入手困難ミリメシ試食会!ロシア軍兵士のお食事 、そのお味とは?

© 徳山あすかГлавное фото дегустация
Главное фото дегустация  - Sputnik 日本
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筆者はある日、秘密のルートからロシア軍のレーション、いわゆる「ミリメシ」を手に入れた。せっかくなので試食会をしようと思いFacebookでモスクワ在住の日本人の皆さんを対象に希望者を募ったところ、思いがけず多くの参加希望があり、5人のゲストが集まったところで早々に募集を締め切った。果たしてロシア軍の兵士は、どんなものを食べているのか?その味を詳細にお伝えする。

レーションは持ち運びが楽なように、一人の兵士の1日分の食料がギッチリと大きな箱に入っている。星のマークが入った箱の表面には「ロシア軍」「非売品」と書いてある。箱の側面には「メニュー1」と書いてあり、全部で1から7まであるようだ。つまり、筆者はたまたまメニュー1を手に入れたが、ほかのメニューにあたれば別の料理が入っているということになる。我々はすべてのメニューを10段階で評価することにした。

© 徳山あすか皆さん興味津々で撮影会
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皆さん興味津々で撮影会

中には、色々な前菜、朝昼晩のメイン料理3品、デザート、紅茶、コーヒー、水に溶かすタイプのジュース、チョコレートなど、色々なものが入っている。どこでも温かい料理が食べられるよう、固形燃料とマッチ、燃料を置くための簡易台もついている。ビタミンを補給するためのサプリメント、水を消毒して飲み水にするための錠剤、お手拭き(6袋もある)など、至れり尽くせりだ。ロシアのウェットティッシュは香料がきついものがあるが、このお手拭きは無臭で、使いやすかった。

© 徳山あすか中身を取り出して並べてみた!
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中身を取り出して並べてみた!

砂糖、塩、こしょうといった調味料もあり、我々がビックリしたのは砂糖の大きさだ。1パックに20グラムも入っていて、全部で3パック(朝昼晩?)もあるので、合計60グラムだ。一体何に使うのか?もしかしたら紅茶に入れるのか?それにしてもすごい量である。ちなみに、ロシアのバーガーキングでもらえるスティックタイプの砂糖は3グラムである。

© 徳山あすか特大サイズの砂糖パック。手のひらに収まりきらない
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特大サイズの砂糖パック。手のひらに収まりきらない

まずは固形燃料を使い「牛肉とグリーンピースとニンジン」を温めることにした。少しフタを開けておこうとしたのだが、フタがかなり固い。燃料に火をつけると、ものすごい勢いで燃え出した。どうも本来は屋外用らしい。あっという間に料理が温まり、吹きこぼれてきたので、あわてて火から下ろした。肉はちょっと油っぽくて味が濃いが普通に美味しく、グリーンピースのフレッシュ感がとてもいい味を出している。グリーンピース嫌いの筆者も、このグリーンピースなら食べられると思ったほどだ。ニンジンはあるかないかほとんどわからなかった。

© 徳山あすか料理を温める。思いのほか火力が強い
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料理を温める。思いのほか火力が強い

火力が強すぎて勢いがおさまらないので、この流れでメイン料理2品目も温めることにした。「鶏肉とご飯」だ。組み合わせからして間違いはない。開けてみるとまるで離乳食のようで、米の原形を全くとどめていない。見た目は食欲をそそる感じではないが、香りは良い。味は好評で、「味のバランスが良い」「なんだか懐かしい味」との感想が聞かれた。火力の調整ができないので、底の方がちょっと焦げた。すると「おこげ」はとても美味しいことがわかった。

© 徳山あすか左「鶏肉とご飯」、右「牛肉とグリーンピースとニンジン」
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左「鶏肉とご飯」、右「牛肉とグリーンピースとニンジン」

メイン料理を続けて2品食べてしまったので、我々はここで前菜にシフトすることにした。まずはクラッカーだ。白っぽいクラッカーと全粒粉クラッカーの2種類で、どちらもクラッカー自体にしっかりと味がついている。白い方は濃い乾パンのような感じだ。

レセプション - Sputnik 日本
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ディップして食べようと「カバチキのイクラ」を開けてみた。と言っても赤い粒状のイクラとは何の関係もない。ズッキーニに似た黄緑色の野菜「カバチキ」をペースト状にしたもので、ロシアではどこのスーパーでも買えるほどメジャーな保存食だ。野菜の味が感じられて普通に美味しかったが、クラッカーにのせるとクラッカーの味が強すぎて、野菜の味が負ける。クラッカーなしで食べた方が良いことがわかった。

乳製品を愛するロシア人のためにチーズがついている。チーズの味は割とあっさりめ。これを味の濃いクラッカーと一緒に食べると、バランスが取れる。更にディップ用としてパテが2種類ある。鶏レバーのパテと、牛と鶏のミックスのパテだ。鶏レバーの方は一切の混じり気がない、「これぞ本物のレバー」という味で、レバー好きにはたまらない。ゲストからは「重い赤ワインに合うかも!」との声が聞かれた。ミックスの方は「食べやすい感じ」「居酒屋のレバー焼きに似てるね」と、こちらも好評だった。

ここまではサプライズもなく、わりと順調だった。しかしこれを開けた瞬間「来た!」と誰もが思った。豚肉の脂、いわゆる「サーロ」である。正確に言うと、もともとカタマリだったものを、食べやすく賽の目状に切ってある。容器は手のひらサイズでボリュームは決して多くはないのだが、これ一つで815カロリーもある。味は思ったより繊細で、しっかりとした塩気が感じられながらも、まろやかだ。我々は「あっさり系のしょうゆラーメンに入れたらとんこつ風になって絶対美味しいね」と話していたが、これ単体でリピートするのは厳しいという意見で一致した。

© 徳山あすかサーロ。見た目に反して味は繊細
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サーロ。見た目に反して味は繊細

最後に残ったメイン料理は、牛肉だ。贅沢なことに、どーんとカタマリが入っていた。説明書きによると、これは昼に食べるものだそうだ。食感はプルプルしていて、やわらかい。付属品のプラスチックナイフとフォークで難なく切れるほどだ。味はしっかりしていて、高級なコンビーフに少し似ている。

© 徳山あすか牛肉のカタマリ。やわらかく食べやすい
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牛肉のカタマリ。やわらかく食べやすい

野菜 - Sputnik 日本
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おかず系が終了したところで、いよいよデザートだ。りんごピューレと、りんごのポヴィドロというりんごづくし。ポヴィドロというのは、グミとジャムの間のような食感のお菓子で、そのまま食べてもいいし、何かに塗ってもいい。グミ好きの筆者はポヴィドロの方が好きだが、ゲストにはピューレの方が好評で、「口直しにいいね」「ほっとするデザート」「凍らせたらもっと美味しい」との声があがった。確かに、しっかり味の料理ばかりなので、りんごのやさしい甘さがじんわりと身体に染みいる。

ロシアっぽさを感じさせるのが、クロスグリの粉ジュースだ。粉がガチガチに固まっているので、水に溶けるのか?と疑わしかったが、ちゃんと溶けた。大人のロシア人にこの話をすると一様に「懐かしい!」「子どもの頃よく飲んだ」という反応が返ってきた。

審査の結果、予想通り「鶏肉とご飯」が最高点の8点を獲得した。全体的には「航空食とか宇宙食と比べると断然美味しい」「カロリーが高い」「味が濃い」「身体を酷使する人向けだね」「20代男子ならいいけど、アラフォーにはキツい…」などの感想が出た。意外にもロシア人のソウルフードであるじゃがいもがどこにもなかったが、もしかしたら別のメニューに入っていたのかもしれない。我々は「思ったより美味しかった」という意見で一致し、総合点を10点満点で7.5点にした。今後も機会があれば、ロシアの珍しい食べ物をご紹介したいと思う。

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