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ビタミンDはなぜ体に必要なのか
ビタミンDはなぜ体に必要なのか
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1928年にその合成に関してノーベル化学賞が授与されたビタミンDとはいったい何なのか。また人体におけるその役割とはいかなるものなのか。科学者たちは、太陽の光を浴びることでビタミンDの最大80%が人間の皮膚で生成され、残りは食べ物から体内に取り込まれることを明らかにした。 2023年10月18日, Sputnik 日本
2023-10-18T01:50+0900
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太陽活動が低下する秋と冬には、ビタミンDを毎日摂取することが推奨されている。医師たちは、栄養補助食品D3(コレカルシフェロール) を摂取することによるプラスの効果を指摘している。「日光」のビタミンが不足すると脱力感、眠気の増加、関節痛などの症状が現れる。一方、ビタミンDの過剰摂取も体調に同じような影響を及ぼす。ビタミンDビタミンDの主な役割は、体が食べ物からカルシウムとリンを吸収するのを助けること。ビタミンDは、骨が柔らかくなって骨の形が変わったりする子どものくる病(骨軟化症)を予防する。またビタミンDは、青年および成人の虫歯や歯周病、骨粗鬆症(カルシウム不足による骨組織の軟化)を予防し、骨折の回復を促進する。さらにビタミンDは、コロナウイルスを含むウイルス性疾患に対する抵抗力も高める。ビタミンの供給源ビタミンDは、日光を浴びることで体内に生成できる唯一の栄養素。ビタミンDのもう1つの供給源は、脂肪分の多い食品。なぜならビタミンDは、脂肪に溶けた場合にのみ腸に吸収されるからだ。ビタミンの種類ビタミン D には、D1、D2、D3、D4、D5、D6 の 6 種類の化合物があるが、そのうち人間の健康にとって重要なのは、D2 と D3 の 2 種類のみ。D2(エルゴカルシフェロール)は、紫外線の照射によって植物やキノコの細胞で生成され、D3(コレカルシフェロール)は、日光を浴びることで動物や人間の体内で合成される。一方、これらの有機化合物そのものは活性を持たない。肝臓と腎臓を経て、その途中で脂肪に溶けると活性型ビタミンDに変化し、腸壁に吸収される。薬の形態ビタミンDの製剤には、液状(油性または水性)のほか、錠剤、スプレータイプもある。ビタミンDは脂溶性であるため、油性の製剤を作るには、ココナッツオイルやオリーブオイルなどの植物油に溶かす。オイル状のビタミンDは、ボトルやカプセルに入っていることがよくある。液体タイプは、カプセルを飲み込むのが難しい子どもに適している。しかし、液体は正しく計量するのが難しいため、飲み込みに問題がない場合は、カプセルが望ましい。オイル状のビタミンDには、もうひとつ微妙に異なる形態がある。未熟児のほか肝臓や胆嚢に疾患のある人には、ビタミンDの吸収に必要な胆汁が十分でないため適さない。そのため、水溶性の製剤という別のビタミンD製剤が作られた。ビタミンDは水に溶けることができないため、水溶性の場合はミセル溶液をつかう。ミセルは内部に疎水性のビタミンD、外部に親水性の殻を持つ小さなボール状の粒子である。これにより、ミセルは水溶液中に均一に分散される。水溶性のビタミンDは油性よりも吸収が速く、未熟児や脂肪の吸収が悪い人でも摂取できる。しかし、水溶性ビタミンDには、アレルギー反応を引き起こす可能性のある補助化合物(防腐剤、安定剤)が含まれているという欠点もある。ビタミンDの水溶性製剤は、液体、錠剤、舌下スプレーといった形で入手できる。ちなみに、錠剤は水に溶かしてから服用する固形のものや、水なしで服用できるチュアブル錠がある。服用方法ビタミンD製剤は、ビタミンDの吸収に対する遺伝的素因など患者の体の特性に基づき、医師が提案する治療計画に従って毎日、毎週、または毎月服用することができる。正確な服用量は、血液検査を行い、血液中のビタミンDの代謝物質を測定した後に算出できる。また、ビタミンDはビタミンEを除く、ほとんどのビタミンやミネラルに対して中性であることも忘れてはならない。ビタミンDとビタミンEの併用は推奨されない。摂取のタイミングビタミンDは脳機能と精神活動を活性化させるので、朝か昼に摂取することが推奨される。この時間帯は体への吸収がよく、一日の活力を与えてくれるためだ。ビタミンDは神経系に活発な影響を及ぼすため、特に子どもに関しては過度の興奮や不眠を引き起こすことがある。ビタミンDは、食中か食後に摂取すべきだ。食事との関係は、薬の効果を高める上で最も重要な意味を持つ。ビタミンDは脂溶性であるため、空腹時に摂取すると吸収が悪くなる。本来の効果を得るためには、胃の中に少しでもバター、肉、魚のほか、オリーブオイル、ナッツ類、種子類、発酵乳製品、卵などの脂質があると良い。そうすると、ビタミンは溶解し、ほぼ完全に吸収される。 1日の摂取量50歳未満の成人のビタミンDの1日の最適摂取量は600~800 IU(アイユー)で、これは2.5~5μg(マイクログラム)に相当する。紫外線の照射不足、生まれつきの浅黒い肌、高齢、消化器系疾患患者、妊娠・授乳期などのいずれかに該当する場合、ビタミンD摂取の必要性が増加する。この場合、医師の勧めに従ってビタミンDの摂取量を増やすべきだ。 たとえば、高齢者は、ビタミンDの摂取を1 日あたり 800 ~ 1200 IU に増やすことが推奨されている。一方、急速に成長する体には、さらに多くのビタミンDが必要である。1歳未満と3歳から18歳までの子どもは1000IU、1歳から3歳までは1500IUのビタミンDを摂取することが推奨されている。医師らはまた、体内のビタミンD生成が減少する慢性疾患があり、そのような場合には年齢に応じた用量を少なくとも2倍にする必要があると警告している。ビタミンD欠乏症ビタミンD欠乏症の原因はさまざまである。まず、気候条件である。通常、1年のかなりの期間、人々は日光が皮膚に当たるのを防ぐために、閉じた服を着なければならない。暑い時期には、現在広く使われている日焼け止めによってビタミンDの生成が妨げられている。皮膚細胞でのビタミンDの生成が妨げられ、代謝障害やあらゆる種類の病気になる。さらに、体内でビタミンDを生成する能力は、加齢とともに4分の1以下に減少する。国連によると、これらの理由により、世界で約10億人が慢性的なビタミンD不足に陥っているという。低ビタミン血症の悪影響を防ぐため、医師はビタミンDを含む製剤の摂取を勧めている。ビタミンDの主な働きは、腸でのカルシウムの吸収を促進することである。そのため、先天性であれ後天性であれ、このビタミンが不足すると、まず体内のカルシウム濃度が低下する。カルシウム不足は骨組織の病理学的変化を引き起こし、骨の強度が著しく低下し、成人では骨や筋肉の衰弱や痛みに、小児ではくる病につながる。高齢になると、長期的なビタミンD欠乏はしばしば骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を引き起こし、複合骨折のリスクを著しく高める。妊婦では、ビタミンD不足は早産のリスクを高め、妊娠中の血圧を上昇させる。体内のビタミンD不足は、疲労感、能率の低下、充実した生活を送ることができなくなる無力症候群の発症につながる。また、骨粗鬆症は、加齢に伴い身長が3~4センチ以上低下することで現れる。ビタミンD欠乏症を診断するために医師が最初に行う検査は、25(OH)D血液検査である。食事と紫外線によって体内に接収された25(OH)Dを測定する。ビタミンD欠乏症の治療は、医師が処方したビタミンDを摂取することで行われる。ビタミンDの過剰摂取ビタミンDの過剰摂取は、欠乏症に劣らず危険であり、このビタミンを含む医薬品やサプリメントの推奨摂取量を超えることによって生じる。太陽の下にいるだけで、ビタミンDが危険なレベルに達することはありえない。ビタミンDを蓄積しすぎて、その血中濃度が1ミリリットルあたり150ナノグラムを超えると、中毒を引起こす可能性がある。ビタミンDの過剰摂取の症状は、小児期に魚油を含む複数の製剤を同時に摂取した場合に起こることが多い。成人では、ビタミン過剰症は、吐き気、嘔吐、皮膚のかゆみ、頭や目の痛み、下痢、排尿の増加、そして軟部組織、肝臓、腎臓、肺、心臓、血管へのカルシウムの過剰沈着によって現れる。妊婦や授乳婦におけるビタミンDの過剰摂取の影響は特に危険である。胎児の奇形や新生児の骨疾患を引き起こす。ビタミンDの過剰摂取の徴候が現れたら、水分を十分にとることが推奨されている。副作用と禁則事項ビタミンDの服用を開始する前に医師の診察を受けたとしても、薬の副作用があらわれることがある。ビタミンDを服用し始めた最初の数日間で、すでにアレルギー、胃腸障害、高血圧や不整脈といった心臓血管系の障害が起こることがある。頭痛、吐き気、泌尿生殖器系の障害も現れることがある。子供にも大人と同じようなビタミンDの副作用があるが、子供の場合の唯一の違いは、あらゆる症状がより早く現れるということである。ビタミンDを含む製剤を服用する際には、禁則事項に気をつけなくてはならない。製剤の各成分に対する不耐症、フェニルケトン尿症、血栓性静脈炎、血栓症の傾向、糖尿病、妊娠・授乳期のいずれかにあてはまる場合は、服用は控えるべきだ。ビタミンDを多く含む食品ビタミンDを最も多く含むのは、主に動物性食品である。魚油、タラの肝臓、脂肪の多い魚(サケ、サバ、ナマズ、イワシ、マグロ、ニシン、マス、ウナギ、オヒョウ)、ブラックキャビア、卵黄、ヤギのミルク、バター、ハードチーズなどが例としてあげられる。レッドキャビア、牡蠣、野生キノコ、ヒマワリの種はビタミンDの含有量が少ない。関連記事
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ビタミンc, 社会, 健康, 麻薬
ビタミンDはなぜ体に必要なのか
2023年10月18日, 01:50 (更新: 2023年12月4日, 20:35) 1928年にその合成に関してノーベル化学賞が授与されたビタミンDとはいったい何なのか。また人体におけるその役割とはいかなるものなのか。科学者たちは、太陽の光を浴びることでビタミンDの最大80%が人間の皮膚で生成され、残りは食べ物から体内に取り込まれることを明らかにした。
太陽活動が低下する秋と冬には、ビタミンDを毎日摂取することが推奨されている。医師たちは、栄養補助食品D3(コレカルシフェロール) を摂取することによるプラスの効果を指摘している。「日光」のビタミンが不足すると脱力感、眠気の増加、関節痛などの症状が現れる。一方、ビタミンDの過剰摂取も体調に同じような影響を及ぼす。
ビタミンDの主な役割は、体が食べ物からカルシウムとリンを吸収するのを助けること。ビタミンDは、骨が柔らかくなって骨の形が変わったりする子どものくる病(骨軟化症)を予防する。またビタミンDは、青年および成人の虫歯や歯周病、骨粗鬆症(カルシウム不足による骨組織の軟化)を予防し、骨折の回復を促進する。さらにビタミンDは、コロナウイルスを含むウイルス性疾患に対する抵抗力も高める。
ビタミンDは、日光を浴びることで体内に生成できる唯一の栄養素。ビタミンDのもう1つの供給源は、脂肪分の多い食品。なぜならビタミンDは、脂肪に溶けた場合にのみ腸に吸収されるからだ。
ビタミン D には、D1、D2、D3、D4、D5、D6 の 6 種類の化合物があるが、そのうち人間の健康にとって重要なのは、D2 と D3 の 2 種類のみ。D2(エルゴカルシフェロール)は、紫外線の照射によって植物やキノコの細胞で生成され、D3(コレカルシフェロール)は、日光を浴びることで動物や人間の体内で合成される。一方、これらの有機化合物そのものは活性を持たない。肝臓と腎臓を経て、その途中で脂肪に溶けると活性型ビタミンDに変化し、腸壁に吸収される。
ビタミンDの製剤には、液状(油性または水性)のほか、錠剤、スプレータイプもある。ビタミンDは脂溶性であるため、油性の製剤を作るには、ココナッツオイルやオリーブオイルなどの植物油に溶かす。オイル状のビタミンDは、ボトルやカプセルに入っていることがよくある。液体タイプは、カプセルを飲み込むのが難しい子どもに適している。しかし、液体は正しく計量するのが難しいため、飲み込みに問題がない場合は、カプセルが望ましい。オイル状のビタミンDには、もうひとつ微妙に異なる形態がある。未熟児のほか肝臓や胆嚢に疾患のある人には、ビタミンDの吸収に必要な胆汁が十分でないため適さない。そのため、水溶性の製剤という別のビタミンD製剤が作られた。
ビタミンDは水に溶けることができないため、水溶性の場合はミセル溶液をつかう。ミセルは内部に疎水性のビタミンD、外部に親水性の殻を持つ小さなボール状の粒子である。これにより、ミセルは水溶液中に均一に分散される。
水溶性のビタミンDは油性よりも吸収が速く、未熟児や脂肪の吸収が悪い人でも摂取できる。しかし、水溶性ビタミンDには、アレルギー反応を引き起こす可能性のある補助化合物(防腐剤、安定剤)が含まれているという欠点もある。ビタミンDの水溶性製剤は、液体、錠剤、舌下スプレーといった形で入手できる。ちなみに、錠剤は水に溶かしてから服用する固形のものや、水なしで服用できるチュアブル錠がある。
ビタミンD製剤は、ビタミンDの吸収に対する遺伝的素因など患者の体の特性に基づき、医師が提案する治療計画に従って毎日、毎週、または毎月服用することができる。正確な服用量は、血液検査を行い、血液中のビタミンDの代謝物質を測定した後に算出できる。また、ビタミンDはビタミンEを除く、ほとんどのビタミンやミネラルに対して中性であることも忘れてはならない。ビタミンDとビタミンEの併用は推奨されない。
ビタミンDは脳機能と精神活動を活性化させるので、朝か昼に摂取することが推奨される。この時間帯は体への吸収がよく、一日の活力を与えてくれるためだ。ビタミンDは神経系に活発な影響を及ぼすため、特に子どもに関しては過度の興奮や不眠を引き起こすことがある。ビタミンDは、食中か食後に摂取すべきだ。食事との関係は、薬の効果を高める上で最も重要な意味を持つ。ビタミンDは脂溶性であるため、空腹時に摂取すると吸収が悪くなる。本来の効果を得るためには、胃の中に少しでもバター、肉、魚のほか、オリーブオイル、ナッツ類、種子類、発酵乳製品、卵などの脂質があると良い。そうすると、ビタミンは溶解し、ほぼ完全に吸収される。
50歳未満の成人のビタミンDの1日の最適摂取量は600~800 IU(アイユー)で、これは2.5~5μg(マイクログラム)に相当する。紫外線の照射不足、生まれつきの浅黒い肌、高齢、消化器系疾患患者、妊娠・授乳期などのいずれかに該当する場合、ビタミンD摂取の必要性が増加する。この場合、医師の勧めに従ってビタミンDの摂取量を増やすべきだ。 たとえば、高齢者は、ビタミンDの摂取を1 日あたり 800 ~ 1200 IU に増やすことが推奨されている。
一方、急速に成長する体には、さらに多くのビタミンDが必要である。1歳未満と3歳から18歳までの子どもは1000IU、1歳から3歳までは1500IUのビタミンDを摂取することが推奨されている。医師らはまた、体内のビタミンD生成が減少する慢性疾患があり、そのような場合には年齢に応じた用量を少なくとも2倍にする必要があると警告している。
ビタミンD欠乏症の原因はさまざまである。まず、気候条件である。通常、1年のかなりの期間、人々は日光が皮膚に当たるのを防ぐために、閉じた服を着なければならない。暑い時期には、現在広く使われている日焼け止めによってビタミンDの生成が妨げられている。皮膚細胞でのビタミンDの生成が妨げられ、代謝障害やあらゆる種類の病気になる。さらに、体内でビタミンDを生成する能力は、加齢とともに4分の1以下に減少する。国連によると、これらの理由により、世界で約10億人が慢性的なビタミンD不足に陥っているという。低ビタミン血症の悪影響を防ぐため、医師はビタミンDを含む製剤の摂取を勧めている。
ビタミンDの主な働きは、腸でのカルシウムの吸収を促進することである。そのため、先天性であれ後天性であれ、このビタミンが不足すると、まず体内のカルシウム濃度が低下する。カルシウム不足は骨組織の病理学的変化を引き起こし、骨の強度が著しく低下し、成人では骨や筋肉の衰弱や痛みに、小児ではくる病につながる。高齢になると、長期的なビタミンD欠乏はしばしば骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を引き起こし、複合骨折のリスクを著しく高める。妊婦では、ビタミンD不足は早産のリスクを高め、妊娠中の血圧を上昇させる。
体内のビタミンD不足は、疲労感、能率の低下、充実した生活を送ることができなくなる無力症候群の発症につながる。また、骨粗鬆症は、加齢に伴い身長が3~4センチ以上低下することで現れる。ビタミンD欠乏症を診断するために医師が最初に行う検査は、25(OH)D血液検査である。食事と紫外線によって体内に接収された25(OH)Dを測定する。ビタミンD欠乏症の治療は、医師が処方したビタミンDを摂取することで行われる。
ビタミンDの過剰摂取は、欠乏症に劣らず危険であり、このビタミンを含む医薬品やサプリメントの推奨摂取量を超えることによって生じる。太陽の下にいるだけで、ビタミンDが危険なレベルに達することはありえない。ビタミンDを蓄積しすぎて、その血中濃度が1ミリリットルあたり150ナノグラムを超えると、中毒を引起こす可能性がある。
ビタミンDの過剰摂取の症状は、小児期に魚油を含む複数の製剤を同時に摂取した場合に起こることが多い。成人では、ビタミン過剰症は、吐き気、嘔吐、皮膚のかゆみ、頭や目の痛み、下痢、排尿の増加、そして軟部組織、肝臓、腎臓、肺、心臓、血管へのカルシウムの過剰沈着によって現れる。妊婦や授乳婦におけるビタミンDの過剰摂取の影響は特に危険である。胎児の奇形や新生児の骨疾患を引き起こす。ビタミンDの過剰摂取の徴候が現れたら、水分を十分にとることが推奨されている。
ビタミンDの服用を開始する前に医師の診察を受けたとしても、薬の副作用があらわれることがある。ビタミンDを服用し始めた最初の数日間で、すでにアレルギー、胃腸障害、高血圧や不整脈といった心臓血管系の障害が起こることがある。頭痛、吐き気、泌尿生殖器系の障害も現れることがある。子供にも大人と同じようなビタミンDの副作用があるが、子供の場合の唯一の違いは、あらゆる症状がより早く現れるということである。
ビタミンDを含む製剤を服用する際には、禁則事項に気をつけなくてはならない。製剤の各成分に対する不耐症、フェニルケトン尿症、血栓性静脈炎、血栓症の傾向、糖尿病、妊娠・授乳期のいずれかにあてはまる場合は、服用は控えるべきだ。
ビタミンDを最も多く含むのは、主に動物性食品である。魚油、タラの肝臓、脂肪の多い魚(サケ、サバ、ナマズ、イワシ、マグロ、ニシン、マス、ウナギ、オヒョウ)、ブラックキャビア、卵黄、ヤギのミルク、バター、ハードチーズなどが例としてあげられる。レッドキャビア、牡蠣、野生キノコ、ヒマワリの種はビタミンDの含有量が少ない。