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モスクワ国際バレエコンクール、ロシアで活躍する日本人ダンサーにインタビュー 10日の決戦に2名進出
モスクワ国際バレエコンクール、ロシアで活躍する日本人ダンサーにインタビュー 10日の決戦に2名進出
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... 2022年6月10日, Sputnik 日本
2022-06-10T01:27+0900
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モスクワ国際バレエコンクールは、バレエ大国ロシアの中でも最も権威あるコンクールとして数々の名ダンサーを輩出してきた。日本人として初めて金賞を獲得したのは1993年にシニア部門に出場し、ボリショイ劇場初の外国人ソリストとなった岩田守弘さん。前回2017年にはシニア部門で大川航矢さん(現ノヴォシビルスクオペラバレエアカデミー劇場)、ジュニア部門で千野円句さん(現ボリショイ劇場)が金賞を受賞した。審査員を務めるのは、ロシアバレエ界のレジェンドでこのコンクールの創設を提唱したユーリー・グリゴローヴィチをはじめ、ボリショイ劇場プリマバレリーナのスヴェトラーナ・ザハロワ、ワガノワバレエ学校長のニコライ・ツィスカリーゼなど。イタリア、韓国、中国、トルコなどから外国人審査員も参加している。伝統的にプロが多く参加してきたため、ツィスカリーゼ氏は「このコンクールは真のアーティストが競うもの」と強調した。日本人参加者は全員が一次審査を通過。筆者は二次審査に密着した。朝から始めて、審査が終わったのは日付が変わった午前1時前だった。結果を待つ間、出場者に話を聞いた。モスクワ州アカデミー劇場「ロシア・バレエ」所属の福田汐里さん。すでに数々の舞台で主役を務めている福田さんは、新しい何かを見つけようという気持ちでコンクールに臨んだ。「パートナーに誘ってもらったのと、予定していた海外公演がキャンセルになり、モスクワにいるのなら新しいことにチャレンジしようと思って出場を決めました。同じ演目ばかりをやっていると技術も決まったものになってしまうので、今回は劇場で一度も踊ったことがないパドドゥに挑戦しました。やりたかったことが全部できたわけではないので、まだまだこれからも努力しなければと思います。ボリショイ劇場の舞台で踊らせてもらえる機会はそうそうないですし、舞台から見ると、シャンデリアとか、客席がとても綺麗なんです。それだけでもとても嬉しい気持ちで踊れました。」ブリヤートオペラバレエ劇場の山田陽加さんは、このコンクールを目標に準備を進めていたが、本番直前にパートナーが怪我をし、急遽代役を立てることになった。山田さんはその時の気持ちを「ショックでした。でも、そんなことを言っていたらこの先も踊っていけない、自分の踊りをちゃんと踊らなくては、これから変われないと思いました」と振り返る。気持ちを立て直して臨んだ本番。二次審査では、バレエファンでもほとんど見る機会のない「ちょうちょのパドドゥ」を選んだ。カナダ人振付家の手によるもので、山田さん自身とても好きな作品だ。この踊りで、テレビ出演したこともある。「ここをもっとああしたかった、というのはもちろんあるんですけど、今日のパドドゥは楽しく気持ちよく踊れました。メイクや衣装など、劇場のスタッフさんたちがすごくサポートしてくれました。」サラトフのオペラバレエアカデミー劇場からは、金指承太郎さんと柴垣未羽さんのふたりがデュエットで出場した。当初はコンクールを意識していなかったが、各劇場に招待が来ていて、芸術監督のすすめで出場することになった。ふたりは「今回は色々な劇場からトップの人が来ていてすごい。自分たちの出来は普段の7割くらい」と声をそろえる。金指さんは「常に、今回の演目が最後かもしれないと思いながら踊っていました。出場して後悔はありません、楽しかったです」と話した。7人の日本人の中で唯一、学生で参加したのがペルミバレエ学校に留学中の福岡璃乃さんだ。福岡さんは今年4月のペルミ国際バレエコンクールでプレス審査員賞を受賞したばかり。「踊っている間の一瞬一瞬を楽しもうと思っていた」という福岡さんだが、ロシアのいくつかの劇場に特有の、傾斜のある舞台には戸惑った。「モスクワに来て初めてリハーサルをした時、本番を迎えられるのかな…というくらいボロボロでした。回転などのコントロールが難しくて、普段よりたくさん、頭の中で技術的なことを色々考えながら踊りました。」現在7年生で、卒業まであと1年ある。多くの留学生が家族の意向を受けて帰国する中、ロシアにとどまることを決意した。「学校が止まっているわけではないので、ここで学べるのなら、ずっといたいと話しました。理解して、応援してくれる家族に感謝しています。ロシアのバレエが大好きなので、卒業したらロシアのバレエ団で働きたいです。」また、コンクールの審査対象ではないが、桑原万奈さん(タタルスタンオペラバレエ劇場)と小野寺正太さん(バシキールオペラバレエ劇場)もコンクール参加者のデュエットのパートナーとして出場した。シニア部門決選には、寺田智羽さん(エカテリンブルグオペラバレエアカデミー劇場)と、若林莉々妃さん(チェリャビンスクオペラバレエアカデミー劇場)の2名が出場する。ジュニア部門決戦には東京出身で日本とベラルーシにルーツをもつグジェレフ瞭舞さん(ベラルーシから出場)の進出が決定した。モスクワ時間の10日14時からジュニア部門、19時からシニア部門(日本時間10日20時および11日午前1時)の決戦審査が行われる。決戦の模様はコンクールの公式サイトでオンラインで中継されるので、日本から応援しよう。また、一次審査・二次審査もさかのぼって閲覧できる。関連ニュース
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モスクワ国際バレエコンクール、ロシアで活躍する日本人ダンサーにインタビュー 10日の決戦に2名進出
2022年6月10日, 01:27 (更新: 2022年6月10日, 20:04) 第14回モスクワ国際バレエコンクールがボリショイ劇場で開催中だ。世界三大バレエコンクールの一つで、1969年に創設され4年に1度開催される。本来は昨年の予定だったがコロナで延期となり、今年の開催となった。33か国343名から応募があり、うち112名がビデオ審査を通過し、出場資格を得た。27歳までのシニアの部には、ロシアを拠点に活躍する日本人7名が参加し、日頃の成果を披露した。
モスクワ国際バレエコンクールは、バレエ大国ロシアの中でも最も権威あるコンクールとして数々の名ダンサーを輩出してきた。日本人として初めて金賞を獲得したのは1993年にシニア部門に出場し、ボリショイ劇場初の外国人ソリストとなった岩田守弘さん。前回2017年にはシニア部門で大川航矢さん(現ノヴォシビルスクオペラバレエアカデミー劇場)、ジュニア部門で
千野円句さん(現ボリショイ劇場)が金賞を受賞した。
審査員を務めるのは、ロシアバレエ界のレジェンドでこのコンクールの創設を提唱したユーリー・グリゴローヴィチをはじめ、ボリショイ劇場プリマバレリーナのスヴェトラーナ・ザハロワ、ワガノワバレエ学校長のニコライ・ツィスカリーゼなど。イタリア、韓国、中国、トルコなどから外国人審査員も参加している。伝統的にプロが多く参加してきたため、ツィスカリーゼ氏は「このコンクールは真のアーティストが競うもの」と強調した。
日本人参加者は全員が一次審査を通過。筆者は二次審査に密着した。朝から始めて、審査が終わったのは日付が変わった午前1時前だった。結果を待つ間、出場者に話を聞いた。
モスクワ州アカデミー劇場「ロシア・バレエ」所属の福田汐里さん。すでに数々の舞台で主役を務めている福田さんは、新しい何かを見つけようという気持ちでコンクールに臨んだ。
「パートナーに誘ってもらったのと、予定していた海外公演がキャンセルになり、モスクワにいるのなら新しいことにチャレンジしようと思って出場を決めました。同じ演目ばかりをやっていると技術も決まったものになってしまうので、今回は劇場で一度も踊ったことがないパドドゥに挑戦しました。やりたかったことが全部できたわけではないので、まだまだこれからも努力しなければと思います。ボリショイ劇場の舞台で踊らせてもらえる機会はそうそうないですし、舞台から見ると、シャンデリアとか、客席がとても綺麗なんです。それだけでもとても嬉しい気持ちで踊れました。」
ブリヤートオペラバレエ劇場の山田陽加さんは、このコンクールを目標に準備を進めていたが、本番直前にパートナーが怪我をし、急遽代役を立てることになった。山田さんはその時の気持ちを「ショックでした。でも、そんなことを言っていたらこの先も踊っていけない、自分の踊りをちゃんと踊らなくては、これから変われないと思いました」と振り返る。
気持ちを立て直して臨んだ本番。二次審査では、バレエファンでもほとんど見る機会のない「ちょうちょのパドドゥ」を選んだ。カナダ人振付家の手によるもので、山田さん自身とても好きな作品だ。この踊りで、テレビ出演したこともある。「ここをもっとああしたかった、というのはもちろんあるんですけど、今日のパドドゥは楽しく気持ちよく踊れました。メイクや衣装など、劇場のスタッフさんたちがすごくサポートしてくれました。」
サラトフのオペラバレエアカデミー劇場からは、金指承太郎さんと柴垣未羽さんのふたりがデュエットで出場した。当初はコンクールを意識していなかったが、各劇場に招待が来ていて、芸術監督のすすめで出場することになった。ふたりは「今回は色々な劇場からトップの人が来ていてすごい。自分たちの出来は普段の7割くらい」と声をそろえる。金指さんは「常に、今回の演目が最後かもしれないと思いながら踊っていました。出場して後悔はありません、楽しかったです」と話した。
7人の日本人の中で唯一、学生で参加したのがペルミバレエ学校に留学中の福岡璃乃さんだ。福岡さんは今年4月のペルミ国際バレエコンクールでプレス審査員賞を受賞したばかり。「踊っている間の一瞬一瞬を楽しもうと思っていた」という福岡さんだが、ロシアのいくつかの劇場に特有の、傾斜のある舞台には戸惑った。「モスクワに来て初めてリハーサルをした時、本番を迎えられるのかな…というくらいボロボロでした。回転などのコントロールが難しくて、普段よりたくさん、頭の中で技術的なことを色々考えながら踊りました。」
現在7年生で、卒業まであと1年ある。多くの留学生が家族の意向を受けて帰国する中、ロシアにとどまることを決意した。「学校が止まっているわけではないので、ここで学べるのなら、ずっといたいと話しました。理解して、応援してくれる家族に感謝しています。ロシアのバレエが大好きなので、卒業したらロシアのバレエ団で働きたいです。」
また、コンクールの審査対象ではないが、桑原万奈さん(タタルスタンオペラバレエ劇場)と小野寺正太さん(バシキールオペラバレエ劇場)もコンクール参加者のデュエットのパートナーとして出場した。
シニア部門決選には、寺田智羽さん(エカテリンブルグオペラバレエアカデミー劇場)と、若林莉々妃さん(チェリャビンスクオペラバレエアカデミー劇場)の2名が出場する。ジュニア部門決戦には東京出身で日本とベラルーシにルーツをもつグジェレフ瞭舞さん(ベラルーシから出場)の進出が決定した。
モスクワ時間の10日14時からジュニア部門、19時からシニア部門(日本時間10日20時および11日午前1時)の決戦審査が行われる。決戦の模様はコンクールの
公式サイトでオンラインで中継されるので、日本から応援しよう。また、一次審査・二次審査もさかのぼって閲覧できる。