https://sputniknews.jp/20230713/16524247.html
【解説】仏供与のミサイル「スカルプ」とは スペックとロシアの対策
【解説】仏供与のミサイル「スカルプ」とは スペックとロシアの対策
Sputnik 日本
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウクライナ軍の攻勢の支援として、長距離巡航ミサイル「スカルプ(SCALP)」の供与を決定した。その性能や運用方法、ロシア軍の対応能力などについて、軍事専門家の話をもとにスプートニクがまとめた。 2023年7月13日, Sputnik 日本
2023-07-13T16:00+0900
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西側諸国によるウクライナへの兵器供与
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「スカルプ」の性能スカルプは英仏が共同開発した「ストームシャドウ」の仏版で、欧州軍需企業「MBDA」製の空中発射型ステルス長距離兵器だ。フランス語の「自立誘導式長距離巡航システム(Système de Croisière Autonome à Longue Portée)」の頭文字をとって名付けられた。ストームシャドウとは製造や運用の方法もほぼ同じだが、射程が異なる。露軍事専門家のユーリ・クヌトフ氏は、スプートニクの取材に対し、次のように説明する。一方、フランスが自国軍用に配備しているスカルプの射程は500キロ以上にも及ぶとみられている。このほかの性能としては、巡航速度がマッハ0.8(時速987.8キロ)、重量が最大450キロの弾頭を含む1300キロとなっている。ミサイル1発あたりの値段は319万ドル(4.2億円)と高額だ。マクロン大統領は供与数を明かしていないが、仏メディアは約50発がウクライナに渡される見込みだと伝えている。スカルプとストームシャドウの運用スカルプは発射前に標的を設定してあとは半自動的に追尾する「ファイア・アンド・フォーゲット(撃ちっぱなし能力)」を備えたミサイルだ。目標が近くなると高度を上げ、貫通力を最大化する。なかには最大1.5メートルのコンクリート製の天井を貫通する能力を持つものもあるという。さらに、クヌトフ氏は「命中精度も非常に高い」と指摘している。運搬手段空中発射型ミサイルであるスカルプは、戦闘機で運搬、発射される。英仏伊は湾岸戦争、イラク戦争、リビア作戦などで、戦闘機「トルナードGR4」「ユーロファイター・タイフーン」「ミラージュ2000」「ダッソー・ラファール」から放ち、実戦使用している。ウクライナ軍はソ連製戦闘機「Su24」、偵察戦闘機「Su24MR」で運用するとみられている。両機はスカルプやストームシャドウを発射できるよう改造されている。迎撃できるかスカルプのレーダー反射断面積(RCS)は0.01~0.03平方メートルと非常に小さく、検知が難しい。だが、クヌトフ氏はロシア軍の防空システムには迎撃可能だと指摘する。実際にこれまでも露国防省は、ストームシャドウを迎撃したと複数回にわたって発表している。さらに、ロシア軍がこのごろ鹵獲したストームシャドウ・ミサイルは、この種の兵器を撃破する方法を研究する手がかりになりうる。ほぼ無傷の状態でロシア側が回収したミサイルを解体すれば、潜在的な弱点や有効な迎撃方法が分かるかもしれない。研究すれば、ミサイルの素材やホーミングヘッド(誘導装置)の性能、つまり周波数や作動原理を理解するための手がかりが得られる。これによってロシアは迎撃ミサイルと探知レーダーを改良し、より効率的にスカルプ、ストームシャドウに対応できるようになる。また、ホーミングヘッドを無効化するための電子戦装備の開発にもつながる。クヌトフ氏は次のように予測する。スカルプは戦況に影響を与えるか北大西洋条約機構(NATO)諸国は、現在最前線から100キロ以上離れた奥地の人員、弾薬、軍事装備、指令所を攻撃するために長距離ミサイルの供与を進めている。自走多連装ロケット砲「ハイマース」の射程は約80キロで、NATO側はロシアに圧力をかけるのには不十分だとみなしている。クヌトフ氏は、スカルプ、ストームシャドウのほか、米国が供与を検討しているエイタクムスといった射程300キロのミサイルが、ロシア軍にとって「一定の課題となっている」としたうえで、次のように締めくくっている。
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軍事, ミサイル, フランス, ロシア, ウクライナ, 国際, 武器・兵器
軍事, ミサイル, フランス, ロシア, ウクライナ, 国際, 武器・兵器
【解説】仏供与のミサイル「スカルプ」とは スペックとロシアの対策
2023年7月13日, 16:00 (更新: 2023年7月14日, 00:02) フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウクライナ軍の攻勢の支援として、長距離巡航ミサイル「スカルプ(SCALP)」の供与を決定した。その性能や運用方法、ロシア軍の対応能力などについて、軍事専門家の話をもとにスプートニクがまとめた。
スカルプは英仏が共同開発した「ストームシャドウ」の仏版で、欧州軍需企業「MBDA」製の空中発射型ステルス長距離兵器だ。フランス語の「自立誘導式長距離巡航システム(Système de Croisière Autonome à Longue Portée)」の頭文字をとって名付けられた。
ストームシャドウとは製造や運用の方法もほぼ同じだが、射程が異なる。露軍事専門家のユーリ・クヌトフ氏は、スプートニクの取材に対し、次のように説明する。
「射程だけが両者の唯一の違いだといえる。ストームシャドウの輸出版の射程は約300キロ、スカルプの輸出版の射程は250キロだ」
一方、フランスが自国軍用に配備しているスカルプの射程は500キロ以上にも及ぶとみられている。
このほかの性能としては、巡航速度がマッハ0.8(時速987.8キロ)、重量が最大450キロの弾頭を含む1300キロとなっている。ミサイル1発あたりの値段は319万ドル(4.2億円)と高額だ。
マクロン大統領は供与数を明かしていないが、仏メディアは約50発がウクライナに渡される見込みだと伝えている。
スカルプは発射前に標的を設定してあとは半自動的に追尾する「ファイア・アンド・フォーゲット(撃ちっぱなし能力)」を備えたミサイルだ。目標が近くなると高度を上げ、貫通力を最大化する。
なかには最大1.5メートルのコンクリート製の天井を貫通する能力を持つものもあるという。さらに、クヌトフ氏は「命中精度も非常に高い」と指摘している。
空中発射型ミサイルであるスカルプは、戦闘機で運搬、発射される。英仏伊は湾岸戦争、イラク戦争、リビア作戦などで、戦闘機「トルナードGR4」「ユーロファイター・タイフーン」「ミラージュ2000」「ダッソー・ラファール」から放ち、実戦使用している。
ウクライナ軍はソ連製戦闘機「Su24」、偵察戦闘機「Su24MR」で運用するとみられている。両機はスカルプやストームシャドウを発射できるよう改造されている。
スカルプのレーダー反射断面積(RCS)は0.01~0.03平方メートルと非常に小さく、検知が難しい。だが、クヌトフ氏はロシア軍の防空システムには迎撃可能だと指摘する。実際にこれまでも露国防省は、
ストームシャドウを迎撃したと複数回にわたって発表している。
さらに、ロシア軍がこのごろ
鹵獲したストームシャドウ・ミサイルは、この種の兵器を撃破する方法を研究する手がかりになりうる。ほぼ無傷の状態でロシア側が回収したミサイルを解体すれば、潜在的な弱点や有効な迎撃方法が分かるかもしれない。
研究すれば、ミサイルの素材やホーミングヘッド(誘導装置)の性能、つまり周波数や作動原理を理解するための手がかりが得られる。これによってロシアは迎撃ミサイルと探知レーダーを改良し、より効率的にスカルプ、ストームシャドウに対応できるようになる。また、ホーミングヘッドを無効化するための電子戦装備の開発にもつながる。
「来月か、2ヶ月後にはロシアの防空システムがより効果的に機能するようになる。主に電子戦装備が使われることになるだろうが、対空ミサイルで直接迎撃するよりはるかに安価だ」
北大西洋条約機構(NATO)諸国は、現在最前線から100キロ以上離れた奥地の人員、弾薬、軍事装備、指令所を攻撃するために長距離ミサイルの供与を進めている。
自走多連装ロケット砲「ハイマース」の射程は約80キロで、NATO側はロシアに圧力をかけるのには不十分だとみなしている。
クヌトフ氏は、スカルプ、ストームシャドウのほか、米国が供与を検討しているエイタクムスといった射程300キロのミサイルが、ロシア軍にとって「一定の課題となっている」としたうえで、次のように締めくくっている。
「だが、このこと自体は重要なことではない。実際に影響を受けるかは、ロシア軍がそれらミサイルに直面する戦闘任務のタイミングによるところが大きい」