フィギュア特集

これは革命? 国際スケート連盟が女子技術最低点を引き上げ 

国際スケート連盟は2020年の世界選手権で女子シングルの技術点の最低ラインを引き上げることを決めた。この決定により何が変わるのか、なぜこれが女子シングルにのみ適用されるのか、これが出場選手の構成に影響するのかについて、スプートニクはフィギュアスケートの専門家に取材した。
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連盟のこの変更は女子フィギュアの技術をさらに複雑化の方向へ押しやってしまう。2020年3月、カナダのモントリオールで開催の世界選手権に出場するには、女子はショートプログラムの技術点は今までの29点より1点多い30点を、フリースケーティングでも49点にプラス2点の51点をマークしなければならなくなる。

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「命運を分ける点」

この変更は女子選手らにはどの程度影響するのだろうか。スプートニクは2017年グランプリシリーズ銀メダリストのロシアのマリヤ・ソツコワ選手に訊ねた。

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「技術点が引上げられてもこれが今、ロシアの女子フィギュアを率いるあの素晴らしい3人組、コストルナヤ、シェルバコワ、トルソワに影響することは絶対ありません。3人の技術はいずれにしてもずっと高いのでルールの複雑化に気をとめることもないでしょう。ただしルール変更でラディカルな影響を受けてしまう人も多少はいます。世界選手権には40人以上の女子が出ますが、ショートプログラム終了後、フリースケーティングに残れるのはわずか24人。フリーへ文字通りギリギリで通過してくる人もいますから、彼女たちにとっては1点の引上げは命運を分けます。その1点が取れなかったら、それこそ大災難。」

こうした一方でソツコワ選手は、シーズンも半ばという時期に変更が突然取られた例は過去になかったと語った。なぜなら変更がある場合、女子選手らには次のシーズン開始前に知らされるし、それをふまえて新たなプログラム作りをどの程度複雑化させるか、準備されるからだ。当然、変更が彼女らの準備に影響しうるのではないかという疑問が湧いてくる。

「世界選手権は際限なく拡大できない」

この変更が女子シングルでとられた理由について、国際スケート連盟アレクサンドル・ラケルニク副会長は最大限分かりやすく、次のように説明している。

世界選手権というのはゴム製じゃないですからね。際限なく伸長できるというわけではないですし、組織側のアビリティにも限度があります。出場者数を増やすことはできますよ。それでも際限なく増やせるわけではありません。 最低技術点が必要なのは弱い選手を通さず、出場者の数を制限するためです。もともとは世界選手権の女子選手枠は42人でした。ですが従来のスコアだと50人も出場できてしまうのです。連盟のルールに従うと最低点の変更ができるのは選手権開幕の45日前までなので、今行ったわけです。しかも大きな変更ではありません。ショートプログラムが1点引上げ、フリースケーティングの引上げは2点です。各国から参加する女子選手の数は前年の世界選手権の結果によって決められます。実際のところ、これによって害を蒙るケースはほんのわずかのはずです。」

なぜ男子は変更はないのか?

ラケルニク副会長はなぜ男子にはこの変更が行われなかったのかについては次のように語っている。

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「男子は現行の最低点でも多くの選手が世界選手権に出場できないのです。ところが女子はその逆であまりにも多くの選手が集まってしまう。だから最低レベルを少し引き上げたのです。これは最強選手らには一切関係ありません。関係するのは、ようやくこうしたエリート枠に入ることができるかという中程度の選手らです。女子フィギュアはものすごい勢いで成長を遂げています。」

ラケルニク副会長はこうした説明で、今回の国際スケート連盟の行為は常軌を逸してもおらず、規則にも違反していないと指摘し、この技術最低点の引上げはかなりソフトなアプローチで、実はより厳しい制限も提案されていた事実を明かしている。


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