NICの報告書によると、ロシア政府はトランプ氏の再選実現を目的に、ジョー・バイデン氏の威信を低下させ、それによって米国社会に分断の種をまいたという。ただし、2016年の大統領選時とは異なり、選挙結果の集計システムに対するロシアからのサイバー攻撃は確認されなかったとのこと。また、イラン政府による介入も指摘されているが、イラン側はトランプ氏の再選阻止を目的に選挙プロセスへの介入を行ったという。ただし、イランによる介入は特定のライバルを支援するものではなかったとのこと。
なお、中国による大統領選への介入は確認されなかったと報告書には記されている。
報告書にはロシアが引き続き大統領選に介入する可能性が指摘されている。
我々の考えでは、モスクワは選挙プロセスへの影響力行使を継続し、長期的な目標(ワシントンの弱体化)達成を目指すだろう。というのも、弱体化したワシントンは対外政策、および安全保障分野における政策においてより弱腰になるほか、ロシアとの地政学的交渉に対してはオープンになるとクレムリンが長期にわたって考えているからだ。
また、ロシア側は米国が「同様の方法でロシアや他国の情勢に介入しており、そうした活動が戦略地政学的競争上、エンデミック的な特徴を帯びている」とみなしていることから、米国の選挙に引き続き干渉すると指摘した。
NICの報告を受けて米財務省は「合衆国の選挙に介入した」ロシアに対し、国務省、司法省、内務省と連携して然るべき制裁を導入する模様。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は16日の記者会見で対露制裁について質問を受けたが、具体的な時期については明言しなかった。一方、CNNテレビは国務省の消息筋による証言をもとに、ロシアに加え、中国、イランを対象とした制裁が翌週にも発動されると報じている。なお、予定されている制裁の詳細については言及されていない。
これまでロシア政府は大統領選への関与に関する批判を一度ならず退けてきた。
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