多くの中小企業は立場が弱く、元請けからの値下げ「圧力」に逆らいにくい。増税分を納入価格に反映できず、下請けが身銭を切って負担する現状は少なくない。
日本商工会議所の調査によれば、税率10%への引き上げの一部または全部を、価格に転嫁できないと答えた中小企業の割合は計32.1%に達した。売り上げ規模が小さいほど転嫁できない傾向にある。
一方、中小企業庁は13年10月から2019年7月末までに、6469社を立ち入り調査し、4943社を指導した。そのうち「買いたたき」は4524件を占め、担当者は「特に前回の増税前に横行した。今回もしっかりと監視したい」と話す。
ただし、価格転嫁の拒否を取り締まる法律はあるものの、元請けとは口頭で交渉することも多く、「価格交渉で『消費税』という言葉を使わない」(墨田区印刷業、80代男性)ため、証拠づけるのは難しいと見られている。