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中国では、遺伝子組み換え食品が健康にとって有害であるという根強い不信感が根強い。世論調査を見るとそれが如実に示されている。
遺伝子組み換え米「華輝1号」は、1998年から中国・武漢市にある華中農業大学の研究グループが開発を進めていた。この米は害虫に強く、そのため過度な農薬の使用を必要としない。2009年、中国農業省は、「華輝1号」への品質証明書を発行した。それにも関わらず、この食品は一度も商業市場に出回ることはなく、国内では大量栽培が禁止された。
農業技術の専門家の中には、遺伝子工学は徐々に農業の中に根付いていくと考える者もいる。一方、遺伝子工学を用いることを原則的に拒否する批判的な考えも権威あるものとして存在する。雲南省生態農業研究所のナ・ジュンユアン所長は、遺伝子組み換え食品のマイナス面は、人間の健康に対する不明瞭さを減少させていないだけではないと、スプートニックに明かした。
「遺伝子組み換え作物の創造は、新しい科学的手法の道を開いた。研究を続けることにより、今は無理でも、将来的に問題を解決できることも夢ではないと思う。ただし現在の技術レベルでの研究は、こうした食品をまったく安全であると証明することは出来ず、そのため商品化することもできない。遺伝子組み替え作物を大規模栽培する場合、生物多様性への損害を引き起こすかもしれず、それはまさに計り知れない損害となり得る。広範に用いられているハイブリッド品種がもつ危険性をはるかに上回るリスクがここにある。遺伝子組み換え食品のリスクを生み出しているのは遺伝子組み換え作物であることは間違いない。こうした作物を食品に用いることは必要に迫られての措置だ。もし、遺伝子工学を用いない新しい技術の転換が図られるならば、各国や国連は遺伝子組み換え食品からの完全な撤退を協力して行う必要がある。」
「それはまったく不可能だ。もし私たちの研究所がなかったなら、遺伝子組み換え作物の栽培は中国で急速に広まっていただろう。国家に求められるのは公正で開かれた選択を行うことであり、そうした下では遺伝子組み換え食品は完全に市場を失う。私たちが研究所で取り組む環境にやさしい農業のための技術は、あらゆる点で遺伝子工学の方法より優れている。」