「あの日本人でさえ怒りを制御できないのなら、世界はもう危機的状況」

朝日新聞が最近発表したアンケート結果で、かなり多くの日本人が自分でも抑えられない怒りを覚えたり、他人から怒りをぶつけられた経験をしている実態が明るみになった。無作為抽出された1500人のうち、29%が原因不明の怒りを覚え、39%が他人から感情をぶつけられた経験があると答えた。また回答者の76%は怒りを経験したり、ぶつけられたりするケースが最近増えたと答えている。
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なぜこうなったのか? 大半の回答者が挙げた原因は、他人への思いやりや尊敬の念の喪失、家庭や職場、学校でのストレスなどだった。朝日新聞は、自制心を失いやすい社会を「切れやすい社会」と命名した。

社会現象の研究者らは、日本の社会規範では、集団の中で目立たないよう、他人と異ならないようにふるまうことが求められるため、人々は慢性的に心理的圧力にさらされていると指摘する。そして、それが耐えられなくなると、普段は落ち着いているはずの人でさえも「爆発する」。感情からくる怒りが行動に、つまり「キレる」に変わる。

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もちろん、こういうことが起こりうるのは日本に限らず、感情の「爆発」だって全く些細なことが原因になりうる。例えば、ギュウギュウ詰めの中でいきなり押された、先に行きたいのに、進ませてもらえなかった、足を踏まれた、話し声がうるさいなどだ。研究者らは、猛烈なテンポでの暮らしを強いられている大都市の住民は制御できない怒りの発作を起こしやすいと考えている。悪天候でさえも人間の攻撃性を誘発することもある。

こうした攻撃性について、実践心理学センターのセルゲイ・クリュチニコフ所長は、スプートニク通信社からの取材に次のように説明している。「自然発生的に制御できない怒りは一種の隔世遺伝で、怒りを抑え込まない動物の本能に匹敵します。ですがまさに、自身や周囲の中に潜む、こうした獣性を抑制するためにこそ、文化が存在しているのです。」

さらに、クリュチニコフ所長は、制御できない怒りについて以下のように分析している。

「制御できない攻撃的な行動は、文化の低さや躾けのなさだけが原因ではありません。否定的な感情を全て表出させてしまう偏執的なサイコパスもいるし、逆になんでも自分の中にしまいこみ、湧き上がる衝動的な怒りを黙って抑える人もいます。

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心理的な過負荷、ストレス、疲労、不満、慢性的な抑圧、映画やテレビでの暴力シーンすべてが、怒りを引き起します。侍の時代から自制する伝統を持ち、他人への礼儀を重んじる日本人でさえ、このように制御できない怒りを爆発させているのならば、それは我々の世界が危機に瀕しており、社会がますます不寛容で攻撃的になっていることを物語っています。これから身を守る唯一の方法は、自分の心に否定的感情というゴミを入れないことしかないのではないでしょうか…。」

クリュチニコフ所長は、いらだちやネガティブな感情を恒常的に抑え込んでいると、心身症になりかねと警告している。そうならないための所長のアドバイスは、これらの感情を抑制し、逡巡せずに、前向きな方向に自分をシフトすること。また、自分一人でいるときは、破壊的なエネルギーは捨て去ることが可能であり、その必要があるとも助言した。

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