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戦時中の空襲時の避難の実態について研究していた弁護士の大前治氏は、「意味のある訓練ならばするべきだが、今回の訓練はメディアに見せるためという印象を持った」と指摘し、危機管理体制に懸念を示している。
しかし、避難に意味がない、と言うことはできない。ミサイルは地震と異なり、被害が局地的だという特徴がある。爆風、熱、瓦礫の飛散状況などは数十メートル単位で異なってくるので、ミサイルが爆発した地点からどのように逃げていくのかは、生死を分けるポイントになるだろう。大前氏は「音や煙をわざと発生させて、目で見た限りの状況に対処する訓練をすれば良かったのではないか」と話している。
ヴェルホトゥロフ氏「例えば20キロトンの核爆発(広島型原爆に相当)が起こった場合、爆心から900メートル圏内にいる人は爆風で致命傷を受けます。しかし、爆心から2300メートル離れれば、爆風が人間にとって危険ではないレベルまで弱まります。つまり核ミサイルの破壊力は無限ではなく、東京のような大都市全体を破壊することはできません。そう考えれば、Jアラートもありますし、すぐ逃げられるようにするための避難訓練はある程度、意味があると思います」
フェシュン氏「北朝鮮と韓国がオリンピックについて複数の合意を達成し、日本にとって北朝鮮の脅威が低下したタイミングで訓練が実施されたことに驚きました。また、日本政府が避難訓練の指示を出したことは、国が今後も国民を怖がらせるための『怪談』として北朝鮮を利用する方針だということを物語っています。これは、下がり続けている安倍首相の支持率を維持するためのものでしょう」
フェシュン氏「日本国民の中には非常に強く、時には人為的に、反北朝鮮の機運が生み出されています。それにもかかわらず、北朝鮮との対話を今後も続ける必要性をオープンに訴える人々が現れました。彼らは、北朝鮮が事実上、軍事行動を停止しているときに、隣国である北朝鮮を刺激するべきではないという自分たちの危惧を表明しました。このことは、現在の日本人の意識の中に、リアリズム、そして米国が北東アジアの緊張を維持するために北朝鮮を利用しているという理解が存在している証拠であると考えます」