新型コロナをテーマにした作品を制作したのが米国のダグ・リーマン監督。タイトルは「ロックト・ダウン」で、2020年の英国が舞台となっている。新型コロナウイルスの感染が止まらないロンドンでは市民のほとんどが自宅待機しているが、主人公のリンダとペクストンも同様であった。2人は離婚の危機にあるのだが、それを思いとどまり、パンデミックという状況を利用し、ダイヤを盗み出すことを思いつく・・・。リーマン監督はこれまでに10本以上の作品を製作し、25本以上の作品をプロデュースしてきた。代表作は「ボーン・アイデンティティ」(2002)、「フェア・ゲーム」(2010)、「カオス・ウォーキング」(2021)などである。
一方、日系アメリカ人のキャリー・フクナガ監督は、自ら脚本を手がけた「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」を公開する。ダニエル・クレイグがジェームス・ボンド役を演じる007の続編である。ジェームス・ボンドは現役を退き、ジャマイカで穏やかな日々を過ごしているが、ある日、古い友人であるCIAのエージェントがある依頼をしにやってくる。誘拐された科学者を救い出すというミッションは、思っていたよりも危険なものであった・・・。
韓国映画の新たな方向性を探る1作となっているのが、「スペース・スウィーパーズ」。SFコメディのストーリーは、宇宙ゴミ回収船「勝利号」の中で展開する。しかし中に乗り込んでいるのは、絶えず滑稽で不可解なことに位巻き込まれる、地球で生きる希望を失った面々である。この映画の制作のインスピレーションを得たものの一つとして、チョ・ソンヒ監督は、子どもの頃に見て感銘を受けた1977年公開の日本のアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を挙げている。
カンヌ映画祭で高い評価を受けており、2018年には「万引き家族」で、最高賞であるパルムドールを受賞した是枝監督は、新作「ブローカー(仮)」を韓国で製作した。赤ちゃんボックスに置き去りにされた子どもたちの運命について描いた作品である。監督はこの作品のアイデアをおよそ5年温めていた。初の韓国進出作品となったこの映画には、才能ある韓国の歌手で女優のIU(イ・ジウン)が出演している。
今春、ロシアで公開されるのが、ダニラ・コズロフスキー監督の新作「チェルノブイリ」。自ら主役の1人を演じる。20世紀最大の悲劇となった原発事故を背景にした愛の物語である。作品の中でスポットが当てられているのは、事故の災害処理にあたった消火隊員、技師、ダイバーたちである。「チェルノブイリ」はすでに米国、日本、韓国、イスラエル、スペインなどの国々が配給権を獲得している。これについて、ダニラ・コズロフスキー監督は、どの国が映画を上映してくれても嬉しいとコメントしている。
チェルノブイリ原発事故のテーマは今なお、注目され続けており、時を同じくして、ロシア、米国、ウクライナの共同合作による「チェルノブイリ後」も公開される。しかしながら、コズロフスキー監督の作品と異なり、こちらはより神秘的でファンタジー溢れるものとなっている。東欧を旅行している米国のツーリストたちが、偶然プリピャチに入り込んでしまう。しかし、立入禁止区域「ゾーン」は実は居住禁止区ではなかった。主人公たちは、誰も住んでいないとされるその地に住み続けているのは誰なのか、探ろうとする。
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