西側の禁輸措置がどう転んでもロシアに効かない理由 3つのシナリオ

© Sputnik / Vitaly Podvitsky欧米による対露制裁
欧米による対露制裁 - Sputnik 日本, 1920, 07.11.2022
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ウクライナ情勢の悪化以来、米国や欧州をはじめとする嫌露西側グループの諸国は、ロシア産の石油、ガス、石炭などの貿易に対して様々な制限を課している。12月には欧州連合(EU)のロシア産石油禁輸措置のほか、日本を含む主要7カ国(G7)によるロシア産石油への上限価格が導入される。また、欧州ではロシア産ガスへの禁輸措置の議論も活発に行われている。そうしたなか、英紙「エコノミスト」は、どう転んでも禁輸措置が功を奏することはなく、西側諸国を待ち受けるのは資源の争奪戦と経済崩壊だと指摘し、3つのシナリオを紹介している。
同紙が描く第1のシナリオは、EUが予定通りロシア産石油を禁輸し、ロシア産資源を運ぶ貨物船への保険適用を禁止するというもの。アナリストは、これによって欧州がアクセスできるエネルギー資源の量が減り、年間需要の17パーセントにも上るガス不足(量にして840億立方メートル)が到来すると予想する。
コンサルティング会社「McKinsey & Company」のナミット・シャルマ氏は次のように述べている。

「『ノルドストリーム』(ロシアから欧州へ天然ガスを供給するパイプライン。現在は供用停止中)が来年に再開しなかったら、欧州のエネルギー不足は悪化の一途をたどり、資源の節約もより一層厳しくなるだろう」

ロシアはというと、このシナリオではアジアで別の買い手を見つければいいだけなので、ほとんど失うものはないという。
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第2のシナリオはロシアの対抗措置による「エスカレーション」。ロシアがウクライナを経由するガスパイプラインの栓を占めると、EUは年間で数百億立方メートル規模のガスを失うことになる。そうなれば欧州は石油のときと同じようにロシア産ガスの上限価格の設定という形で追加の対抗措置を取ることになりそうだ。
だがそうした場合、クレムリン(ロシア)は石油減産を求めて石油輸出機構(OPEC)諸国に掛け合い、損益を相殺するというオプションもある。すでに10月にはOPEC+がバイデン米大統領の期待を裏切り、ロシアに有利な減産に舵を切ったことも忘れてはならない。
第3のシナリオは最も極端なもので、ロシアがトルコを経由するパイプラインやノルウェー経由のガス供給を止めるというもの。これによって欧州は年間700億立方メートルのガスを失うことになり、経済的には2023年に2兆5000億米ドル(365兆円)、2024年に2兆ドル(292兆円)の経済的損失を被ることになる。
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西側諸国は自らの発動した対露制裁によって、深刻なエネルギー不足や高インフレに悩まされており、労働者階級である一般国民にしわ寄せが及んでいる。だが現在のところ、無益な対露制裁合戦をやめて真に国民の生活を第一に考えるリーダーは西側諸国には現れていないようだ。
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