【特集】ロシアから日本へ旅行者が急増!日本観光ブームの裏で何が起こっているのか、業界関係者に徹底インタビュー
「例年、(紅葉を見るため)秋に人気が高まり冬には落ち、春は桜目当てのお客さんでいっぱいになる、というパターンでした。ところが昨年秋から今年5月末にかけては、ずっと旅行者が行き続けていました。多いのは家族連れや、40~50代の、経済的に余裕のある人たちです。彼らは自分のビジネスを持っていたり会社でも高い地位についていたりするので、わりと時間が自由になり、2週間くらいかけて3~5都市をまわる人が多いです。
コロナ前の話ですが、最短記録としてはチャーター機で4日間だけ日本に行った人もいました。私たちは、東京や京都という定番の都市以外をツアーに組み込み、多様な日本を見てもらうようにしています。箱根、金沢、浜松、倉敷、広島、長野などです。また、温泉旅館を行程に含むようにしています。温泉という素晴らしい文化を知るとともに、温泉そのものがとても美しいので、その美的なデザインを楽しんでもらいます。」
「VIPの方たちは、人数だったり行先だったり、直前に何か変えることが多いですが、ハイヤーの数が少ないので、そういった要望に柔軟に対応できないこともあります。車があっても運転手がいないことも。4月は旅行者が多く、5月は広島でG7サミットがあり、車は本当に少なかったです。でも今は7月で、これといった国際的な行事はないはずなのに、それでも車がありません。弊社では信用できるハイヤー会社にお願いしていますが、同業者からは、新規のハイヤー会社では運転手は韓国人や中国人で、教育というかサービスレベルが足りない、とも聞いています。
また、高級ホテルのコンシェルジュに頼んでも、経験が浅い人だったり、何かを問い合わせても、通常なら回答は遅くても24時間以内に来るところ、2、3日かかることもあります。レストラン一つにしても、今年の春はロシア人のみならず外国人のお客さんがとても多く、VIPはみんな一番良い店に行きたがるので、なかなか予約が取れません。」
「大使館の方に、ビジネス目的で行くのではないですか?と何度か尋ねられましたが、純粋に観光旅行でした。ビザもスムーズに発行してもらえました。私たちはウズベキスタンを経由して東京に飛び、ミニバンをレンタルして、途中で色々な町に滞在しつつ京都を目指しました。私たち全員にとってこれが初めての日本でした。
日本で一番驚いたことは、全てが隣り合っていることです。例えば現代的なビルと、小さな庭がついた築100年かと思うような一軒家が隣り合っていたりします。東京でさえも緑が多く、空気がきれいでした。日本のエコロジーは素晴らしいレベルです。木や石で作られた、よく手入れされた寺社、お城も私たちを驚かせました。今は世界中に日本食レストランがありますから、日本料理とはこういうものだろうというイメージはあったのですが、実際試してみるとすごく気に入りました。日本食というのは実に多様であり、私たちが思っているほど高価ではありませんでした。しかも各地で味、風味が違いました。
日本では何をするにも正確で規律正しく、丁寧で繊細で、何かを押し付けられるということがありませんでした。他の外国でよくあるように、観光客目当ての場所で、両替を迫ってきたり、押し売りしてきたりする人はいませんでした。サービスも行き届いて非の打ち所がなく、ロシアで発行した銀聯(ユニオンペイ)カードで支払うことができたので驚きました。ロシア嫌悪、ロシア・アレルギーにも、一度も遭遇しませんでした。日本の人々は、我々がどこから来たのか全く気にしていないように思いました。」