台湾は防衛費を増大し、中国無人機に実弾警告射撃を行った。今後、情勢が激化する可能性はあるのか?

© AFP 2023 / Hector Retamal台湾は防衛費を増大し、中国無人機に実弾警告射撃を行った。今後、情勢が激化する可能性はあるのか?
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米国のバイデン政権は、台湾に対し、約11億ドル(およそ1500億円)の武器売却を検討している。ただし、これを実現するには、連邦議会がこれを認める必要があることから、近く、申請を行うことになっている。米政治サイト「ポリティコ」が情報筋からの情報として報じた。
「ポリティコ」によれば、今回の計画には、対艦ミサイル「ハープーン」の空中発射型60発、空対空ミサイル「サイドワインダー」およそ100発、これまでに売却した監視レーダーの関連費用が含まれる。このミサイルには、台湾空軍が保有する米国製F16戦闘機が搭載できる。これは2020年10月に、台湾が24億ドル(およそ2500億円)で対艦ミサイル「ハープーン」を購入して以来の大型契約となる。そして、台湾は共和党からも民主党からも絶大な支援を受けていることを考慮すれば、この申請が議会側から反対されることはないものと見られる。
これより前、米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は、米国はこれまでと変わらず、「1つの中国」という考えを支持しているとし、いかなる国によっても、一方的な現状変更は認められないとする立場を明らかにした。
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一方、8月初旬に、米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪れたが、中国政府は、このペロシ議長の台湾訪問を台湾の分離主義勢力を支持するものだと指摘している。これを受け、中国軍は台湾に追加部隊を配置し、台湾海峡で、射撃訓練を含む大規模な軍事演習を行った。しかし、8月14日の演習終了に際し、米上院議員のエドワード・マーキー氏を代表とする訪問団が台湾を訪れた。訪問に関し、詳細は明らかにされていないが、メディアは米国の政治家らは台湾の政府高官らと会見し、地域の安全、貿易、投資について意見を交わしたと伝えている。
一方で、ペロシ議長の台湾訪問および中国の軍事演習実施の後、台湾行政院(内閣)は、2023年の防衛予算を5863億台湾ドル(およそ2兆6500億円)とし、過去最大とすることを提案した。これは前年のほぼ14%増額となる。ただし、これを報じたタイペイ・タイムズは7月31日に、来年の防衛予算は4.09%増額となると伝えている。台湾政府はこうした防衛費の大幅増額が、台湾周辺での中国の軍備増強に対抗する必要があるためだということを隠してはいない。そしてその数日後、対抗策は実際的なものになった。
台湾軍は、台湾が実効支配する金門島周辺で、中国から飛来したと見られるドローンに対し、初めて実弾警告射撃を行ったのである。これまで、台湾軍は警告弾もしくは無線警告を用いるに止まっていた。
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当然、中国はこうしたすべてに反発している。中国のさまざまな政治家が、これまでに何度も、台湾への武器売却は許し難いことだと発言してきた。7月28日、習近平国家主席は、バイデン大統領との電話会談で、「国家の主権と領土の保全性を断固として守り抜くことは、14億人超の中国人の確固たる意志だ」と述べた。習近平国家主席はまた、バイデン大統領に、台湾問題で「火遊びをする」と、「必ず焼け死ぬ」として、米国を牽制した。
こうした状況について、米シンクタンクのハドソン研究所での勤務経験を持つ、国際ビジネス大学で教鞭をとる米国問題研究家のドミトリー・ミヘーエフ氏は、「スプートニク」からの取材に対し、「戦争は、中国にも、米国にも、また米国の同盟国である日本や韓国にも必要のないもの。全ての国は、緊密な経済関係で結びついている」と指摘している。

「中国では10月に第20回共産党大会が開かれ、そこで習近平国家主席の3期目続投が宣言されると考えられていることから、今、中国に戦争はまったく必要ありません。一方、米国では11月に中間選挙が行われます。戦争は経済、金融、人的資源を枯渇させます。地球上に新たな戦場ができると、世界経済は壊滅状態になってしまいます。低強度紛争、つまり通常戦争と平和状態の中間にあたる緩やかな紛争は、米国に味方します。なぜなら第一に、これは自国の兵士を使うことなく、各国の軍に軍事支援を送るだけでいいからです。第二に、米国の軍事産業はこれらの紛争で利益を上げています。これらの発注からは多額の支払いが得られるからです。第三に、このような状況は、米国に、世界的覇権の野望を実現するチャンスを与えます。米国にはCIA、FBA、軍事産業の強力なロビー活動家団体がおり、世界のさまざまな地域で情勢の不安定を促しています。しかし彼らは同時に、これが通常の戦争状態にならないよう全力を注いでいるのです」。

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