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【特集】笛吹き「トーシロー」 ロシア人演出家の創作日本劇がスタニスラフスキー邸宅で上演へ
【特集】笛吹き「トーシロー」 ロシア人演出家の創作日本劇がスタニスラフスキー邸宅で上演へ
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... 2023年11月3日, Sputnik 日本
2023-11-03T16:06+0900
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スタニスラフスキーは著書『芸術におけるわが生涯』の中で次のように回想している。この劇はトーシローという貧しい笛吹きの話である。トーシローは一族の伝統を受継ぎ、勇敢な武士になれなかったことを辛く思っている。善良な心の持ち主のトーシローは、寝床とわずかな食料を貧しい人々に分け与え、その笛の演奏で皆を喜ばせている。笛を見事に吹くという男のう噂はやがて太陽の国の皇帝のもとにも届く。皇帝はトーシローのもとを訪れ、彼の音楽に魅了され、自分の娘を嫁にやると申し出る。一見、これは子ども向けの劇だが、実は御伽噺を通して大人へ向けられたメッセージなのだ。おもしろいことに、この劇では男役の多くは女優が演じており、トーシロー役はかつて、モスクワにあった、小人症のアーティストで構成されていたリリプティアン・サーカスのアンナ・ニキーシナが見事に演じている。 ニキーシナはこの役のために笛のレッスンを受けたという。演出家のロマン・アキモフ氏はスプートニクに対し、「この公演に先立ち、障害をもつ方々も含めた役者たちと、およそ40回のミーティングを行い、日本神話に欠かすことのできない悪霊崇拝を含め、作品の様々な側面について話し合いました」と語った。モスクワ音楽院音楽理論家マルガリータ・カラティギナ准教授指揮のもと、和楽器アンサンブル「WA-ON」による箏、尺八、和太鼓が劇全編で演奏される。初演は11月3日に予定。モスクワの在ロシア日本大使館とロシア外務省の代表者が招待されている。関連ニュース
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文化, ロシア, モスクワ, 社会, 芸術, 露日関係, オピニオン
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【特集】笛吹き「トーシロー」 ロシア人演出家の創作日本劇がスタニスラフスキー邸宅で上演へ
2023年11月3日, 16:06 (更新: 2023年11月3日, 21:03) 演劇とミュージカル、パントマイム、人形劇というジャンルが融合した日本神話に基づく劇「トーシロー」の初演が、3日に行われる。直前には通し稽古を兼ねた特別実演が、ロシアの有名な演出家であり改革者であったコンスタンチン・スタニスラフスキー(1863~1938)の邸宅博物館で行われた。これは象徴的な出来事である。スタニスラフスキーは、演劇活動を始めた当初、英国作曲家アーサー・サリヴァンと英国劇作家ウィリアム・ギルバートによるコミック・オペラ「ミカド」を大舞台で上演することを夢見ていた。だが、それが実現できたのは自宅の舞台においてであった。
スタニスラフスキーは著書『芸術におけるわが生涯』の中で次のように回想している。
「地元のサーカスで働いていた日本人の曲芸師の家族が我が家で昼夜ともに過ごした。日本人は私たちに歩き方、お辞儀、踊り方、扇子の使い方を教えてくれた」
© 写真 : ロマン・アキモフ氏提供「トーシロー」のポスター
この劇はトーシローという貧しい笛吹きの話である。トーシローは一族の伝統を受継ぎ、勇敢な武士になれなかったことを辛く思っている。善良な心の持ち主のトーシローは、寝床とわずかな食料を貧しい人々に分け与え、その笛の演奏で皆を喜ばせている。笛を見事に吹くという男のう噂はやがて太陽の国の皇帝のもとにも届く。皇帝はトーシローのもとを訪れ、彼の音楽に魅了され、自分の娘を嫁にやると申し出る。一見、これは子ども向けの劇だが、実は御伽噺を通して大人へ向けられたメッセージなのだ。
おもしろいことに、この劇では男役の多くは女優が演じており、トーシロー役はかつて、モスクワにあった、小人症のアーティストで構成されていたリリプティアン・サーカスのアンナ・ニキーシナが見事に演じている。 ニキーシナはこの役のために笛のレッスンを受けたという。
© 写真 : ロマン・アキモフ氏ロマン・アキモフ氏
© 写真 : ロマン・アキモフ氏提供ロマン・アキモフ氏
演出家のロマン・アキモフ氏はスプートニクに対し、「この公演に先立ち、障害をもつ方々も含めた役者たちと、およそ40回のミーティングを行い、日本神話に欠かすことのできない悪霊崇拝を含め、作品の様々な側面について話し合いました」と語った。
「この公演は、モスクワ芸術劇場創立125周年に合わせ、スタニスラフスキー捧げるオマージュです。彼がまだスタニスラフスキーではなく、本名のアレクセーエフ姓を名乗っていた初期の頃、民衆の間で日本への関心が高まっていたなか、『ミカド』というオペラを上演しようとしました。
今回の私たちの舞台は『ミカド』ではなく、私が日本の演劇芸術を研究し、創作した物語『トーシローの不思議な笛』をもとにしたオリジナルの作品です。私も他の芸術家と同様に、日本文化に多大な関心と敬意を払っています。
しかし、日本文化の専門家に相談したとはいえ、日本の演劇の伝統を完璧に踏襲しようとしたわけではありません。たくさんの本を読み、黒澤明監督の映画を見、サムライを取り扱った映画から日本の役者の身体の動きを記録するなど、主にオープンソースに焦点を当てました。
そしてこの劇は、私の他の作品と同様、外界の出来事とそれに対する反応を主観的に表現する「オートニクス」という手法に基づいています。言い換えれば、この手法には演出家の独断は存在せず、アーティストに創造性と彼らの芸術的本質の表現の自由が与えられているということです」
モスクワ音楽院音楽理論家マルガリータ・カラティギナ准教授指揮のもと、和楽器アンサンブル「WA-ON」による箏、尺八、和太鼓が劇全編で演奏される。初演は11月3日に予定。モスクワの在ロシア日本大使館とロシア外務省の代表者が招待されている。