中国と米国が完全に分離する日は来るのか?

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中国と米国が協力関係を停止した場合、両国はともに大きな経済的損失を受けることになるだろう。そして中国は、既存のシステムとは相容れない、独自の決済、金融システムを確立するだろう。キッシンジャー研究所、ウィルソン・センターのロバート・デイリー研究員はこのような見方を示している。デイリー氏はまた、事態がもっとも過激なシナリオで進展した場合、中国と米国はそれぞれの技術標準のみに従うことになると指摘し、これは、統一された国際的な金融および技術のシステムが存在しなくなることを意味するとしている。

20世紀後半、米国は世界の経済大国、技術大国としての自らの地位をより強固なものにした。国際的な決済の主要通貨をドルのみとする国際金融システムが確立され、世界銀行や国際通貨基金など、経済発展のための主要な機関の本部はワシントンに置かれている。米国は、自国の技術を基礎とする国際的なインターネット網の普及から、マイクロエレクトロニクスに至るまで、長年にわたり、世界の技術革新の牽引力となってきた。1970年代以降、加盟各国の発明の保護を目的とする特許協力条約が機能し始めてから2019年まで、米国は特許件数で常に1位を占めてきた。そしてソ連邦崩壊後、米国には国際政治の舞台におけるライバルも存在しなくなった。こうして、米国を中心とした政治、経済、技術における世界秩序が確立されたのである。

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しかしその後、長年にわたって、「目立たないようにする」という鄧小平の金言を守り続けてきた中国が、国際舞台でより大きな野望を見せるようになってきた。中国は第2の経済大国となり、アナリストらは、独自の試算に基づき、中国が現在のような成長を続け、米国の経済がマイナス成長から抜け出せなかった場合、中国は2028年には米国に追いつき、最大の経済大国になるだろうとの見方を示している。実際、多くの技術分野で、中国は米国を追い抜いている。そして2019年、中国は特許申請の数で世界1位となった。5G(第5世代移動通信システム)、コンピュータ・ビジョン、機械学習、スマートシティといった分野で、中国は変わることなく上位につけている。

また現在、国連では、食料農業機関、国際民間航空機関、国際電気通信連合、国際連合経済社会局という4つの特別機関を中国の代表が率いている。標準化のための国際機関における中国の代表部も徐々に存在度を拡大している。そして、中国企業は、これまで米国企業がリードしてきた分野を含め、世界の市場を席捲するようになってきた。2020年の初頭、ダウンロード数がもっとも多かったアプリは米国のフェイスブックではなく、ティックトックであった。また50以上の通信事業者が、ファーウェイの機器なくしては活動できない状況となっている。さらに2020年上半期、中国企業が誘致した金融株投資は、世界のほぼ半数を占める。

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一方、米国の中国に対する制裁の内容を分析すると、それらがちょうど中国が世界で重要な位置を占めている分野を対象としたものであることが分かる。中国は世界最大の輸出国であり、米国は中国製品に対する関税を発動した。中国のハイテク企業は世界の市場を網羅しており、米国はまさにこの分野で制裁を加えているのである。また米市場への中国企業のIPO(新規株式公開)が記録的な数となっていることから、米国は中国企業の上場を規制するため、IPOルールを厳格化している。対中国制裁の根拠については、公式的には異なるさまざまなものが挙げられている。しかし、米政府は総じて、中国が米国にとって脅威となりつつある分野で中国に圧力をかけているのである。

ロバート・デイリー氏によれば、中国は米国との対立、米国との決別を望んでいない。しかし、もし今後さらに状況が悪化すれば、中国も宣戦布告を受け入れることになると指摘する。そうなれば、中国は既存の国際金融システムに代わる独自の決済システム、独自のエコシステムを作り、技術標準を制定することになる。そして、世界には二極化が生まれ、世界の国々はこの2つの社会経済および技術発展モデルのどちらを選ぶのかという選択を迫られることになるのである。

これについて、スプートニクの取材に応じた中国現代国際関係研究院の専門家、チェン・フェンイン氏は、中国は新たな世界秩序の構築を目指していたわけでも、世界での孤立を望んでいたわけでもないが、米国の行動によって、自国を守り、報復措置を取らざるを得なくなったと説明する。

「ここにあるのは、二極化の追求ではなく、保護的な根拠が強いと思われます。ファーウェイは、独自のエコシステムKungpengの構築についても、自社を保護するための行動であり、決別に向かうためのものではないとしています。つまり、世界に2つのシステムが構築されたとしても、これは保護的な目的のものであり、分離を意味する訳ではないと思います。何れにしても、11月の大統領選でどのような結果が出るのかはまだ誰にも分かりませんし、時が答えを示してくれるでしょう。現在、多くの国が保護の立場を取っているという状況です。中国は分離を望んでいるわけではありません。世界は1つであり、分離することは不可能です。わたし個人的には、現在、世界秩序の再計画、再構築が進んでいるように思います。すべての国は互いを認めなければなりません。いずれにせよ、国際情勢は深刻な変化を遂げています。中国は依然として、グローバリゼーションの条件の下での国際協力を望んでいます。しかし、一定の独自のゲームを行うというのも、まったく普通のことです」。

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皮肉に聞こえるかもしれないが、米国が中国抑制の路線をとっているとすれば、それはもう遅すぎた感がある。もちろん、米国の制裁は短期的な展望では、中国企業の個々の発展をある程度、鈍化させることができるかもしれないし、ファーウェイも困難を抱え、バイトダンス社も深刻な打撃を受ける可能性はある。しかし、全体として、中国はすでに、もう一つのシステムを構築するのに十分なコンピテンシーを蓄積している。ファーウェイは、グーグル製品の使用禁止に対抗して、独自のオペレーション・システムとアプリストアを開発した。中国は世界に対し、独自の技術標準を提示し、基本技術New IPを提案した。そして中国は人工知能の使用、個人データの保護、サイバー空間の管理などに積極的に参加する用意がある。また最近、中国の王毅外相は世界のデジタル安全保障とデータ保護のための8項目から成る中国の提案を発表した。つまり、近い将来米国は、いかにして中国を抑制するのかではなく、いかにして中国に置いていかれないようにするのかについて頭を悩ませるときが来る可能性は十分ある。

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