛みを押して羽生選手はフリーに出場。不運なループジャンプなどを除き、内容のわずかな簡略化にとどまった。結果、羽生選手はロシア大会で優勝し、堂々のファイナル出場となった。授賞式には松葉杖を付いて姿を見せた。
オーサーコーチは記者団に「結弦が転倒した時、まずいとすぐ理解した。羽生との仕事と彼のモスクワでの演技については総じて、こう言える。彼は出来ることを全て行った。羽生はエフゲニー・プルシェンコをとても称賛している。彼はプルシェンコに強い敬意を抱いているため、出場見送りはできなかったし、怪我をおしての滑りで最良の形態でプログラムを演じようと戦った」と述べた。
こうしたヒロイズムは、観客、そしてプルシェンコ氏の当然の賛嘆をもたらした。「君をとても誇りに思う。残念ながら、君を観るためにあそこにいることはできなかった。一日も早い回復を祈っている。僕の友達、ユヅさん」とプルシェンコ氏はインスタグラムに投稿した。
だがこの偉業が羽生選手の以前から問題だった怪我を深刻にした可能性も除外されない。GPファイナルに羽生選手の代わりに出場するのは、キーガン・メッシング選手(カナダ)だ。12月21日、ロシア選手権と同日開幕する全日本選手権への出場も不確定だ。
国内の選手権では通常、世界選手権など国際大会で日本を代表する選手が決まる。だが羽生選手は全く競争に脅かされていない。羽生選手が全快すれば、選抜なしに大会に出場することは確実だ。そのため、23歳の若きアスリートにとって今大切なことは、安静を保ち、順調に怪我を治すことだ。
オーサーコーチは先に、選手権が重なるため、応援できるのは羽生選手だけになると明かしていた。「残念ながら、日本とロシアの選手権が同時開催のため、仕事の最初のうちにジェーニャ(メドベージェワ選手の愛称)に、重なれば結弦と行くと伝えた。彼とはすでに7シーズン協力しているからだ。」
だが今、全てが変わる可能性がある。メドベージェワ選手をサランスクで待ち受けるのは前述のトゥクタミシェワ、サモドゥロワ、五輪優勝者のアリーナ・ザギトワ、高難易度の技を示すスタニスラワ・コンスタンチノワ選手ら、そして4回転ルッツを決めた2人の天才的なジュニア選手のアレクサンドラ・トゥルソワとアンナ・シェルバコワだ。
新テクニックへの移行や精神的な問題が原因で大きなミスを定期的に犯すメドベージェワ選手が、こうした選手らを相手に何位を獲得するか、予測は難しい。
メドベージェワ選手は今季まだ一度も優勝していない。カナダで開かれたシーズン前の大会「オータムクラシック」では2位、GP第2戦カナダ大会では3位となった。
コーチの応援がある程度の役割を果たして、メドベージェワ選手は今季初めてのノーミスを見せるかもしれない。
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