川端康成生誕120周年 ロシア人は川端文学をこう読む、こう愛す

© AP Photo川端康成
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6月11日は日本初のノーベル賞受賞作家、川端康成の生誕120年。1968年、川端康成は「日本的思考の真髄を伝える執筆技能」を讃えられ、最高の賞を授与された。ロシアの読者や文芸評論家たちは、川端の作品を高く評価した。インターネット上のロシア人の論評には、川端作品によって日本の美しさを見出し、この驚くべき国の人の心をよりよく理解することができると書かれている。作家が自身について「美しい日本の私」と言っただけのことはある。

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1970年の旧ソ連で出版された初の『川端選集』の序文は、「誌的な散文や高い技巧力、自然や人間、民族芸術の伝統を大事にしようとする人文主義的な思考。このすべてが相まって、川端作品を日本文学や世界の言語芸術における最高の文学にたらしめている。」

川端作品はロシアでは未だに定期的に出版されて続けている。今年2019年には、川端の15冊の選集が出版される予定だ。 

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川端作品に出会った人たちはネット上で感想を交換し合っている。その様子をすこし紹介しよう。

『山の音』を読み終えた。とても難しく、重たいテーマが作家から提起された。男性と女性の関係が誇張なく描かれている。誰もが裏切りと破滅を知っているが、しかし、なにも起こっていないようなふりをしている。そして、それぞれが心の中で地獄を抱えている。しかし、これこそが、運命に直面した際の日本人の従順さなのではないだろうか。運命の重みとは、己だけが苦しみを背負い、すべて雄々しく引き受けていかねばならないのだ。」 

『伊豆の踊子』は、初恋についての感動的な物語。この作品にはすべてがある。ただし未来以外は。愛はいたいけな踊り子と若い学生の心をかき乱したが、事態はふたりを勝り、やがて彼らは離れ離れとなる。主人公たちにはなんとかして隠れ家を見つけ出してほしい。そこで2人が息をついて、過去の重荷を振り払い、そして、ほんとうにいとおしく、愛すべき人と世界を共有してほしいと思えてならなかった。」

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『名人』は、囲碁の対局を通じて古い時代と新しい時代の対立を描いたすばらしい作品。川端自身は実際に展開される囲碁の対局のコメンテイターとして登場している。この本は、私の心を捕らえ魅了した。囲碁、それは緊迫した闘いであり、ある人にとって人生そのものなのだ。」

『バッタと鈴虫』を読みながら、川端が日本の魂の本質をこれほどの説得力で詳らかにしたことに感服した。日本人の人生観と人間関係についての考え方は、何世紀にもわたる伝統のプリズムを通して形成されたものだ。近しい者同士の関係でさえ極めて含蓄がある。しかしながら、日本人の自然観とはなんと繊細なのだろうか。ロシア人は、母なる大地に触れると体が喜びにみなぎり、その歓喜は様々な感情の激しいうねりとなって表現されるが、日本人の場合、喜びの表現は密やかで、それに魂の動きが映し出されている。」

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