「サミットが開催される可能性は高いと思います。現在、EUと中国の関係は行き詰まり状態となっており、両者はこのような状態から抜け出す必要があるという認識で一致しているからです。ただ、それが、習近平国家主席とEU議長との会談になるのか、EU加盟国の代表者や首脳も参加する拡大会議の形になるのかなど、どのような形で開催されるかは疑問です。EU加盟国は27カ国あり、中国との関係に関しては様々な立場を有しています。もちろん、包括的投資協定は首脳会議の議題となるはずですが、これは多くの議題のうちの一つにすぎません。ここ数ヶ月の間に、扱われるべき議題が非常に拡大されました。たとえばアフガニスタン問題もそのうちの一つです。多くの国々で活動が禁止されているイスラム主義組織タリバンというアフガニスタンの新政権と今後どのように関係を築いていくのか、アフガニスタンに対し、どのようにして、どの程度の人道支援を行っていくのかなどです。EUと中国の間では、制裁と報復制裁が発動されたままとなっており、これが両者の関係の前進を阻んでいます。EUには人権侵害に関する不満を抱えていますが、この問題に対する中国の立場は異なっています。これらのすべての問題については、少なくとも両者で話し合う必要があるでしょう」。
「しかし、第一に、米国は、中国との間の危機があまりにも深刻なものになりすぎたことから、それがいかに複雑なものであろうと、中国との協議を行う場を作らねばならないときがきたことを理解しています。第二に、一連の欧州諸国と米国の間にも意見の相違が見られはじめています。たとえば、豪英米の3カ国による軍事同盟AUKUS(オーカス)の創設について、フランスは知らされておらず、それにより豪州とフランス間の原子力潜水艦建造契約が破棄されることになりました。フランスは抗議の印として、キャンベラとワシントンに駐在する大使を召還し、EU諸国に戦略的自治を呼びかけました。そこで、当然、フランスは中国との会談を支持するでしょう。ドイツの企業界は中国市場への参入にきわめて大きな関心を示しており、メルケル首相はこの発案を積極的に進めてきましたが、現在は、ドイツの新たな政府がどのような勢力となるのかを見ていく必要があります。またEUの他の加盟国も、米中関係に関係なく、中国との関係を活発に発展させることに関心を持っています」。