ロバエフ氏はDXK-5プロジェクトについて情報公開はしていないが、これだけの長距離狙撃を可能にする、あるソリューションを採用しており、今後、より大きな口径の新たなカートリッジの使用が可能となると語っている。
長距離射撃
まず、一言で長距離狙撃ライフルの射程距離といってもその指標は、標的を正確に狙撃できる安定射程距離と、等身大の標的の狙撃が可能な最大距離を示した最長射程距離とに分かれる。
ロバエフ氏によれば、DXL-5の安定射程距離は3000メートルで、最長射程距離は6000から7000メートル。
新型ライフルの目的
第1は、敵スナイパー使用する狙撃銃の射程距離が自分との距離より短い場合。狙撃銃の多くは安定射程距離が700から1200メートル。
第2は、対戦車砲部隊や迫撃砲または重機関銃を発射する部隊を撃滅する場合。
第3は、さまざまな戦闘機器を撃破する場合。装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車、高射砲や軽装甲車両、運搬車両、一般車両、レーダー基地、ミサイル発射設備などがこれに該当する。対物用の大口径ライフルなら戦車の種類によっては撃破が可能。
スナイパーは、観測装置や照準器、車両に搭載された移動式レーダーなどの破壊も行う。レーダー機器の破壊は戦車を一時的に機能不全にさせ、好条件ではヘリコプターも撃ち落とすこともできる。
最長狙撃距離
最長狙撃距離は、輸出用ライフルの提供に力を入れる企業の売上増加にとって極めて大きな宣伝効果だ。より長いで安定射程距離で正確な射撃を成し得るライフル銃を製造したならば、製品が高品質であることを証明し、もっとも厳しい要件に応えたことを意味する。たとえば、ライフル銃「スムラク」は2つの記録を樹立している。はじめて記録を打ち立てた時には、4170メートル先の射撃用の標的(1メートル四方)を撃ち抜いた。2度目の記録達成時には、夜間用スコープを使用し、2000メートル先の標的(60センチ四方)に命中させた。
実際にDXL-5が7000メートル先の標的を撃ち抜いたなら、それは、ロシア製ライフルが世界のあらゆるメーカーを凌駕する高性能を有すという証明になる。
狙撃戦の新たなフォーマット
こうした達成は軍事的にも大きな意味をもつ。7000メートル先の対象を射抜く対物用ライフルの性能は、カウンタースナイパー戦を新たなレベルに押し上げる。敵のスナイパーは、相手との狙撃戦はいうまでもなく、自分の敵を見つけることすらできない。
夜間に2000から3000メートル、またそれ以上の距離で正確な射撃が実現できれば、敵はこちらを位置を知るための赤外線カメラを有効に使用できないため、軍事衝突の約70%を占める夜間戦闘の上で非常に有利となる。
軍事用赤外線監視カメラ(双眼鏡や眼鏡)の可視距離は最大3000メートル、赤外線スコープは最大1000から1300メートル。スナイパーはサーモカモフラージュを使用することで、自らの視認性を急激に低下させることが可能だ。赤外線カメラは、北大西洋条約機構(NATO)各国と米国同盟国の軍隊の地上戦における最大のメリットとされているが、その優位点を長距離狙撃ライフルはなし崩していくことが可能だ。
長距離狙撃ライフルは4000から5000メートルの距離から大口径および貫通型の砲弾を射撃することにより、敵の大砲や機関銃の射程距離外から敵の単独スナイパーや狙撃部隊を攻撃し、装甲車両を機能不全にすることができるからだ。
このように、大口径の狙撃用ライフルの射程距離が伸びることで地上戦の様相が変わり、大きなメリットを得ることとなる。
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