【視点】東京五輪の汚職スキャンダル 懲罰は必至、でもどうして日本の汚職は後を絶たない?

© AP Photo / Issei Kato/Pool高橋治之被告
高橋治之被告 - Sputnik 日本, 1920, 08.12.2022
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日本では東京五輪2020で行われた大規模な汚職の捜査が行われている。大会組織委員会元理事の高橋治之被告には開催に関係した様々な企業から賄賂を受領した疑いがかけられている。
スプートニクは、「日本のトップ」で起きた、この汚職を、変わりようのない現象とみなす根拠はあるのか、五輪スキャンダルが「指導者ら」の間でさく裂し、国民社会における与党自民党の地位を深刻に「揺さぶる」ことになるのかどうか、検証を試みた。
11月末、東京五輪汚職疑惑で6社の企業で捜査が行われた。今回、明るみになった五輪スキャンダルは、日本の汚職はもはや偶然の産物ではなく、法則的に起きる現象であることを立証している。日本政治、歴史、国際関係の専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏は、そうした否定的な傾向にもかかわらず、汚職対策は強化されていると見ている。
「日本では日常的な場面では汚職はほとんどないが、企業がらみの汚職は存在する。高官だけではなく、首相も含め、国の最高指導部が絡んだ汚職のケースも多数存在している。このため、今回のような汚職スキャンダルは一般の日本人にとっては非常な驚きではもはやない。『巨額の金が動く』場面では人間は『誘惑に負ける』ものであり、日本のエスタブリッシュメントも例外ではないからだ。それでも日本の汚職対策は効果を発揮している。これは司法権の独立があるためであり、検察も強力で最高指導者を含め、最高の地位にある役人に対しても揺るぎなく刑事責任を追及する。こういう例は後を絶たない」
1988年に起きたリクルート事件でも政治家の多くが辞職を迫られたが、竹下登首相も汚職に関与していた。結果として竹下内閣は解散に追い込まれた。
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だが、のちに首相を務める宮沢喜一氏、小渕恵三氏などをはじめとする数名は後日、政治の場に復帰している。
今回の汚職は今まで起きた似たような事例に比べ、日本社会のより大きな注目を呼んだということについて、ストレリツォフ氏は、客観的で重要な道徳的理由があることを示していると指摘する。とはいえ、今回の汚職スキャンダルは本当の意味で「五輪の大々的な大風呂敷」の規模に拡大され、数年にわたって続けられていた。

「汚職が五輪施設にまで及んだということがこのスキャンダルに特別な『魅力』というか、『スパイス』を加えている。日本人にとって五輪開催までの道は清廉潔白さの象徴だった。だから五輪汚職スキャンダルが日本人の憤慨を招いていることは当然だ。

これは与党自民党の支持率にも世界の日本の格付けにも強烈な打撃となりうる。そもそも東京五輪は日本のイメージアップの一大プロジェクトだった。日本は何年もかけて世界に『五輪招致国としてふさわしい』 姿を作り上げてきた。

2016年のブラジル五輪閉幕式では、今や故人となった安倍元首相自ら、スーパーマリオに扮して自国を『宣伝』した。だからこそ、このスキャンダルに日本国民は、五輪がこれだけの巨額の汚職の中心になったことに大きく失望した。日本の五輪史にネガティブな反響を呼んだ『恥ずべきページ』であり、国際的にもこれは、少なくとも目につかないわけにはいかないだろう」

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とはいえ、五輪汚職が自民党や現岸田内閣にとって「ブーメラン効果」になるとは限らないとストレリツォフ氏は語る。
「それは日本人は政治家と党を分けて考えているからだ。つまり、こうしたスキャンダルにおいて、どこの党に所属しているということは決定的な意味を持たない。確かに(汚職の事実が発覚したことで)罪深い内閣が解散し、首相が辞任に追い込まれることもありえる。それでもしばらくすれば、与党の支持率は元の高い水準に戻ってくるし、元の水準を上回ることもある。それは日本人が、別の人物が首相になることイコール政権交代とみなしているからだ」
岸田首相がこの汚職に責任をとって辞任する可能性も低い。ストレリツォフ氏は、岸田氏は五輪開催時にはまだ首相に就任してはおらず、汚職の時期から外れているために責任負担から免れていると考えている。
それでもストレリツォフ氏は、汚職は多くの国に見られることから、日本の五輪スキャンダルはおそらく、世界での日本のイメージを破壊的に損なうことはないと考えている。
日本は、汚職大国という悪評をたてられたことは一度もなかった。だがこの先、普通の日本人にとっての五輪の祝典のイメージは、スポーツ選手の輝かしい勝利を連想させるだけでなく、大がかりな汚職スキャンダルの「暗い影」もついてまわることになるだろう。
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