https://sputniknews.jp/20220822/12597034.html
オスプレイ、安全が確認されるまで飛行停止に
オスプレイ、安全が確認されるまで飛行停止に
Sputnik 日本
米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、世界各地に配備されている垂直離着陸輸送機CV–22「オスプレイ」全52機を飛行停止すると決定した。6月半ばには、米海兵隊も同様の決定を下しているが、その原因は、オスプレイの事故が相次いだことである。今回のオスプレイの飛行停止は、日本領内に配備されている輸送機も対象となっている。 2022年8月22日, Sputnik 日本
2022-08-22T17:12+0900
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米空軍特殊作戦司令部の発表によれば、不具合の原因が解明され、問題を取り除く措置が講じられるまで、運用の再開はないとのこと。飛行機とヘリコプターの特性を併せ持つ航空機の歴史垂直離着陸輸送機「オスプレイ」は、米国のボーイング・バートル社とベル・ヘリコプター社が共同で開発した航空機である。短い滑走路で、垂直に離着陸することが可能でありながら、それを上回る高い航続性と速度能力を有する。この航空機の開発は、1980年にイランで人質に取られた米国人の身柄の解放に失敗した後、必要に迫られるようになったものである。そして1981年、米国防総省によって、「統合垂直離着陸研究(JVX)」という名称の計画で新型機の開発が開始した。初飛行は1989年に行われ、その後、試験飛行が始まり、改良が加えられるようになり、2007年には、改良型のMV–22Bが米海兵隊に実戦配備された。米空軍が空軍仕様のCV–22Bを配備したのは2009年である。オスプレイは、米軍に配備されて以降、イラク、アフガニスタン、リヴィア、クウェートなどで、輸送用として、また救急医療活動用として何度も使用されてきた。2011年5月に、米軍特殊部隊が、パキスタンにある潜伏先でアルカイダ指導者ウサマ・ビン・ラディンの拘束作戦を行ったときにも、身元確認の後、ビン・ラディンの遺体を空母「カール・ヴィンソン」に移すのに、他でもないオスプレイV–22が使われた。事故近年、安全に関わる数々の問題が発覚し、ときに事故を起こしたり、犠牲者を出したりしたことから、改良型オスプレイの運用については、議論が巻き起こっていた。事故は試験中にも起こった。1991年から2000年にかけては4件の事故が発生し、合わせて30人が死亡した。また米国内だけでなく、外国でも、犠牲者を含む事故や含まない事故が発生するようになった。とりわけ、2012年には、フロリダ州とモロッコで2機が墜落、2014年にはペルシャ湾周辺でも1機が墜落した。さらに2016年12月13日、MV–22オスプレイが沖縄県名護市安部の沿岸部(名護市から東へ6キロ)で、着陸に際し、墜落した。乗員5名は全員、救出された。これを受けて、翌日、日本でのオスプレイの運用の中止が発表され、当時の安倍晋三首相は、遺憾の意を表明し、米国側に対し、「事故原因解明のための詳細な調査を行い、安全を確保するよう」求めた。ちなみに、在日米軍基地にオスプレイが配備された後、何かが落下したり、エンジン音による騒音問題が発生するなど、周辺住民からは不満の声が上がっていた。2017年には、イエメン、シリア、豪州の北東沿岸部で、3件の事故が相次いだ。そして2022年になり、3月にノルウェーで、そして6月にカリフォルニアでも事故が発生した。日本におけるオスプレイ現在、オスプレイが配備されているのは米国と日本の2カ国だけである。2020年5月10日、日本の自衛隊は、初めてMV−22ブロックCオスプレイを購入した。これは米海兵隊に配備されているMV–22の輸出用改良機である。2021年2月には、さらに5機のオスプレイが納入された。自衛隊は合わせて21機のオスプレイを発注したことになる。自衛隊は、米軍部隊と何度も合同演習を実施し、日本の護衛艦へのオスプレイの着陸の訓練も行なっていることから、この航空機については熟知している。日本はヘリコプター搭載護衛艦「いずも」などの最新の艦船でのオスプレイの使用を見込んでいる。その主な任務は遠隔地の島の防衛である。自衛隊は九州、佐賀県の佐賀空港へのオスプレイの配備を計画しており、現在、防衛省が地元の漁業協同組合との間で協議を行なっている。専門家の見解航空機の専門家でもある雑誌「祖国の兵器庫」のドミトリー・ドロズデンコ副編集長は、現在、オスプレイに代わる垂直離着陸機はなく、飛行停止は事故原因を解明するための標準的な作業に過ぎないと指摘し、次のように述べている。一方、全ロシア「将校の会」幹部会のメンバーであるアンドレイ・ゴロヴァチューク予備大佐は、少し違った見方を表明している。
https://sputniknews.jp/20220820/12573773.html
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米国, 軍事, オピニオン, 自衛隊, 国内, 国際
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オスプレイ、安全が確認されるまで飛行停止に
米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)は、世界各地に配備されている垂直離着陸輸送機CV–22「オスプレイ」全52機を飛行停止すると決定した。6月半ばには、米海兵隊も同様の決定を下しているが、その原因は、オスプレイの事故が相次いだことである。今回のオスプレイの飛行停止は、日本領内に配備されている輸送機も対象となっている。
米空軍特殊作戦司令部の発表によれば、
不具合の原因が解明され、問題を取り除く措置が講じられるまで、運用の再開はないとのこと。
垂直離着陸輸送機「オスプレイ」は、米国のボーイング・バートル社とベル・ヘリコプター社が共同で開発した航空機である。短い滑走路で、垂直に離着陸することが可能でありながら、それを上回る高い航続性と速度能力を有する。この航空機の開発は、1980年にイランで人質に取られた米国人の身柄の解放に失敗した後、必要に迫られるようになったものである。そして1981年、米国防総省によって、「統合垂直離着陸研究(JVX)」という名称の計画で新型機の開発が開始した。初飛行は1989年に行われ、その後、試験飛行が始まり、改良が加えられるようになり、2007年には、改良型のMV–22Bが米海兵隊に実戦配備された。米空軍が空軍仕様のCV–22Bを配備したのは2009年である。
オスプレイは、米軍に配備されて以降、イラク、アフガニスタン、リヴィア、クウェートなどで、輸送用として、また救急医療活動用として何度も使用されてきた。
2011年5月に、米軍特殊部隊が、パキスタンにある潜伏先でアルカイダ指導者ウサマ・ビン・ラディンの拘束作戦を行ったときにも、身元確認の後、ビン・ラディンの遺体を空母「カール・ヴィンソン」に移すのに、他でもないオスプレイV–22が使われた。
近年、安全に関わる数々の問題が発覚し、ときに
事故を起こしたり、犠牲者を出したりしたことから、改良型オスプレイの運用については、議論が巻き起こっていた。事故は試験中にも起こった。1991年から2000年にかけては4件の事故が発生し、合わせて30人が死亡した。また米国内だけでなく、外国でも、犠牲者を含む事故や含まない事故が発生するようになった。とりわけ、2012年には、フロリダ州とモロッコで2機が墜落、2014年にはペルシャ湾周辺でも1機が墜落した。さらに2016年12月13日、MV–22オスプレイが沖縄県名護市安部の沿岸部(名護市から東へ6キロ)で、着陸に際し、墜落した。乗員5名は全員、救出された。
これを受けて、翌日、日本でのオスプレイの運用の中止が発表され、当時の安倍晋三首相は、
遺憾の意を表明し、米国側に対し、「事故原因解明のための詳細な調査を行い、安全を確保するよう」求めた。
ちなみに、在日米軍基地にオスプレイが配備された後、何かが落下したり、エンジン音による騒音問題が発生するなど、周辺住民からは不満の声が上がっていた。
2017年には、イエメン、シリア、豪州の北東沿岸部で、3件の事故が相次いだ。そして2022年になり、3月にノルウェーで、そして6月にカリフォルニアでも事故が発生した。
現在、オスプレイが配備されているのは米国と日本の2カ国だけである。2020年5月10日、日本の自衛隊は、初めてMV−22ブロックCオスプレイを購入した。これは米海兵隊に配備されているMV–22の輸出用改良機である。
2021年2月には、さらに5機のオスプレイが納入された。自衛隊は合わせて21機のオスプレイを発注したことになる。自衛隊は、米軍部隊と何度も合同演習を実施し、日本の護衛艦へのオスプレイの着陸の訓練も行なっていることから、この航空機については熟知している。日本はヘリコプター搭載護衛艦「いずも」などの最新の艦船でのオスプレイの使用を見込んでいる。その主な任務は遠隔地の島の防衛である。
自衛隊は
九州、佐賀県の佐賀空港へのオスプレイの配備を計画しており、現在、防衛省が地元の漁業協同組合との間で協議を行なっている。
航空機の専門家でもある雑誌「祖国の兵器庫」のドミトリー・ドロズデンコ副編集長は、現在、オスプレイに代わる垂直離着陸機はなく、飛行停止は事故原因を解明するための標準的な作業に過ぎないと指摘し、次のように述べている。
「現時点で、これは、世界で唯一の量産型の垂直離着陸機です。兵器を搭載することもできますが、主な任務は軍用輸送です。非常に高価な航空機で、事故原因の分析にも、その修理にも、お金がかかるでしょう。これは、ヘリコプターと飛行機の特性を併せ持った航空機ですが、この万能性こそが、欠陥の原因となっています。それぞれのモードで、異なる力学が使われるからです。この垂直離着陸機の構造上の特性は、プロペラのついた回転翼で、これが飛行機とヘリコプターの両方の機能を搭載することを可能にしているのです。しかしこの機能がもたらす欠点は、安定性に欠けることです。つまり、制御におけるちょっとした過失が大きな事故につながる可能性があるのです。米国がオスプレイの使用を止めることはないでしょう。今年2月に最終試験が行われた最新改良型のCMV−22Bがすでに作られていることを考えればなおさらです。新たな改良型は、(IOC)初期作戦能力をすでに獲得しており、輸送の際に運用することができるのです」。
一方、全ロシア「将校の会」幹部会のメンバーであるアンドレイ・ゴロヴァチューク予備大佐は、少し違った見方を表明している。
「米空軍特殊作戦司令部は、現在も、事故の原因を正確に特定するための、技術的なデータを十分に収集できていません。つまり、これが機械的なミスなのか、設計上のミスなのか、プログラム上のミスなのか特定できていません。もし、設計上の原則的な過失があるのであれば、それに従い、欠陥を排除するための決定がなされることでしょう。これが排除できないものであれば、この改良型を配備しないという決定が下される可能性もあります。結局のところ、現在の飛行停止と調査は、オスプレイの運用能力と今後の長期的な運用計画を決定づけるものになるでしょう」。