まず、カミラ・ワリエワ選手(17)と話を交わして、すぐ気づくのが彼女が少し大人びたということだ。まなざしに女性らしさと力が加わり、しぐさは優しく、感受性が豊かになった。これはまさしく彼女のスケーティングの「ソフト・パワー」だ。すでに以前の「玉乗りする少女」に似た、クリスタルの如く繊細だが壊れやすい危うさもある滑りではなく、獲物に飛び掛かる前のヒョウと化した。こうした新たな質的な変化から考えると、ワリエワ選手のプログラムは複雑化するのか、それとも本人と監督陣はこれまでのウルトラC級の技をキープするつもりなのかについて、スプートニクは質問をぶつけた。しばらくしてワリエワはどうして今の時点でベストフォームが披露できないかについて明かした。実は、眼球に網膜裂孔を起こしたため、しばらくの間はドクターストップがかかって練習できず、本格的なトレーニング開始はわずか10日前だったそうだ。ワリエワは大人びただけでなく、美しさが一段と増した。ショートプログラムに着た緋色の新しいドレスがとてもよく似合っていた。これは、今シーズンの流行色なのか、それともこの色に何か意味が込められているのか?ワリエワは、ショートプログラムの"I see red"という曲は赤について歌っているため、これがコスチュームの選択に反映されたと説明している。「スケートの他のすべては音楽の解釈以上のものではありません。歌詞の表現ではないんです。スケートにそれ以外の意味を込めることは私はありません」ワリエワは自分としては歌詞のある曲の方が演技しやすいと感じているとも付け加えた。「私の目的は、観客のために身振りで最大限の演技ができることです。これは振付が許す範囲ではありますが。それと同時に下品にならないことです」と、カミラ・ヴァリエヴァはすでにジャーナリストとの会話の中で付け加えた。ソフィヤ・アカチエワ(16)は年齢は高くはないが、すでに「勝利の味」を知っている。アカチエワは現行のロシアチャンピオンだ。そこでスプートニクは、新シーズンにどのような野望を抱いているのか、今シーズンもロシアチャンピオンのタイトルを死守する準備はできているのかについて尋ねた。アカチエワと親しいアデリャ・ペトロシャン選手(16)も、まだ若いとはいえ、そのコンテントの技巧は非常に高い。彼女は記者団に対し、新しいプログラムではウルトラCを含めるのはもちろんだが、情感を最大限表現できるように頑張ると語った。スプートニクの記者がプログラムをどう複雑にするかについて問うと、ペトロシャン選手は「今の私のプログラムにはメインとなるトリプルアクセルはありません。あるんですけど、まだ理想的な状態になっていないんです。だから、まずはそれを練習していきます」と答えた。エリザベータ・トゥクタミシェワ(26)は13度目の新シーズンを開始した。フィギュア界では正真正銘の「ご長寿」スケーターで、そのことで一層、ファンたちの感動を呼ぶ存在だ。そんなトゥクタミシェワでも、テストスケートの始まる前は、今年は自分のモチベーションを上げていくのは難しいと打ち明けていた。ところが、ショートプログラムの終了後には、再びスプートニク記者に向かって、それでもモチベーションはあると答え直していた。国際大会に出られなくてつらいかとの問いには、「もちろん、 世界と競合する舞台はどうしても必要よ」と語った。実は多くのロシア人フィギュアスケーターが、時間に余裕がある時、外国でマスタークラスを開催している。スプートニクは、トゥクタミシェワに例えば、日本でマスタークラスをやってみたいか尋ねてみた。トゥクタミシェワはそんな提案があれば、喜んで応じたいと語っている。そんな活発なトゥクタミシェワだが、スプートニクの記者との会話の中で、今日は悲しげなメロディーに合わせて滑りたい気分だと打ち明けたが、理由は言わなかった。今のトゥクタミシェワの近くには、悲しみを吹き飛ばし、スポーツで新たな達成が出せるよう、モチベーションを高めてくれる、愛する人はいないのだろうか。こんなデリケートな問いにトゥクタミシェワは次のように答えてくれた。アリョーナ・コストルナヤ(20)は、シーズンの合間にシングルからペアに転向することができただけでなく、愛するお相手まで見つけ、結婚までしてしまった。スプートニクの記者が、愛するお相手を見つけて、最近結婚した羽生結弦選手になにかメッセージを伝えたいかとたずねると、コストルナヤはうれしそうに「私も夫も羽生結弦さんのニュースに喜んでいます。こんどはご自身だけでなく、ご家族の幸運と成功を祈っています!」と語ってくれた。そして、先日、一時「失踪」で世間をお騒がせしてしまったアリーナ・ゴルバチョワ(16)は今シーズンからシニアにデビュー。ゴルバチョワ選手にスプートニクは、日本人選手など、外国の選手のスケーティングをウォッチングしているか尋ねてみた。特に日本の女子はロシア女子の一番のライバルであることが多いからだ。ゴルバチョワはこれにまっすぐに答えた。国際大会にはあまり注目していないというゴルバチョワだが、SNSではファンとオープンにコミュニケーションをとるようにしていると言う。そして、彼女はスプートニクのために特別にこう付け加えてくれた。関連記事