HIDE×HIDEは、ロシアの6都市で計6回のコンサートを行った。コンサートのタイトルは「西と東の出会い」。各コンサートでサプライズが用意された。
HIDE×HIDEがロシアツアーを行うのは今回で3回目。だが訪露は21回目だ。2008年の最初の訪問で、HIDE×HIDEはロシアの有名な作曲家、故・ミカエル・タリヴェルディエフの作品と出会い、同氏の未亡人の同意を得て、タリヴェルディエフの作品のアレンジを収録したアルバム『nostalgia』を制作した。2009年には、ロシアの諜報員マクシム・イサエフを描いたテレビドラマ『イサエフ』(全16回)のサウンドトラックをロシアで録音した。2010年にはサンクトペテルブルクで開催された国際コンクール「Crossover Music」で第1位及び特別音楽賞を獲得した。2011年には、東日本大震災の発生を受けてロシアツアー中止の問題が生じたが、それでもロシアを訪れ、コンサートの収益を、被害者を支援するための基金に寄付した。HIDE×HIDEはその時、日本で起こった不幸に対するロシア人たちの反応に深く感動したという。
今回のツアーは、多様性に富んでいた。2月29日にベルゴロドで行われたコンサートでは、地元の交響楽団と共演した。ヴォログダ(3月4日)とソヴェツク(3月8日)で開かれたコンサートでは、ロシアの民族楽器オーケストラと共演した。カリーニングラード(3月7日)とペルミ(3月10日)で開催されたコンサートでは、ロシア在住の日本のオルガニスト、井上紘子さんとコラボした。3月2日にモスクワで行われたコンサートでは、モスクワ音楽院の邦楽アンサンブル「WA-ON」と共演し、大成功を収めた。観客は、黒うさPが作曲、作詞した『千本桜』の演奏に度肝を抜かれ、三味線と尺八、ピアノによる『黒い瞳』の演奏に魅了された。
日本の民族楽器は、外国の楽器や外国の音楽と調和するのだろうか?尾上秀樹さんは、次のように考えている-
「旋律や、楽器の形状などそれぞれの土壌などによる個性はありますが、音楽の根底に違いは無いのかもしれません。それぞれの国の音楽に魂が宿る気がしており、日本の楽器を通してその魂をぜひお客様にお伝えしたい。」
HIDE×HIDEとワキマル・ジュンイチさんへのインタビュー
スプートニク:初めてロシアを訪れた時から、何かロシアに変化はありましたか?
尾上秀樹さん:ものすごく変わっていると思います。細かく言うと、ヴェリーキー・ノヴゴロドという都市に2年続けて行かせていただいたのですが、日本料理店が一つもなかったのですが、今は寿司バーができていたり、町がどんどんオシャレに、きれいになっているという印象があります。
ワキマル・ジュンイチさん:やはり日本の音楽というのはいろいろ脈々とずっとあったんですけど、西洋の音楽が輸入されたというのは、ここ100年とか、それぐらいですよね。やはり僕はロシアに来て思うのは、自分がクラシックの作曲を勉強したというのもあるんですけど、小さい子どもたちも、年老いた老若男女といったそういう方々も、皆さん性別を問わず、もともとロシアは音楽の歴史があるので、皆さんがHIDE×HIDEの音楽を聴くときに、音楽を「血」で聴いてくださっているという印象があります。文化が根付いて、それをこうして理解してくださっているんだなということを、すごく嬉しく思っています。
HIDE×HIDEのロシアツアーは、日本大使館と国際交流基金の後援で2月29日から3月10日まで続いた。ツアーは、2020年から2021年にかけて開催の「日露地域・姉妹都市交流年」の公式事業に含まれている。
HIDE×HIDEの演奏による『nostalgia』と名付けられたミカエル・タリヴェルディエフの『遠い祖国の歌』のビデオクリップ。