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日本の働き方と労働市場 2021年コロナ禍でどう変わるか 専門家が語る

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新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の企業は通常業務の大部分をリモートに切り替えざるを得なくなり、これまでの働き方を大きく変えることとなった。2021年の日本の働き方と労働市場はどのようなものになるのだろうか?(株)日本総合研究所の山田久副理事長と同研究所創発戦略センターのスペシャリスト、児島明子氏が記者団の質問に答えた。

働き方に関する動向と課題:1つ目は、多様な人材の活躍

小島氏によれば、新型コロナウイルス感染症対策により、世代を問わずテレワークの利用が増えており、多様な人材がより活躍しやすくなることが期待されている。

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一方で、微妙な問題もある。たとえば、日本では結婚や出産の後も働き続ける女性が増えているが、他の国に較べ、管理職のポストに就いている女性の割合はかなり少なく、わずか10%である。全体で見ると、役職者への登用は徐々には増えているものの、業種によって女性の管理職比率は大きな差があり、建設業や製造業などでは女性の管理職の割合は低くなっている。

小島氏:「(ですので、)女性の活躍という視点においては、管理職への登用される女性が増えるよう、より責任ある仕事に担えるような施策は引き続き必要です」。

2つ目は、副業・兼業の拡充

中高年の男性の間では、キャリア意識の変化が見られる。それは副業・兼業という働き方への関心が高まっていることからもうかがえる。

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小島氏:「テレワークの普及は地方の仕事を副業・兼業で行うことも可能にしますので、地方の労働人口の不足の問題への貢献も期待されます」。

加えて小島氏は、兼業・副業にはメリットが多いが、総労働時間は増えるため、長時間労働への配慮が必要となると強調する。さらに、高年齢の世代の人々は、リモートワークにおいて様々な問題に直面することが多いため、このような人々が新たな条件での働き方に順応できるよう支援することも重要だと指摘する。

3つ目は、キャリア形成支援

小島氏:「テレワークを中心として多様な働き方が広がっていく中では個々人が自身のキャリアをきちんと考えることが必要です。職場でキャリアを相談できる機会や仕組みの提供など働く全ての人に対するキャリア形成支援が重要になります」。

働く男性と女性の関心は一致するのか?

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小島氏によれば、多くの日本人女性は管理職に就くことを目指していないという。管理職に就けば、労働時間が長くなり、家事や育児との両立ができなくなるからである。しかし、そんな女性たちも、より柔軟な勤務体制で、家事を引き受けてくれる配偶者がいれば、そのような職に就いてもいいと考えている。同時に、小島氏は、男性はいくつかの副業・兼業を望んでおり、仕事量が増大する可能性があると指摘する。つまり、働き方に対する男性と女性の希望は合致しないということなるのではないだろうか。これに対し、小島氏は次のように答えている。

小島氏:「日本企業の問題として働く男性が多様な働き方がしづらいということが問題として挙げられます。多様な働き方をしやすい環境づくりを行うことが副業・兼業も可能としますし、家事参画をしたい男性の方は私生活の時間を増やすことにもつながりますので、それを実現していくことが問題の解決につながるのかと考えています。

実は、中高年男性の方に対して家事参画に対する現実と理想についてお尋ねしているんですけれども、その際の結果としては『もっと家事をやりたい』って言う男性の方は非常に多かったのが現状です。(ですので、)多様な働き方をしやすい環境づくりを作っていくことが色々な生き方の選択肢を増やすことに繋がるんだと言うふうに考えます」。

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2002年10月時点での日本の失業率は3.1%である。山田氏の予測では、この数字は、ワクチンの接種が始まらない限り、4%にまで増加する可能性がある。そこで、山田氏は、経済悪化による雇用への影響をオフセットするために雇用調整助成金を拡充することが必要だと述べている。日本政府はすでに雇用調整助成金拡充をしているが、山田氏曰く、雇用調整助成金には問題点があるという。

山田氏:「雇用調整助成金は雇用が維持されていることを前提とした制度ですので、雇用を失った人に対しては効果がないというのが一点目の問題です。

もう一つの問題は雇用を維持する政策ですので、産業構造を転換し、古い産業から新しい産業に移動することを妨げるという副作用があるということです」。

対応策は?

山田氏は2つの対応策があると指摘する。1つ目は、失業したにも関わらず、雇用保険を受け取ることができない人々を救うための仕組みを作り上げることに関するものである。

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山田氏:「例えば、ドイツでは失業保険の対象にならない職を失った人は失業扶助という仕組みで生活支援をする仕組みがあるというふうに聞いています。もちろん、無制限に生活支援をするということは就業に対するディスインセンティブ(=阻害する要因)になるので問題ですが、日本も就職活動を前提に雇用保険の対象外に対して生活支援を給付する仕組みが必要だと考えています」。

一方、もう1つの重要な対応策は、「シェアリング型一時就労」という仕組みだと山田氏は述べている。

山田氏:「これは、人手が過剰になった産業から人手不足にある産業や企業に人材を『レンタル』する仕組みで、これによって苦境にある産業・企業が人を解雇することなく、コロナ感染症が終わった後の事業再開に備えて人材を確保する。それから、今、職がない人についても雇用が維持されることで、生活が安定する、そういう効果が期待できます」。

その上で、山田氏は、こうした人材のレンタルは、互いに関連性のない企業間でも行えるようにすることが重要だと強調する。

山田氏:「日本には出向制度という仕組みが大企業や大企業グループの中に存在しますが、これを個別企業や企業グループをまたぐケースに適用しようという考えです。

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これに加えて、大都市のホワイトカラー労働者を地方の中小企業にテレワークを通じて結びつけるという仕組みも今回考えられるのではないかというふうに考えています」。

さらにもう1つ、人材育成の仕組みを創設するためのアイデアがあるという。

山田氏:「特に農業や建設、あるいは医療、介護、それから整備・保守といった現場労働者については構造的な人手不足にありますので、今回を機会に集中的な人材育成の仕組みを作ることが必要ではないかというふうに考えています」。

最後に、コロナ禍の大きなトレンドとなったのがデジタル化である。そこで、デジタル化を利用し、すべての人々にとってより快適でより興味深い条件を作り出そうとすることが重要である。

山田氏:「COVID-19でデジタル化が進んでいます。その流れを生かし、そうしたタイプの現場労働についてもデジタル技術やロボティクスをフル活用して、人と機械の協業型の業務プロセスを創造すれば、魅力ある職場に変わっていくんではないかということを期待しています」。

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