東日本大震災の恩返しイベント、今年もロシアで実施 孤児の子どもたち大福作りに挑戦、感謝の手紙届く

© 写真 : YarumenГлавное фото 子ども村の孤児たち
Главное фото 子ども村の孤児たち - Sputnik 日本, 1920, 07.04.2022
サイン
3月11日、ロシア・サンクトペテルブルクにある、ラーメンが人気の日本料理レストラン「ヤルメン」にて、孤児の子どもたちを招待して日本文化を紹介しながら食事を楽しむイベントが行われた。これは東日本大震災後にロシアが日本に様々な支援をしてくれたことに対する恩返しイベントで、2016年から毎年行われ、今年で7回目になる。ヤルメンのオーナーで、言語聴覚士の梅本和正さんも日本からオンラインで参加し、子どもたちの成長に目を細めていた。
コロナ前は毎年サンクトペテルブルクを訪問し、このイベントで子どもたちと交流していた梅本さん。コロナでロシア訪問が難しくなってからは、ヤルメンのスタッフたちが恩返しイベントを企画・実行してくれるようになった。ヤルメンではこれまでも、コロナ禍の最中、寄付金を集めて医療従事者に温かい昼食を届けるプロジェクトなど、様々な社会活動を行なっている。
ウクライナ危機の影響で、日本ではロシアと名のつくイベントがほとんど中止になっている。ましてや、ロシアでの慈善事業となればなおさらだ。しかし梅本さんは、この伝統行事を続けることに迷いはなかった。
二木屋のお雛様 - Sputnik 日本, 1920, 04.03.2022
「文化は頑張らないと続けられない」日露をつなぐひな祭りイベント開催 圧巻の美のコレクションに驚き
今年は、昨年に引き続き日本研究家で通訳・日本語教師でもあるアンナ・レーワさんを招き、日本伝統のお菓子についてミニレクチャーを行った。単なる和菓子の紹介にとどまらず、江戸時代におけるカステラの登場に代表されるような、歴史や時代背景を交えたトークに、子どもたちは真剣に聞き入っていた。
和菓子についての知識を深めた後は、みんなで実際に大福を作ってみることに。実はロシアでは新スイーツ「モチ」が流行し始めており、ヤルメンのメニューにも大福セットがあるのだ。慣れない手つきでおそるおそる餡を包み、大福が完成した後は、ラーメンやその他の料理と一緒に味わい、日本人留学生のゲストも交えて、楽しいひとときを過ごした。
© 写真 : Yarumen
みんなで団欒 - Sputnik 日本
1/4
© 写真 : Yarumen
ラーメンがお気に入り - Sputnik 日本
2/4
© 写真 : Yarumen
集合写真 - Sputnik 日本
3/4
© 写真 : Yarumen
日露関係への希望    - Sputnik 日本
4/4
1/4
2/4
3/4
4/4
後日、このイベントに参加した17歳のアンジェリカさんが感謝のメッセージを寄せてくれたので、その一部をご紹介する。

「毎回、参加するたび、楽しい思い出と、忘れられない感情が残ります。実は、正直に言うと、毎年3月11日を楽しみに待っているんです。友達と会って、『日本に滞在』し、日本の文化や伝統、生活習慣に触れられるからです。その中でも特に印象的なのは、日本の自然の美しさと、その特徴です。自然の中で一番好きなのが富士山で、必ず訪れたいのは、東大寺です。たくさんの日本の祝日やお祭りについて知ることができましたが、その中でも私がよく覚えているのは、4月8日の花まつり(※お釈迦様の誕生日)と7月7日の七夕です。この二つは、とてもはっきりと印象に残っていて、楽しいお祭りだと思います。そして日本食はすごくバラエティに富んでいます。何が一番好きかというと(ヤルメンスタッフの予想に反して)もちろんカレーです!美味しくてお腹いっぱいになるし、料理するのもあまり難しくありません。そして先日の体験では、『モチ』を作ることができました。中身を色々変えて、実験しながら、次回も作ってみたいと思います。

(かつて、梅本さんが施設に来てくれたときの)茶道のデモンストレーションは、忘れられない思い出になりました。あれは私の人生の中で、一番ファンタスティックな出来事でした。日本人と一緒に座って、本物のお茶道具で伝統的な抹茶をいただくのは想像もできなかったことです。その時のことを思い出すと今でも嬉しくなります。本当に、心の底から、ありがとうと言いたいです。

日本は私にとって、とても特別な、驚くべき国です。日本の中には何もかも詰まっています。日本人は外国から来た伝統や習慣を取り入れながらそれを日本の特性とミックスさせながら、自分たちのものにしてきました。他の国がかつての伝統を忘れて何十年も経っても、日本の中には、伝統が生きています。そんな、情報技術と文化価値を併せもった国で、旅行したり、実際に住んで勉強してみたいです。」

アンジェリカさんたちは、サンクトペテルブルク郊外にあるプーシキンという町の施設「子ども村SOSプーシキン」からやって来た。子ども村SOSの施設は、ロシア全土に6か所ある。両親の庇護が十分に受けられていない家庭を支援し、社会的孤児を生まないよう活動している。結果的に、親が亡くなったり、養育を拒否したり、刑務所に入っていたり様々な事情を抱え、孤児となった子どもたちは、ここで複数人で集まって家族として暮らすのだ。
桜(アーカイブ写真) - Sputnik 日本, 1920, 05.04.2022
「私には他に武器はありません」  日本に深く関わるロシア人らが日露関係について激白
子ども村の相談役エレーナ・ミロホヴァさんは第一回の時から、このイベントのコーディネーターをつとめてきた。ミロホヴァさんは、孤児の子どもたちにとって、外国の人と触れ合い、一緒に何かをするということはかけがえのない経験だと話す。

「実は梅本さんと出会うよりも前、国連のグローバルプロジェクトの枠内で、ピースボートに参加した日本人が毎年私たちの施設を訪れ、日本文化について話してくれていたので、子どもたちは日本に関心をもつ土壌ができていたのです。子ども村SOSプーシキンの子どもたちにとって、日本文化に触れることは、伝統と言っても良いかもしれません。

ヤルメンのプロジェクトでは、最初は折り紙をしたり、漢字を書いてみたりということをしていましたが、一昨年は、子どもたちが、それぞれ関心のあるテーマで日本に関するレポートを自分たちで準備してきて、皆の前で発表しました。この7年間で子どもたちは、たくさんの新しいこと、面白いことを知りました。そして知れば知るほど、もっと知りたいという気持ちが生まれているようです。子どもたちは調理実習が大好きなんです。子ども村のパートナー企業のご寄付で、一流ホテルでピザやメキシコ料理などの実習をさせてもらったこともあります。今回の大福作りも子どもたちはとても楽しんでいました。お土産に大福を持って帰って皆で分けたところ、甘すぎなくて面白い味、と好評でした。

子どもたちにとってこういう機会は、料理ができるようになるということだけでなく、社会化、社会の一員になるにあたって大事なことであり、視野や世界観を広げることができます。外国の方に何かを習って、一緒に作業をすることで、相手がどこから来たどんな人であっても、共通点を見つけることができます。それでいてそれぞれの文化の独自性も学ぶことができる。食べ物とか芸術、音楽というのは、それにぴったりのテーマです。子どもたちが進学や就職をして社会に出るとき、こういった民間外交の経験は必ず役に立つでしょう。」

ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала