【特集】5月9日の戦勝記念日 なぜロシア人はこの日を尊ぶのか 在日ロシア大使館が回答

© Sputnik / Ekaterina Chesnokova / メディアバンクへ移行ゲンナージィ・オヴェチコ駐日ロシア代理大使
ゲンナージィ・オヴェチコ駐日ロシア代理大使 - Sputnik 日本, 1920, 09.05.2023
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5月9日の大祖国戦争戦勝記念日は毎年、ロシアと一連の諸国で祝われる。今年2023年は戦勝78周年にあたる。スプートニクはゲンナージィ・オヴェチコ駐日ロシア代理大使に取材し、在日ロシア大使館で行う戦勝記念日関連行事について、またなぜこの祝日がロシアにとってこれほど尊いのかについてお話を伺った。
スプートニク: 戦勝記念日が近づいてきました。在日本ロシア大使館では記念日関連でどのような行事を行いますか。                                                                                                                                                                                                                                   
オベチコ大使:大祖国戦争戦勝78周年の祝賀ではいくつかの行事予定があります。まず挙げられるのが「ゲオルギーのリボン」キャンペーン。大使館の領事部に行けば、誰でも勇気と名誉ある武人の伝統への敬意を象徴するリボンを受け取ることができます。 ランドマーク的な行事は社会・愛国的運動の「不滅の連隊」で同胞、在外公館の職員及びその家族、CIS諸国の外交官、大使館付属学校の生徒らが参加して行われます。祝賀コンサートが組織され、戦時中に流行った歌が演奏され、歌われます。戦地で兵士が食していた食事を味見し、戦争を題材にした映画『ニュルンベルグ』が上映されます。 大使館で行われるテーマ別写真展「名誉の並木道」では、ファシズムに勝利した私たちの父親、祖父、曾祖父の写真が展示され、彼らの人生、武勇について簡単な説明が行われます。 偉大なスパイでソ連英雄のリヒャルト・ゾルゲの墓に献花行うこともプランに入っています。5月7日は下目黒ハリストス正教会 聖アレクサンドル・ネフスキー教会で大祖国戦争時代の死者を弔う礼拝が行われます。 それから大使館付属学校の方でも授業サイクル「重要なことについての話」や「戦勝記念日は火薬の匂いがする…」(編集注:「戦勝記念日」の歌詞)と題した文学・音楽の夕べなどが催されます。
沖縄県辺野古の基地建設に反対するデモ - Sputnik 日本, 1920, 08.05.2023
日本 活動家らが防衛省庁舎前で辺野古基地建設反対デモを実施
スプートニク:歴史修正主義の問題のコンテキストで、ブリンケン米国務長官が先日、広島、長崎への核攻撃について「前例のない破壊をもっとも強く思い出させる」と発言しておきながら、誰がその原子爆弾を日本に投下したかには言及しなかったことをあなたはどう思いますか。
オベチコ大使:悲しいことですが、日本を統治する階級は数十年間にわたって、国民の歴史の記憶から広島、長崎の原爆爆撃が「米国の仕業」であったことを消し去ろうとしてきたと言わざるを得ません。 日本政府は米国について、何万人もの日本人を野蛮に殺すという前例のない、非人間的な行為を計画、実行した国として言及するのを最小限に抑えるという意図的かつ偽善的な方針をとっています。逆に、日本の政府関係者や国内メディアのレトリックからは、米国は自分の行った血塗られた犯罪行為を懺悔すべきだという必要性など、微塵も感じられません。日本は自国より「上の同盟国」の利益に奉仕し、その意思に無条件に従うことで、原爆の犠牲者の記憶を裏切っているのです。
スプートニク:スプートニクの読者に向けて、なぜ5月9日の戦勝記念日がロシアにとって特に大事な日なのかをお話ください。
オベチコ大使:戦勝記念日は私たちひとりひとりの心に近い、大事な日です。ロシアでは戦火に焼かれなかった家庭はひとつもありません。戦争の記憶は消えることはないのです。 戦線の兵士や戦中の家族の話を聞かされて育った私にとって、この答えは明白です。ソ連と諸国の民は、人間を憎悪するナチズムのイデオロギーの背信的な攻撃の対象となり、欧州の統合軍という、当時、最強で組織力が高く、血気盛んな軍事マシーンの攻撃にさらされました。ソ連は莫大な犠牲を払ってファシストの輩の打破に決定的な貢献をなし、生きる権利を守り抜き、褐色のペスト(編集注:ナチス)から欧州大陸を解放したのです。この勝利は集団安全保障、国際協力を始める上で戦後の世界秩序の礎となり、国際連合の創設へ道を開きました。 ここ数年、ロシアの敵たちは戦勝でソ連が果たした決定的な役割を見くびろうとしています。私たちをナチスドイツ、ファシストのイタリア、軍国主義の日本と同じ板の上に並べ、「同等の責任」があるなどと言う始末です。数千万人の命を奪ったヒトラーの占領、それに追従したバンデラ、バルト海沿岸諸国の共闘者らの凶悪犯罪をシニカルに正当化しています。ファシストに対戦協力した人間を讃えるモニュメントを建てながら、ナチスからの解放に尽くした戦士らの記念碑を侮辱し、壊しています。 西側世界とウクライナの教育システムには誤った歴史解釈が導入されています。私たちの祖先の英雄的な行為を矮小化しようとする捏造、偽の歴史論が展開されています。若者らはファシズムに勝利し、欧州を解放した一番の功績はソ連軍にではなく、ファシズム玉砕の1年以上前にノルマンディー上陸を行った西側にあると思い込んでいます。 ですが、向こうがどうあがいても、真実の火を消すことはできません。世界に勝利者の勇ましい世代を与えた独立不覇の民であることを私たちは誇りに思います。その人々の意思を私たちが引き継いでいることを誇りに思います。私たちの果たすべき責任とは、ナチズムを打ち破り、注意を怠らず、なんとしてもグローバル戦争の恐怖を二度と繰り返さぬよう全力を尽くせと私たちに遺言していった人々の記憶を守り続けることです。 だからこそ、5月9日はロシア人ひとりひとりにとって、聖なる祝いの日なのです。
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