展覧会には竹澤氏がさまざまな時期に描いたさまざまなジャンルの16作品が展示されている。これらの作品はロシアでの展覧会のために特別に集められた作品であり、これまでに一般に公開されたことのない作品である。いくつかの作品については、その風景やテーマの何に惹きつけられたのかを竹澤美知代氏が説明した。しかし、展覧会初日の6月25日の来場者にとって最も大きなサプライズとなったのは、白黒の墨絵の制作が来場者の目の前で披露されたことである。竹澤美知代氏はスプートニクのインタビューで、墨絵を始めたきっかけや、この芸術を習得する方法について語ってくれた。
スプートニク:とてもプロフェッショナルな作品です。墨絵は昔から描いていたのですか?
竹澤美知代さん:50歳からです。水墨画の前は泳いでいました。教えていました。病気になって、ちょっと運動が難しくなり、これだったら机の上でもできるなくらいの感じで、深く考えずにこの世界に入りました。私は水墨、墨で描くというのがまったく分からなくて、いろいろな先生を見てまわり、良い先生にめぐりあえて、指導を受けました。墨のすり方もまるで分からないところからスタートしました。こういう白い紙に墨で書くということは、私は墨というのは黒だとしか思っていなかったんですが、墨でもいろいろな表現ができるんだということを知ったら、すごく楽しくて、寝るのも忘れるくらいに描きまくりました。
竹澤さんは2013年以降、モスクワのジャパンハウスの墨絵教室で客員絵師をつとめている。墨絵教室はジャパンハウスの文化センターで最も古くからあるメインプロジェクトのひとつである。墨絵教室のカリキュラムは日本の墨絵画家が作ったものを、ロシア人受講者向けにアレンジしたものである。竹澤さんには「古い」教え子から新しい教え子まで、ロシアにたくさんの教え子がいる。彼女の「古い」教え子たちは、すでに自分が講師となってワークショップを行い、展覧会にも出展している。彼らによると、竹澤さんにかかれば、象さえも描けるようになるという。
竹澤美知代さん: ロシアと日本の交流ということで、たまたま私が所属しているグループから話があり、ロシアにそういう人たちがいるのであれば是非と思って来ました。生徒は多いです。皆さん、とても熱心で、すばらしいと思います。墨絵は気持ちがあれば、墨に興味があれば、誰でもできます。まったく興味がなければ無理ですが、墨に何かしらの興味があれば、その人は伸びていきます。練習もしますから。今の私があるのは努力のおかげだと思います。同じテーマを何回も何回もくりかえし描くことによって覚えるんです。その積み重ね。私はそう思っています。だから、才能とかそういうものはあまり関係ないと思う。その人の努力次第だと思います。
竹澤さんのロシアの教え子はスプートニクに対して、先生には墨絵の授業だけでなく、平静さや目標に対する粘り強さの手本を見せてもらえたことに感謝していると語った。ちなみに、今では和紙や筆などの墨絵のための道具はロシアでも自由に購入することができる。