IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、「わたしが世界経済にとっての「長い道のり」と読んでいる道のりがわたしたちの目前に控えています。困難で、ばらつきが大きく、不確実で、そして幾度かの後退もありそうな登り坂です。けれども、これは上へと進む道なのです。そして、わたしたちはいまも続く問題の一部、つまり、低迷する生産性、大きな格差、迫り来る気候危機に対処する機会も得るでしょう。パンデミック前の世界を築きなおす以上に優れたことがわたしたちには可能です。未来を見据えて、より強靭で、持続可能性が高く、あらゆる人々のためになる包摂的な世界を構築することができます」と述べている。
IMFが提案しているのはどのような措置なのか?
一つめは公的債務の高まりに関する問題を調整するというものである。IMFは、2021年に債務水準が大幅に高まり、対GDP比で見ると、先進国でほぼ125%、新興市場国で最大65%、低所得国では50%くらいになると予測している。そこで、リスクを注視し、債務が持続不可能となっている場合には、速やかに債務を再編する必要があると指摘している。
またデジタル技術の導入の必要性も訴えており、これは貧困を克服するための金融包摂の発展を促すものだとしている。
そして、もう一つ重要なのがグリーン経済へのスムーズな移行である。過去10年間における気候変動に伴う自然災害による直接の損失はおよそ1兆3,000億ドルとなっている。
IMFの提案はどれほど差し迫ったもので、どれほど実現可能なものなのか?
スプートニクはこれについて、ロシア高等経済学院、世界経済・世界政治学部のイーゴリ・コヴァリョフ副学部長にお話を聞いた。
「世界の繁栄は、国際的な経済関係―つまり製品やサービスの貿易の成長、また世界における労働力、資本、アイデアの流れに直接的に左右されます。現在のコロナウイルスのパンデミックは多くの国の経済はもちろん、国際的な経済関係全体に打撃を与えました。ですから、単にパンデミック以前の発展レベルに戻すだけでなく、世界の金融・経済活動全体を近代化することが必要不可欠なのです。IMFの提案はもちろん一理あります。
ブレトンウッズ体制という、決済と為替レートの国際システムは1944年から1976年まで30年以上にわたって機能していた。ブレトンウッズ体制は、第二次世界大戦後の世界経済を建て直し、新たなレベルに引き上げることを目的に確立されたもので、それにより、ドルは金に裏打ちされた数少ない通貨の一つとして、国家間の決済および準備金保管のための手段となった。ブレトンウッズ体制は、戦後の貿易の拡大と世界経済の加速化をもたらし、この問題にうまく対処したと考えられている。そしてほかでもないブレトンウッズで開かれた会合で、世界銀行とIMFの創設が決定した。しかし、その後、発展し続ける国際貿易のために米ドルだけでなく、さらに多くの手段が必要となったのである。そして1978年までには、ほとんどの国は変動相場制へと移行した。