このことには政治的誇示と中国に対する一定の圧力という以外に、軍事技術的な側面もある。HMS Queen Elizabethは他の空母とは本質的に異なる艦船なのだ。
その違いとは、排水量や艦載機数などではない。汎用空母として設計されたこの艦船は多くのタスクを遂行できるのだ。
まず1点目に、この空母は海上の司令部である。HSM Queen Elizabethは英海軍の旗艦であり、艦上には、世界中の英海軍の戦闘艦を指揮できる海軍本部と司令センターに必要な施設と設備が備わっている。
このことはとても重要だ。広大な太平洋とインド洋において多くの艦隊や航空群の行動を調整する統合司令センターができるのだ。同盟国はこれまでのようにバラバラではなく、お互いを支援しながら一緒に行動する。これは極めて大きな優位点だ。
3点目として、この英空母は大きくなく、艦載機はF-35B戦闘機24~36機、ヘリコプター14機である。比較すると、最新性の米空母USS Gerald R. Ford(CVN-78)はF/A-18F戦闘攻撃機を75機以上搭載できる。しかし、この艦には飛行甲板上で航空機の武器装填を行う機械式武器処理システムがある。
そこで、英国の設計者は、航空機の武器装填速度を6倍にする武器処理システムを開発した。このシステムを取り扱うのは約50人で、武器の輸送昇降オペレーションはすべて機械で行われる。通常、F-35Bと同様の垂直離着陸戦闘機AV-8Bの武器装填にかかる時間は約30分である。しかし、空母HMS Queen Elizabethの設備は航空機の武器装填をわずか5分で完了させる。
この武器処理システムは大きな戦術的優位性となっている。英空母は1時間で最大100機の給油と武器装填を行える。また、24時間でこのようなオペレーションを10回も行える。これは空母にとっては大きな優位性だ。
このようにHMS Queen Elizabethは、敵が防御している島の奪取や、特定地域の空の覇権の奪取といった重要作戦にとって最適なツールとなっている。空母上の司令センターは艦艇、空軍、海兵隊のすべての戦力を統合することができるし、空母の技術面は強力な航空支援を提供する。
この空母が太平洋に現れることは中国に対するシグナル、とても深刻なシグナルである。
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