日本の次期首相は拉致問題を解決できるのか?

安倍首相の後任として有力視される菅義偉官房長官は、1970年から1980年代にかけて北朝鮮の工作員や土台人によって日本人が拉致された問題を解決するため、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と協議を行う用意があると表明した。
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次期首相を狙う他の候補者らは今のところ、この問題に関する発言は行っていないが、だからといって、彼らが拉致問題に取り組まないというわけではない。拉致問題は、北朝鮮の核ミサイルプログラムと並び、10年以上にわたって、日朝関係に暗い影を落としてきた。安倍首相の後継者と金正恩朝鮮労働党委員長との協議に成功のチャンスはあるのか?「スプートニク」が専門家に話を聞いた。

次期首相にもっとも近い候補者とされる菅官房長官は、8月2日、日本の記者団に対する会見で、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、「金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けずに会って活路を切り開きたい」と強調した

安倍首相は世界と日本に何を残したのか?
拉致被害者の正確な人数は不明である。北朝鮮の公式発表では13人となっているが、脱北者の情報ではおよそ80人、そして日本政府が認定した拉致被害者は17人である。当初、北朝鮮は拉致への関与を一切、認めていなかったが、これは日本では到底、信じられないことであった。

拉致問題が大きく動いたのは2002年9月。小泉純一郎元首相が北朝鮮を訪問したときである。訪問を前に、小泉元首相は、日本人拉致被害者の安否に関する説明がなければ、日朝の国交正常化はなく、経済支援もないと言明。北朝鮮はこれを聞き入れ、当時の金正日総書記は拉致の事実を認め、謝罪したが、事件は特殊機関の一部が政府指導部の承認を得ずに、妄動主義、英雄主義に走って行ったものだと説明した。この問題に関する日朝平壌宣言では、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることのないよう適切な措置をとることを確認した」と記されている。そのとき北朝鮮は、13人の拉致被害者がいることを確認し、そのうちの5人が生存しており、残る8人はさまざまな理由により死亡したと述べた。のちに、この5人は帰国を果たしている。

2004年に北朝鮮は、日本に対し、日本人被害者数人が死亡したことを裏付ける「物的証拠」として、横田めぐみさんと松木薫さんの遺骨を引き渡した。しかし、日本でDNA鑑定を行った結果、北朝鮮が提出した遺骨の一部は別人のものであることが判明した。北朝鮮はこれは煽動的行為だとしたが、遺骨が本人のものかどうかについて激しい論争が続いた後、北朝鮮は、拉致問題においてこれ以上は譲歩できない、これ以上の進展はありえないとの立場を明らかにした。そして、その後実施された協議は成果をもたらさなかった。2014年に、横田めぐみさんの両親がモンゴルのウランバートルでめぐみさんの娘、ウンギョンさんと対面することが許され、政府間協議も再開された。しかし、それでも双方は問題を解決することはできなかった。

北朝鮮は対日本で韓国と1つになれるか
ソウル国民大学のアンドレイ・ラニコフ教授は、「スプートニク」の取材に対し、この問題に希望はないと指摘する。「北朝鮮が長年、隠し通してきたことを認めたとき、北朝鮮は、日本がこの行動をしかるべく評価し、国交正常化に繋げることができると考えていたのです。しかし、実際には、金正日総書記が拉致を認めたことで、まったく反対の結果を生むことになりました。日本の世論が、残りの拉致被害者の帰国を要求するようになったのです。北朝鮮は頑なな態度を示し、残りの被害者はもう生存していないと主張し続けました。もう一つ問題を複雑にしている問題があります。日本政府の拉致被害者名簿には17人が記載されていますが、これとは別に非政府組織がまとめた名簿があるのです。この名簿には最大で400人の名前が記載されています。つまり、もし北朝鮮が政府の名簿に記載のある全員を帰国させた場合、日本の国民はその他の名簿に名前がある全員をも返すよう求めるだろうということです。そして、いずれは、実際には北朝鮮が拉致していない人をも返してほしいと言うようになるでしょう。というのも、この名簿の400人の中には、過去半世紀に行方不明になったすべての人の名前が記されているからです。

日本は世界でもっとも安全な国だとされていますが、どのような国においても、人が消息を断つという事件は起こるものです。しかし、たとえ北朝鮮がそれを望んだとしても、実際に拉致してもいない人物を引き渡すことなどできません。そして拉致していないということを証明することもできないのです。それほど、日朝間の不信感は深すぎるのです。完全なる袋小路だと思います」。

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