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【解説】節電は一時的なものなのか、長期的なものになるのか?
【解説】節電は一時的なものなのか、長期的なものになるのか?
Sputnik 日本
... 2022年12月5日, Sputnik 日本
2022-12-05T17:13+0900
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「人為的な」危機の原因は制裁だが、それには「触れない」ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所、日本経済政治グループを率いるビタリー・シヴィトコ氏は、2022年の新たな電力の「節約動員」を行うために発表された理由は、かなり「ぼんやりとしたもの」に感じられると話す。このように、日本人の頭の中では、電力が制限される本当の理由が明確には示されていない。社会における議論に上っているのは、主に国民に対する支援策や補助金の額などであり、対ロシア制裁の正当性やその解除などではない。しかし、他でもないそうした実用的な決定こそが、エネルギー市場の安定の基礎なのである。全世界を襲う危機日本経済新聞は、欧州で始まったエネルギー危機は、すでに全世界に広がり始めていると指摘している。また天然ガスをめぐる世界的な戦いもすでに始まっている。しかも、エネルギーをめぐる緊張は、ロシアが世界のエネルギー市場から「追放」されているうちは、(1年や2年以上ではなく)10年にわたって維持されるだろうとの見解がたびたび聞かれるようになっている。従って、節電キャンペーンが2022年から2023年で終わらないという可能性も当然、除外できない。しかし、日本人特有の「謙虚さ」は、多くの制限をより長期にわたって我慢するのに十分なものなのだろうか。日本政府の行動から判断して、政府は米国とEU諸国の対ロシア制裁に断固として賛同したときに、国民にそのような影響を与えることになるとは考えもしなかったと思われる。「救命浮輪」は日本の近くのサハリンにある一方、モスクワ大学アジアアフリカ諸国研究所のアンドレイ・フェシュン副所長は、エネルギー危機と欧州の産業の「困難な状況」が厳しさを増すにつれて、連帯する西欧諸国の「流れに対抗する」だけの賢明さが、日本にはまだ十分残されていると指摘している。物価は急激に、そして予想不可能な形で上昇摘している。一方、チャーターガス運搬船は、ようやく日本の消費者に届くまでに、「世界の半分を周らなければならない」。それに引き換え、サハリンは日本の「すぐそばに」ある。リスクも価格も上昇さらに、日本は、現在、米国が中国とますます大きくしている地域の地政学的リスクを無視することはできないとフェシュン氏は指摘している。かつてのパートナー国は「引っ張りだこ」:日本に供給する余裕などない?日本は常に、ロシアに対するエネルギー依存が10%を超えていないことを「誇りに」してきた。そこで、いつでも中東のパートナー国との安定した関係に「賭けて」きた。アンドレイ・フェシュン氏は、「しかし、現在の『世界の上限』と、中東のエネルギー資源をめぐる世界的な奪い合いという状況によって、中東は世界の覇権者である米国に依存しない、より自由な振る舞いをするようになっている」と指摘する。そしておそらく、日本人が、電気料金の値上げと節電という形で現れている現在の『不幸』をどれだけ長く我慢できるかは、まさにこうした考えとその後、日本の政府と経済界によって下される決定にかかっている。日本経済新聞は、日本エネルギー経済研究所、ガスグループマネージャーである橋本裕氏が、2022年は液化天然ガスの最終投資決定(FID)イヤーになると指摘したと報じている。計算高い中国と先見の明のない日本?(危機を背景に、最大の特権を手にする米国に現在注目が集まっている)合意は主に15年から20年あるいは25年で結ばれている。その中には、中国向けに1100万トンが供給される契約があるが、日本企業はまだ1件も契約を結んでいない。しかし、その上で日経新聞は、中国が長期契約を結ぶ相手は米国に制限されていないと指摘している。すでに明らかになっているように、中国は、カタールともロシアとも、複数の合意を結んでいる。一方で日本は何十年もの間、自国のエネルギーバランスにおけるロシアの割合を高めることに慎重な態度をとってきた。そして依然として、中東へのいわゆる「3つの海」を渡ることを選んでいるのである。しかし、必要なだけ、サハリンのエネルギー資源を購入すれば、節電で自国民を困らせることもしなくて良いのである。このような優柔不断がもたらす結果がどのようなものになるのかはかなり疑わしいものである。それは、米国との戦略同盟関係における「服従的な態度」によって、前代未聞の防衛費増大という結果がもたらされたのと同様である。そうした結果、一般の人々の生活においては生活水準が低下し、またどれだけ続くか分からない節電を強いられるということなのである。
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【解説】節電は一時的なものなのか、長期的なものになるのか?
日本では、冬の節電キャンペーンが始まった。日本政府は国民に対し、室内の暖房設定温度を下げるよう呼びかけている。同様の策が最後に講じられたのは2011年、「福島」の事故後で、そのとき日本の国民は、その理由が自然災害という並外れたものであったことから、節電要請にも理解を示した。日本政府は今回、どのような特別な動機によってこうした要請に踏み切ったのか、日本国民はこうした措置をこれをもっともなものだと納得し、長期にわたって受け入れることができるのか、「スプートニク」が専門家に取材した。
「人為的な」危機の原因は制裁だが、それには「触れない」
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所、日本経済政治グループを率いるビタリー・シヴィトコ氏は、2022年の新たな電力の「節約動員」を行うために発表された理由は、かなり「ぼんやりとしたもの」に感じられると話す。
「つまり、理由は複数あるのです。しかし全世界において理由は一つ、それはもっとも厳しい電力危機の引き金となった対ロシア制裁です。一方で、日本のメディアは電気料金の高騰は対ロシア制裁と直接関係ないとしており、エネルギー資源の危機は、何より、全体的な地政学的に不安定な状態が強まったためだと説明されています。
(世界で緊張を引き起こしている)要素の中として挙げられているのは、コロナウイルスによるパンデミック、米中の対立、ウクライナ紛争などです。
つまりこれらすべてが重なったことが原因だとしているのです。このように、世界のエネルギー市場の不安定さを生み出している本当の第一の原因は『あいまいにしたまま』なのです。電気料金高騰の問題は、ネガティブなものとしつつも、地域的なものではなく、日本人を含めた世界のプロセスに『打撃を与える』ものとして『提示して』いるのです」。
このように、日本人の頭の中では、電力が制限される本当の理由が明確には示されていない。
社会における議論に上っているのは、主に国民に対する支援策や補助金の額などであり、対ロシア制裁の正当性やその解除などではない。しかし、他でもないそうした実用的な決定こそが、エネルギー市場の安定の基礎なのである。
日本経済新聞は、欧州で始まった
エネルギー危機は、すでに全世界に広がり始めていると指摘している。また天然ガスをめぐる世界的な戦いもすでに始まっている。
しかも、エネルギーをめぐる緊張は、ロシアが世界のエネルギー市場から「追放」されているうちは、(1年や2年以上ではなく)10年にわたって維持されるだろうとの見解がたびたび聞かれるようになっている。
従って、節電キャンペーンが2022年から2023年で終わらないという可能性も当然、除外できない。しかし、日本人特有の「謙虚さ」は、多くの制限をより長期にわたって我慢するのに十分なものなのだろうか。
日本政府の行動から判断して、政府は米国とEU諸国の対ロシア制裁に断固として賛同したときに、国民にそのような影響を与えることになるとは考えもしなかったと思われる。
一方、モスクワ大学アジアアフリカ諸国研究所のアンドレイ・フェシュン副所長は、エネルギー危機と欧州の産業の「困難な状況」が厳しさを増すにつれて、連帯する西欧諸国の「流れに対抗する」だけの賢明さが、日本にはまだ十分残されていると指摘している。
「現在、事実上、全世界がエネルギー資源の高騰により文字通り『恐怖に包まれて』います。しかし日本は、(米国の同盟国でありながら)ロシアとのガス供給契約を破棄しなかった数少ない国の一つです。米国がいかに努力しようと、日本企業は日本に『重要なエネルギー源』を提供してくれる『サハリン1』と『サハリン2』のプロジェクトから撤退しないと決めました。危機的状況にある日本の国民にとって、これは非常によいニュースです。幸いにも、日本の経済学者たちは実用主義的だったというわけです。
ですから、近い将来、ロシア産ガスの供給量がさらに増加したとしても、わたしは驚きません。というのも、(西側寄りで、反露的な論調の)日本経済新聞ですら、ロシアのエネルギー資源を拒否することは理性的ではないとの見解を示しているのです。これはガス不足のためだけではなく、カタール産の液化天然ガスの輸送費が大幅に高騰していることにもよります」。
物価は急激に、そして予想不可能な形で上昇摘している。一方、チャーターガス運搬船は、ようやく日本の消費者に届くまでに、「世界の半分を周らなければならない」。それに引き換え、サハリンは日本の「すぐそばに」ある。
さらに、日本は、現在、米国が中国とますます大きくしている地域の地政学的リスクを無視することはできないとフェシュン氏は指摘している。
「かつて、ガス運搬船は台湾海峡を通過して『航行』していましたが、紛争が起きた場合には、それを回避することになります。一方、マラッカ海峡では今でも海賊が出没しています。これは、あらゆる意味において、『荒れた海』であり、そのためガス運搬船の保険料はどんどん上昇しています。加えて、時間的な要素もあります。というのも、輸送には2週間ほどかかるのです。しかし、サハリンのエネルギー資源は実質2日で日本に輸送することができます。従って、当然ながら、時間と費用の節約ができるわけで、これは日本の経済にとってかなり重要なことなのです」。
かつてのパートナー国は「引っ張りだこ」:日本に供給する余裕などない?
日本は常に、ロシアに対するエネルギー依存が10%を超えていないことを「誇りに」してきた。そこで、いつでも中東のパートナー国との安定した関係に「賭けて」きた。
アンドレイ・フェシュン氏は、「しかし、現在の『世界の上限』と、中東のエネルギー資源をめぐる世界的な奪い合いという状況によって、中東は世界の覇権者である米国に依存しない、より自由な振る舞いをするようになっている」と指摘する。
「カタールはすでに自国産のガスを今後何年かにわたり中国に売るという契約を結びました。欧州諸国にはほとんど何も残らない状況です。これは多くのことを意味します。そこで日本は今、未来のエネルギー安全保障について考えなければならなくなりました」。
そしておそらく、日本人が、電気料金の値上げと節電という形で現れている現在の『不幸』をどれだけ長く我慢できるかは、まさにこうした考えとその後、日本の政府と経済界によって下される決定にかかっている。
日本経済新聞は、日本エネルギー経済研究所、ガスグループマネージャーである橋本裕氏が、2022年は液化天然ガスの最終投資決定(FID)イヤーになると指摘したと報じている。
(危機を背景に、最大の特権を手にする米国に現在注目が集まっている)合意は主に15年から20年あるいは25年で結ばれている。その中には、中国向けに1100万トンが供給される契約があるが、日本企業はまだ1件も契約を結んでいない。しかし、その上で日経新聞は、中国が長期契約を結ぶ相手は米国に制限されていないと指摘している。すでに明らかになっているように、中国は、カタールともロシアとも、複数の合意を結んでいる。一方で日本は何十年もの間、自国のエネルギーバランスにおけるロシアの割合を高めることに慎重な態度をとってきた。そして依然として、中東へのいわゆる「3つの海」を渡ることを選んでいるのである。
しかし、必要なだけ、サハリンのエネルギー資源を購入すれば、節電で自国民を困らせることもしなくて良いのである。このような優柔不断がもたらす結果がどのようなものになるのかはかなり疑わしいものである。それは、米国との戦略同盟関係における「服従的な態度」によって、前代未聞の防衛費増大という結果がもたらされたのと同様である。そうした結果、一般の人々の生活においては生活水準が低下し、またどれだけ続くか分からない節電を強いられるということなのである。