過去25年で最大規模 NATOの欧州軍事演習 ロシアは危険視すべきか?

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欧米はNATO加盟及びパートナー国18か国から4万人近くの兵士が参加する史上最大規模の多国籍軍事演習「 Defender Europе 2020」を準備している。米国はこれに重量型の軍事機器とともに実に25年ぶりに2万人の兵士を送り込む。

実施はいつ、どこで

軍事演習への準備はすでに開始されたが、さらに数週間が必要とされている。マヌーバ、演習戦闘は3月から4月にかけての時期に開始され、5月末まで続く。移送ルート、マヌーバが通るのはバルト三国、ポーランド、グルジアをはじめとする10か国の領域。演習で重要な役割がふられているのはドイツで、この国がすべての軍事キャンペーンのロジスティックス・ハブとなる。演習が終了すると軍部隊、軍事機器は常時配置に戻り、演習参加国、NATO加盟国の軍指導部は結果の分析に取り掛かる。

潜水艦 - Sputnik 日本
米国は軍拡競争でロシアに遅れをとっている=フォーブス誌
目的と課題

NATOのストルテンベルグ事務総長は軍事演習の目的を有事の際のNATO加盟国の防衛に備え、米国と共に戦闘行為の新たな戦略を構築することと定義した。このために演習参加国らに与えられた課題とは、多様な国の軍隊間の相互行動を練る、多国籍軍部隊の統制を協調する、長距離の部隊配置換えを構築する、戦闘作戦での新たな戦略、軍事機器をテストすることだ。今回は米国の「マルチドメインバトル(多次元戦闘構想)」を欧州で初めて試すというシリアスな演習になる。これは陸海空の従来の戦争手段に加え、サイバー部隊、宇宙軍など新たな要素を加えた戦闘を想定したものだ。

シナリオと「仮の」お話

NATO事務総長の声明では、演習は具体的な敵国を想定したものではなく、一定のシナリオに沿って仮想敵国を相手に行われることになってはいるが、防衛シナリオの他にNATO軍は攻撃作戦も策定する。ラトビア、リトアニア、グルジアで予定されている空挺部隊の同時降下訓練の実施もそうだ。空挺部隊には仮想敵国の軍事空港を占拠し、主力部隊の到来までその状態を維持する課題が与えられている。話の上では、演習でNATOは東ヨーロッパで、同等の戦闘能力を有する仮想敵国を相手にすることになっている。

このシナリオの描写で、東ヨーロッパで唯一当てはまる仮想敵国はロシア。しかもロシアの国境近くでこれだけ大規模な演習が展開されるという事実自体、ロシア側では非友好的なアプローチだと受け止められかねない。

リスクと脅威

今回の軍事演習はロシアに何らかの脅威をもたらすのだろうか? これについてモスクワ国際関係大学、軍事政治調査センターの上級専門家ミハイル・アレクサンドロフ氏は次のように語っている。

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米誌 ロシアの重火力投射システム「ソンツェペク」の危険性を説明
 「ロシアに脅威をもたらすことは間違いない。NATOは計画的にロシアとの国境付近に軍事プレゼンスを拡大しており、これはNATO事態の義務に違反している。ロシアとの国境には軍事基地が数を増やし、人員のローテーションが順次行われている。つまりロシアとの戦争が開始された場合に軍部隊の移動を迅速に図るインフラが整備されているということだ。演習の主目的が米兵の欧州への移動の構築とローカルコンディションへの適応にあるというのは偶然ではない。米国が第2艦隊の作戦能力を回復させたのも北大西洋でロシアを抑止するのがその目的だった。もちろん軍事紛争など何もないところから急に勃発するよしもないが、それでも露米間にはウクライナだ、シリアだ、北極海航路だのと軋轢の場所は少なくない。不運な偶発が衝突に発展し、それが紛争にもつれ込めば全面的な戦争が始まる恐れもある。こうしたシナリオは当然、回避しなければならないのだが、だからといってこれに備えないでいいというわけではない…。」

政治軍事分析研究所のアレクサンドル・フラムイヒン副所長の見解はこうだ。

「偶然か否かはわからないが、軍事演習の最も活発な段階はちょうどロシアが対ナチス独戦の戦勝75周年を祝う時期と一致している。おそらくこれも一種の挑戦状なのだろう。だが似たような演習はロシアでも実施されているし、規模もこれより5倍も大きい。だいたい世界では毎年多くの演習が様々な地域で行われており、参加する国も軍隊も様々だ。それに比較的にロシアの国境に近い場所で演習が行われるのもこれが初めてではない。相手側は事前に通知を行っており、これが国家安全保障に脅威となるとする根拠はないと思う。」

2月4日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はNATOの軍事演習はロシアに大きな憂慮を呼ぶものであり、ロシアはこれに不必要なリスクを起こさず、反応を示していくという声明を表している。

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