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【解説】中国空軍は米国の空母にミサイルを誘導できるか?
【解説】中国空軍は米国の空母にミサイルを誘導できるか?
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... 2023年4月28日, Sputnik 日本
2023-04-28T07:05+0900
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この第10爆撃機師団というのは、中国人民解放軍空軍の主要な爆撃部隊である。2022年11月30日、第10爆撃機師団の第28航空連隊の爆撃機2機が、ロシアのツポレフ95と共に対馬海峡を哨戒飛行した。そんなわけで、新たな無人機の登場は一定の懸念を呼び起こしている。公表されたすべてが真実ではないまず思い出さなければならにのは、この話には多くの嘘があるということである。たとえば、WZ8は、ミサイルエンジンYF-50Aを2基有していると言われているが、これは宇宙に打ち上げられた衛星の軌道を修正するために使われている小さなエンジンで、その推力は米国の巡航ミサイルBGM-109トマホークのエンジンの2倍である。中国の無人機にはエンジンが2基あるため、推力は米製の巡航ミサイルの4倍となる。しかし、「トマホーク」は重量1200キロで、速度は時速880キロに達するが、中国のWZ8は重量おおそ5000キロで、時速3675キロまで出せるというのである。しかしこれはにわかには信じ難い。おそらく、エンジンはこれとは違ったもので、はるかに強力なものだろう。たとえば、米製の巡航ミサイルのエンジンの30倍の推力を持つ第3段用のYF-40である可能性がある。このエンジンが2基あれば実際、マッハ3の速度を達成することができる。敵の偵察部隊に、誤った方向のものを模索させるために、エンジンの指数はどうとでも書けるのである。想像するに、WZ8は非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素を推進剤とする2基のエンジンを搭載した航空機である。この推進剤は非常に効果があるが、きわめて毒性の高い燃料である。航空機は爆撃機から時速700〜800キロほどの速度で空中発射され、その後、スピードを上げ、高度を上げる。そしてエンジンが切れると、無人機は少しずつ向きを変え、元の基地に帰還する。このような無人機が2.5キロ飛行しながら、300メートルごとに高度を下げるよう設計されている場合、高度48キロから着陸するのにはおよそ400キロ飛行すると考えられる。つまりこの航空機は高速で長く飛行することはできない。ミサイルエンジンの比推力はおよそ300秒であるが、WZ8の燃料は2000リットルほどと少ない。そこで、1度速度を上げた後は、飛行場に戻る設計になっているのである。正確で絶え間ない偵察ではなぜこのような航空機が必要なのか。それはもちろん、偵察のためである。WZ8は武器を搭載してはいないと思われる。おそらく、開発された目的はそれではないだろう。とはいえ、望めば、150〜200キロの爆薬を搭載し、巡航ミサイルにすることは可能である。可能性としてもっともあり得るのは、WZ8は偵察、そして敵の艦船などのような航行中の目標物に異なるミサイルを誘導することを任務としているということである。WZ8はこの課題も十分に遂行できると考えられる。偵察無人機は、海上の目標物の攻撃に際し、爆撃機H6の可能性を大きく広げるものである。偵察衛星あるいは早期警戒管制機のデータに応じて、Н6編隊は敵の艦艇のいる場所に接近する。編隊のある航空機が正確な偵察を行うためWZ8を空中発射し、他の航空機はそこからデータを収集し、対艦ミサイル発射の準備を行う。もし命中しなかった場合、あるいは損傷を与えた場合には、基地に戻り、新たな弾頭を備え、もう一度攻撃する。この手法は、コンセプトとしては悪いものではなく、航行中の海上の目標物を攻撃する際の多くの問題を解決することを約束するものである。しかし、それが本当にうまくいくかどうかは、実際の戦闘でしか確認することはできない。関連記事
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中国, 航空, ミサイル, オピニオン, 軍事, 中米関係
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【解説】中国空軍は米国の空母にミサイルを誘導できるか?
最近、米国防総省の機密文書が流出した。2022年8月9日付のある文書には、中国の偵察無人機「WZ8」の使用について書かれている。この無人機は戦略爆撃機H6から発射されるもので、文書によれば、高度およそ30キロをマッハ3の速度(時速3675キロ)で飛行し、リアルタイムで情報を収集することができるとされる。その後、無人機は基地あるいはその他の空港に戻って着陸することができるようになっており、そのために着陸脚がついている。これまでに明らかになっているデータによれば、無人機は中国東部戦区の第10爆撃機師団に所属している。
この第10爆撃機師団というのは、中国人民解放軍空軍の
主要な爆撃部隊である。2022年11月30日、第10爆撃機師団の第28航空連隊の爆撃機2機が、ロシアのツポレフ95と共に対馬海峡を哨戒飛行した。そんなわけで、新たな無人機の登場は一定の懸念を呼び起こしている。
まず思い出さなければならにのは、この話には多くの嘘があるということである。
1.
第一に、機密情報の漏洩によって明らかになった文書に真実が書かれていると信じてはならない。文書の内容は、全面的あるいは部分的に捏造され、何らかの目的のために漏洩に見せかけて公表されたものである可能性も除外できないからである。
2.
第二に、中国のメーカーは
爆撃機WZ8の性能について何らかの情報を発信しているものの、すべての真実を明かす義務を負ってはいない。彼らが公表している性能が、仮想敵に虚報を与えるために、実際よりもよく、あるいは悪く改ざんされている可能性もある。
たとえば、WZ8は、ミサイルエンジンYF-50Aを2基有していると言われているが、これは宇宙に打ち上げられた衛星の軌道を修正するために使われている小さなエンジンで、その推力は米国の巡航ミサイルBGM-109トマホークのエンジンの2倍である。
中国の無人機にはエンジンが2基あるため、推力は米製の巡航ミサイルの4倍となる。しかし、「
トマホーク」は重量1200キロで、速度は時速880キロに達するが、中国のWZ8は重量おおそ5000キロで、時速3675キロまで出せるというのである。しかしこれはにわかには信じ難い。おそらく、エンジンはこれとは違ったもので、はるかに強力なものだろう。
たとえば、米製の巡航ミサイルのエンジンの30倍の推力を持つ第3段用のYF-40である可能性がある。このエンジンが2基あれば実際、マッハ3の速度を達成することができる。敵の偵察部隊に、誤った方向のものを模索させるために、エンジンの指数はどうとでも書けるのである。
想像するに、WZ8は非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素を推進剤とする2基のエンジンを搭載した航空機である。この推進剤は非常に効果があるが、きわめて毒性の高い燃料である。航空機は爆撃機から時速700〜800キロほどの速度で空中発射され、その後、スピードを上げ、高度を上げる。そしてエンジンが切れると、無人機は少しずつ向きを変え、元の基地に帰還する。
このような無人機が2.5キロ飛行しながら、300メートルごとに高度を下げるよう設計されている場合、高度48キロから着陸するのにはおよそ400キロ飛行すると考えられる。つまりこの航空機は高速で長く飛行することはできない。ミサイルエンジンの比推力はおよそ300秒であるが、WZ8の燃料は2000リットルほどと少ない。そこで、1度速度を上げた後は、飛行場に戻る設計になっているのである。
ではなぜこのような航空機が必要なのか。それはもちろん、偵察のためである。WZ8は武器を搭載してはいないと思われる。おそらく、開発された目的はそれではないだろう。とはいえ、望めば、150〜200キロの爆薬を搭載し、巡航ミサイルにすることは可能である。可能性としてもっともあり得るのは、WZ8は偵察、そして敵の艦船などのような航行中の目標物に異なるミサイルを誘導することを任務としているということである。
1.
まず、中国では、航行中の船や空母を攻撃することができる核弾頭搭載可能な弾道ミサイルDF-21Dが開発されたことが明らかになっている。しかし、空母に命中させるためには弾頭を誘導しなければならない。これはきわめて困難な課題である。というのも、空母は30ノット(時速およそ55キロ)で航行しており、ミサイルが飛来する15分の間に、艦隊は約13キロいずれかの方向にずれる可能性があるからだ。正確に命中させるためには、絶え間なく目標を追尾し、宇宙空間で弾頭を弾道修正することが必要である。そしてそのためには、目標物を発見し、それに関するデータを伝えることのできる何らかの機器が必要となる。WZ8はこの課題を十分に遂行できると考えられる。
2.
第二に、爆撃機Н6も対艦ミサイルを搭載している。中でももっとも性能のよい射程250〜400キロの
YJ12は弾頭の重量にもよるが、最大マッハ4の速度を出すことができる。目標物に命中させるには、目標物を常にマークし、追跡し、センサーの捕捉範囲で敵の艦船に近づくため、対艦ミサイルの向きを修正しなければならない。
WZ8はこの課題も十分に遂行できると考えられる。偵察無人機は、海上の目標物の攻撃に際し、
爆撃機H6の可能性を大きく広げるものである。偵察衛星あるいは早期警戒管制機のデータに応じて、Н6編隊は敵の艦艇のいる場所に接近する。編隊のある航空機が正確な偵察を行うためWZ8を空中発射し、他の航空機はそこからデータを収集し、対艦ミサイル発射の準備を行う。もし命中しなかった場合、あるいは損傷を与えた場合には、基地に戻り、新たな弾頭を備え、もう一度攻撃する。この手法は、コンセプトとしては悪いものではなく、航行中の海上の目標物を攻撃する際の多くの問題を解決することを約束するものである。しかし、それが本当にうまくいくかどうかは、実際の戦闘でしか確認することはできない。