南北合意は重要性を失ったのか?

© AP Photo / Pyongyang Press Corps Pool 2018年9月19日付の南北軍事合意
2018年9月19日付の南北軍事合意 - Sputnik 日本, 1920, 15.10.2022
韓国大統領府は、北朝鮮が核実験を実施した場合、2018年9月19日付の南北軍事合意を破棄することを検討している。
スプートニクは韓国のイニシアチブの背後にある本当の理由は何なのかを朝鮮半島の専門家と議論した。はたして(文在寅元大統領の努力により締結された)重要な合意が、現実が変化する中で重要性を失いつつあるというのは本当なのだろうか?
この問いへの答えは、つい数日前に北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本の上空を飛んで太平洋に落ちたことを考えると、日本にとっても非常に重要だ。
ロシア科学アカデミー東洋学研究所の朝鮮モンゴル部長であるアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏によると、事態転換の主因は、朝鮮半島で再び緊張が高まっていることだという。
「2018年の南北合意は限定的な内容ではあるものの、それでも存在自体がポジティブなものなのです。というのも、外交官がよく言うように、どんなに行き詰まった交渉でもないよりはいいからです。南北合意は、非武装地帯を含め、南北の信頼醸成措置の強化につながっており、極めて有益です。しかし、韓国の保守系右派勢力はこれに反対しています。そんなことをしても韓国の安全保障にはまったく資さないのに。それどころか、平壌の対抗措置と緊張激化を招くだけです。たとえば、北朝鮮は開城工業団地にあった南北協力事務所を爆破しました(2020年)。ですから、南北合意に反対する人たちが何を目標にしているのか、よく分かりません」
林外相 - Sputnik 日本, 1920, 14.10.2022
北朝鮮のミサイル発射は日本の平和と安全を脅かす=林外相
南北合意破棄がもたらす結果は、ソウルが新しい軍事演習を準備する「足かせが外れる」ことだけだ。そして、これは、これまでの韓国指導部の緊張緩和の努力を台無しにし、南北の緊張を高めることにしかつながらない、とヴォロンツォフ氏は言う。
非常に残念なのは、朝鮮半島情勢の健全化を本当に促進したのが2018年の南北合意だったからだ、とヴォロンツォフ氏は指摘する。
「なぜなら、この合意は軍事領域の実務的な措置につながったからです。非常に稀なことです。たとえば、非武装地帯で一連の監視所が廃止され、軍隊が撤退したことは、ソウルと平壌の関係の困難さを考えると、和平プロスセスにとって非常に重要です。南北問題での実務的な進展は(過去数十年で)両手で数えられる程度しかないことを考えれば、2018年の南北合意の価値が非常に高いことが分かります。これまでの合意は主に、単なる意向や宣言のレベルにとどまっていたのですから」
だからこそ、2018年の南北合意を破棄することは、韓国側からの決して建設的なイニシアチブとは言えない、とヴォロンツォフ氏は考える。
北朝鮮のミサイル - Sputnik 日本, 1920, 04.10.2022
「岸田首相は喜んでいるはずだ」 北朝鮮が実際の射程距離でICBMの発射実験を準備=専門家
特に、朝鮮半島情勢が再び悪化していることを踏まえればなおさらだ、とヴォロンツォフ氏は言う。

「双方がお互いに相手が情勢を緊迫化させていると非難する新たな対抗措置のサイクルが始まっています。これはソウルにとっても、平壌にとっても良いことではありません。かつて(南北合意が遵守されていた期間)は、お互いに軍事的抑制を守っていました。アメリカは韓国との合同軍事演習を行わず、北朝鮮も長距離大陸間弾道ミサイルの実験を行いませんでしたし、何より重要なのは、核実験もやらなかったということです。バイデンがホワイトハウスに来て以降、北朝鮮は1年間その政策を注視し、新政権の政策がトランプ路線とは本質的に違うという結論に至ったのです」

アメリカの新政権は、北朝鮮指導部と前提条件をつけずに、どこででも会談する用意があると「美しい言葉」は並べたものの、実際にアメリカが取った措置は厳しい制裁で平壌を「締め上げる」ものである。
アメリカと北朝鮮が平等な対話をできる見込みは今まで通りない、とヴォロンツォフ氏は言う。
「だから平壌は1月に核実験の自主的モラトリアムを解除したのです。まだ実際の実験は行われていません。しかし、アメリカと韓国はその日を「すばらしい根気強さ」で待ち望んでおり、公然と北朝鮮を挑発し、核実験を行わせようとしています。米韓は常に期待しているのです。例えば、韓国の新大統領の就任式の日に北朝鮮が核実験を行う可能性があるとか、バイデン大統領の訪韓中に行う可能性があるなどと書かれていました。しかし、その具体的な日になると、何も起こりません。つまり、北朝鮮は何もしていないのに、情報空間の緊迫化だけが常に起こっているのです」
平壌に対する新たな「地獄の制裁」はいつでも用意万端で、必要なのは口実だけである。とはいえ、これ以上どんな制裁を追加できるのかは不明だ。なにしろ、北朝鮮はすでに半世紀近くにわたって制裁圧力を受け続けているのに、朝鮮半島の平和は少しも近づかないのだ。
核兵器(イメージ) - Sputnik 日本, 1920, 11.10.2022
核のレトリック:虚偽報道?それともハルマゲドンは現実なのか?
唯一の安定した成果といえば、地域の緊張が危険なほどに高まることだけだ。
それでも、北朝鮮の潜水艦からの新たな弾道ミサイル発射は、アメリカにも同盟国にも直接の脅威ではないと米国防総省は述べている。しかし、これで日本は安心できるのだろうか?
最近の米韓合同軍事演習の際、米韓が自ら発射したミサイルが韓国領にある軍事基地に落下し、地元住民を北朝鮮の核実験と同じくらい地元住民を驚かせたことも考えると、決して安心はできないだろう。
関連ニュース
浜田防衛相が北朝鮮の核開発について衆院で答弁、「核の小型化と弾頭化をすでに実現しているとみられる」
金正恩氏、9月25日から10月9日にかけて戦術核演習を視察
ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала