【解説】11月に日中首脳会談が行われる可能性は十分 何について協議するのだろうか

© AP Photo習近平氏と岸田氏
習近平氏と岸田氏 - Sputnik 日本, 1920, 10.11.2022
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日本では、11月中に、岸田文雄総理大臣と中国の習近平国家主席との会談を実施するための準備が進んでいる。日中首脳会談の実施を促しているのは、今年、両国が日中国交正常化50周年を迎えたことである。また11月には東アジアで、いくつもの国際会議が次々と予定されており、そのうちの1つが、ちょうど日中首脳会談の場所になり得るとされている。
その国際会議とは、カンボジアで開かれるASEAN(東南アジア諸国連合)サミット(11月10日〜13日)、インドネシアで開かれるG20サミット(11月15日〜16日)、タイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)サミット(11月18日〜19日)である。
10月に、岸田総理は、習近平国家首席が3期目の党総書記に選出されたことを祝福し、国交正常化50周年のこの年に、「中国との安定した建設的な関係」を築くことを目的とした直接対話を行う用意があると表明した。
日中首脳会談のテーマになる可能性があるのは、尖閣諸島周辺海域への中国船籍の侵入の頻発、台湾をめぐる緊張、北朝鮮のミサイル発射、ロシア・ウクライナ紛争、そしてそれによる世界経済への影響などである。
中国共産党の習近平総書記 - Sputnik 日本, 1920, 16.10.2022
中国は台湾との平和的な再統一を望んでいるが、武力行使は放棄しない=習近平氏
読売新聞の世論調査で内閣支持率が36%にまで低下しているのを背景に、岸田総理は、せめて外交レベルで何らかの成功を収めようとしているのである。
とりわけ、習近平国家主席が最近、日本の主要な同盟国である米国との関係を改善しようとする兆しを見せていることから、中国との関係正常化は岸田内閣にとって重要なものとなっている。
しかし、中国・近代アジア諸国研究所、日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、日中首脳会談が行われても、両国関係に大きな進展はないだろうと見ている。

「この会談で大きな進展はないと思われます。もし日本の首相が、クリル諸島(北方四島)問題や北朝鮮の拉致問題を解決すれば、支持率は一気に90%にまで上昇するでしょう。しかし、今回の場合、首脳会談は日本の内閣支持率には何の影響ももたらしません。現在の支持率低下は、食品や電気の価格高騰や統一教会に絡んだスキャンダルなど、もっぱら内政問題によるものです。これが首相の権威に傷をつけたわけですが、首相が何をしようとも、経済状況をすぐに画期的に変えることはできません。重要なのは、これ以上、状況を悪化させないことです。

問題を悪化させる可能性があるとすれば、それは台湾での紛争です。しかも台湾をめぐる緊張の激化は、日本にも中国にも必要のないものです。日本と中国は、地域における重要な貿易経済パートナーです。そして現在、この機会を利用し、日本は、台湾をめぐる状況に対する自国の見解を、直接、中国の指導者に伝え、平和的な解決を呼びかけようとしています。もし会談が実現すれば、おそらく、この問題が最大の議題となるでしょう。

日本にとって、重要な貨物が通過する台湾海峡とバシー海峡周辺の安全保障はきわめて重要なものです。

もしも情勢が悪化し、軍事紛争が起こるようなことがあれば、日本の経済には莫大な損失が及びます。しかも、日本も、国内に米国の軍事基地があるという理由によって、軍事行動への参加が避けられなくなります。日本では、そうしたシナリオに向けた準備が進んでおり、そのことは2022年の防衛白書にも記されています。そして中国はそのことを知っています。しかし、重要な分水界は、日本と中国の間ではなく、中国と米国の間にあるのですがこれはまた別の話です」。

一方、アジア太平洋地域研究・発展予測センターのセルゲイ・サナコエフ代表は次のような見解を明らかにしている。

「岸田首相と習近平国家主席の会談は、バリで開かれるG20サミットの際に行われる可能性があります。ただし、プロトコル上の事情から中止される可能性もあるとわたしは考えています。中国と日本は地域の隣国でありパートナーです。

長年にわたる数多くの紛争をもつこの地域にとって、中国と米国のような国の競争は、大きなリスクを孕んでいます。日本に対する中国の立場は単純明快です。それは、もし米国に追従せずに独自の主権的な政策をとるのであれば、中国とは合意に達することができ、互恵的な経済・政治関係を築いていくことができるというものです。

中国は、依然として、アジア太平洋地域における米国の覇権に納得していません。中国の選択は多極的な世界です。台湾をめぐる紛争が激化した場合、日本は自国の利益と米国の利益のどちらを取るのかを選択しなければなりません。ですから、政治のリーダーたちは、新たな現実をより良く理解し、地域の危機を大々的な軍事紛争に発展させないためのメカニズムを構築するべく努力しなければならないのです。

だからこそ中国は、日本に、これは日本にとって不利な戦略だというシグナルを送ろうとしているのです」。

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