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都内の高校で校則見直し自由化の始まりとなるか?
都内の高校で校則見直し自由化の始まりとなるか?
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... 2022年3月17日, Sputnik 日本
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問題の進展か世論の高まりへの配慮か制服や髪型に関する厳しい校則をめぐる議論は、今から数年前に、当時18歳だった大阪府立高校の女子学生が、学校から地毛を黒染めするよう強要されたとして裁判を起こして以降、加熱するようになった。この事件や裁判の行方は社会に大きな反響を呼んだが、結局、女子生徒は事実上、敗訴に終わった。女子生徒は府に対し、約220万円の慰謝料の支払いなどを求めていたが、大阪地裁は府に33万円の賠償を命じるにとどまった。2021年、東京都教育委員会は、都内学校に対し、「ツーブロック禁止」、「下着の色指定」など、社会的に議論を呼んでいる6項目の校則について、各校で点検するよう通知していた。2021年4月、都教委が、全都立高校196校、全日制・定時制など計240課程で、この6項目の校則の有無について調査したところ、これらの校則が216課程に残っていることが分かった。これを受け、都教委がこれらの校則について再度、見直しを求めたところ、各学校では教員、生徒、保護者の間での意見交換や聞き取りなどが実施された。その結果、2021年12月、2022年の新学年から、196課程で必要のない校則を撤廃することが決まった。問題となっていた6項目のうち、5項目がすべての学校で廃止される。どのような校則が廃止されるのか?とはいえ、複数の学校では今後もいくつかの校則が存続することになっている。生徒が生まれつきの髪の色やくせ毛について報告する任意の「地毛証明書」については、廃止を決めた学校がある一方で、「生徒や保護者からの依頼に基づいて」、この制度を残すと決めた学校もある。この校則を撤廃するのは35課程で、20課程では存続される。とはいえ、3月10日に開かれた都教委の定例会議では、校則の見直しの点検については評価する声が相次いだ。毎日新聞が伝えるところによれば、北村友人委員は、「生徒たち自身が主体的に考えて物事を決めていく環境が尊重されることが大事。大きな一歩だと感じる」と述べた。一方、生徒の中からは、女子生徒のズボン着用の容認や、メイクやヘアケア用品の使用禁止の撤廃を求める声が上がっている。インターネット上では、専門家や一般のユーザーの間でも、賛否両論、さまざまな意見が寄せられている。子育てアドバイザーでキャリアコンサルタントの高祖常子さんは次のように述べている。「2022年度の『都立高のブラック校則全廃』というのは歓迎すべきことだ。『地毛でも髪を一律に黒く染めさせるなど』は人権侵害にほかならず、やっとという印象もあるが、ともあれ都立高校が一律にブラック校則を全廃するということは、社会的なインパクトも大きい。都立高のブラック校則全廃をきっかけに、全国に広がっていくことを望む」。一方、名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授の内田良さんは次のように指摘している。「ツーブロック禁止や下着の色チェックなど、説明のつかない極端な『ブラック校則』が全面的に廃止されたことは大きな前進です。ただ、『地毛証明書』の全廃には及ばなかったように、学内外での服装や髪型、行動を事細かく規定する校則の大部分は温存されたように読めます。山口香さんの『ここまで時間がかかったのは残念』という言葉にもあるように、校則は容易には変えられないと言えるでしょう。このところ校則改革が全国の中学校・高校で進んでいます。その多くは、生徒複数名が全校の生徒と教員、ときには保護者、地域住民、地元企業を巻き込んで、アンケートや聞き取り調査なども実施しつつ、展開されています。そして、半年から一年かけ、靴下の色が一つ増えたり、コート着用が認められたりします。膨大なコストのわりに小さい前進にとどまっており、もう少しコストパフォーマンスのよい改革にならないものか、検討が必要だと思います」。また複数のユーザーが、このことは、若者の自主性を育てるものとなるはずだと指摘している。「東京都教育委員会がまとめた資料では末尾に『生徒が社会の一員として主体的に自校の校則について考え・守ることで社会参画意識を醸成』と明記されており、これまでずっと主張してきた、学校内民主主義を実現することは社会参画、政治参画につながるという認識が広く浸透してきたことを嬉しく思います。これまで日本ではルールを守ることばかりが教えられ、『自分で社会を変えられるんだ』という意識が極めて低くなっています。真に主権国家として主権者を育てていくためには、社会の作り手であることを18歳までに体感することがとても重要です」。一方で、校則見直しに、否定的な見方をしている人もいる。「必要以上に厳しい校則は見直しは必要でしょうが、撤廃には疑問を持ちます。ある制服が自由な高校の話ですが、大半は地味な普通の私服ですが、中にはアメリカの高校を思わせるようなカーリーヘア、ヘソだしルック、手のひらほどもある大きなピアス等の服装の生徒もいます。そういう生徒がいる学校は周りから見られる印象も悪く、あの高校には自分の子供は行かせたくないと思う親も多いです。かつて高校での制服自由化が叫ばれた時代と入ってくる高校生の質は違うのです。一見不合理に見える校則も、生徒を学校に意識を向けさせる上で有効なのです。こういうことをすると、ますます高校間の格差は開き、本当に勉強しようと思う生徒は校則の厳しい私立に流れるでしょう」。関連記事
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都内の高校で校則見直し自由化の始まりとなるか?
2022年3月17日, 18:52 (更新: 2022年3月18日, 20:48) 公立高校といえば、常識を逸するような厳しい校則が定められていることで知られている。これまで、何年にもわたり、「不合理」で「理不尽」ないわゆる「ブラック校則」をなくそうと、さまざまなグループが運動をおこなってきたが、そのような動きがついに実を結び、都立高校では、新年度からいくつかの校則が撤廃されることとなった。裁判や抗議行動を通じて、今回どのような成果が得られたのか、またなぜ校則の見直しに反対する人がいるのか、「スプートニク」が取材した。
制服や髪型に関する厳しい校則をめぐる議論は、今から数年前に、当時18歳だった大阪府立高校の女子学生が、
学校から地毛を黒染めするよう強要されたとして裁判を起こして以降、加熱するようになった。この事件や裁判の行方は社会に大きな反響を呼んだが、結局、女子生徒は事実上、敗訴に終わった。女子生徒は府に対し、約220万円の慰謝料の支払いなどを求めていたが、大阪地裁は府に33万円の賠償を命じるにとどまった。
2021年、東京都教育委員会は、都内学校に対し、「ツーブロック禁止」、「下着の色指定」など、社会的に議論を呼んでいる6項目の校則について、各校で点検するよう通知していた。
2021年4月、都教委が、全都立高校196校、全日制・定時制など計240課程で、この6項目の校則の有無について調査したところ、これらの校則が216課程に残っていることが分かった。
これを受け、都教委がこれらの校則について再度、見直しを求めたところ、各学校では教員、生徒、保護者の間での意見交換や聞き取りなどが実施された。その結果、2021年12月、2022年の新学年から、196課程で必要のない校則を撤廃することが決まった。問題となっていた6項目のうち、5項目がすべての学校で廃止される。
とはいえ、複数の学校では今後もいくつかの校則が存続することになっている。生徒が生まれつきの髪の色やくせ毛について報告する任意の「地毛証明書」については、廃止を決めた学校がある一方で、「生徒や保護者からの依頼に基づいて」、この制度を残すと決めた学校もある。この校則を撤廃するのは35課程で、20課程では存続される。
とはいえ、3月10日に開かれた都教委の定例会議では、
校則の見直しの点検については評価する声が相次いだ。毎日新聞が伝えるところによれば、北村友人委員は、「生徒たち自身が主体的に考えて物事を決めていく環境が尊重されることが大事。大きな一歩だと感じる」と述べた。
一方、生徒の中からは、女子生徒のズボン着用の容認や、メイクやヘアケア用品の使用禁止の撤廃を求める声が上がっている。
インターネット上では、専門家や一般のユーザーの間でも、賛否両論、さまざまな意見が寄せられている。
子育てアドバイザーでキャリアコンサルタントの高祖常子さんは次のように述べている。
「2022年度の『都立高のブラック校則全廃』というのは歓迎すべきことだ。『地毛でも髪を一律に黒く染めさせるなど』は人権侵害にほかならず、やっとという印象もあるが、ともあれ都立高校が一律にブラック校則を全廃するということは、社会的なインパクトも大きい。都立高のブラック校則全廃をきっかけに、全国に広がっていくことを望む」。
一方、名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授の内田良さんは次のように指摘している。
「ツーブロック禁止や下着の色チェックなど、説明のつかない極端な『ブラック校則』が全面的に廃止されたことは大きな前進です。ただ、『地毛証明書』の全廃には及ばなかったように、学内外での服装や髪型、行動を事細かく規定する校則の大部分は温存されたように読めます。山口香さんの『ここまで時間がかかったのは残念』という言葉にもあるように、校則は容易には変えられないと言えるでしょう。このところ校則改革が全国の中学校・高校で進んでいます。その多くは、生徒複数名が全校の生徒と教員、ときには保護者、地域住民、地元企業を巻き込んで、アンケートや聞き取り調査なども実施しつつ、展開されています。そして、半年から一年かけ、靴下の色が一つ増えたり、コート着用が認められたりします。膨大なコストのわりに小さい前進にとどまっており、もう少しコストパフォーマンスのよい改革にならないものか、検討が必要だと思います」。
また複数のユーザーが、このことは、若者の自主性を育てるものとなるはずだと指摘している。
「東京都教育委員会がまとめた資料では末尾に『生徒が社会の一員として主体的に自校の校則について考え・守ることで社会参画意識を醸成』と明記されており、これまでずっと主張してきた、学校内民主主義を実現することは社会参画、政治参画につながるという認識が広く浸透してきたことを嬉しく思います。これまで日本ではルールを守ることばかりが教えられ、『自分で社会を変えられるんだ』という意識が極めて低くなっています。真に主権国家として主権者を育てていくためには、社会の作り手であることを18歳までに体感することがとても重要です」。
一方で、校則見直しに、否定的な見方をしている人もいる。
「必要以上に厳しい校則は見直しは必要でしょうが、撤廃には疑問を持ちます。ある制服が自由な高校の話ですが、大半は地味な普通の私服ですが、中にはアメリカの高校を思わせるようなカーリーヘア、ヘソだしルック、手のひらほどもある大きなピアス等の服装の生徒もいます。そういう生徒がいる学校は周りから見られる印象も悪く、あの高校には自分の子供は行かせたくないと思う親も多いです。かつて高校での制服自由化が叫ばれた時代と入ってくる高校生の質は違うのです。一見不合理に見える校則も、生徒を学校に意識を向けさせる上で有効なのです。こういうことをすると、ますます高校間の格差は開き、本当に勉強しようと思う生徒は校則の厳しい私立に流れるでしょう」。