今回のコンクールの参加者は2つのテーマからいずれか1つを選択するよう求められた。出題されたテーマは、「『日本のこと』で、『あなたの国』に伝えたいこと、は何ですか?」と「『あなたの国のこと』で、『日本人』に知ってもらいたいこと、は何ですか?」だった。コンクールの1等賞には、ベトナムのチャン・トゥー・チャンさんとミャンマーのレイレイピューさんの2人が選ばれた。2等賞は、中国、台湾、エジプト、ポーランド出身の4人と、キルギスの首都ビシュケク在住のロシア人ガリーナ・ヴォロビヨワさん(71)ら計5人が受賞した。ヴォロビヨワさんはビシュケク国立大学の元助教授で博士、また、キルギス共和国日本語教師会のメンバーでもある。
ヴォロビヨワさんが日本語の勉強をはじめたのは46歳の時。ヴォロビヨワさんと夫はロシア中部の都市エカテリンブルク(当時はスヴェルドロフスク)の数学・工学研究所で働いていた。1974年に夫妻は休暇を使ってキルギスを訪れたが、この国の美しさと自然に心を奪われ、当時ソ連の一部であったこの共和国に移り住むことにした。1995年、ヴォロビヨワさんはキルギス・日本センターの日本語の4年コースを受講することにした。コース終了後、彼女はこのコースで日本語を教えることになった。それから数年後、ガリーナさんはキルギス共和国日本語教師会の会長になった。また、キルギス国立大学の日本語学科で助教授として教鞭をとった。2005年にヴォロビヨワ夫妻は、教材『漢字物語』を執筆し、漢字の歴史や正しい書き方、構成要素について分かりやすく解説した。また2014年、当時65歳だったヴォロビヨワさんは、東京の政策研究大学院大学博士号(論文博士、日本語教育研究)を取得した。
2017年には、言語学の伊藤広宣教授との共著で、著書『人生をかけた日本語教育-実戦と研究をつなぐ二人の対話』を出版した。
コンクールの2等賞、3等賞、努力賞の受賞者には6月30日までに学習奨励金と賞状が送られ、1等賞の表彰式は新型コロナウイルスの終息が宣言された後、開催される予定だという。表彰式は大森夫妻が暮らす東京のリタイヤメント・ホームで行われる。
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