「現在、高難度の要素を取り入れている女子選手はロシアだけでなく、日本でもどんどん多くなってきています。たとえば、最近では、13歳の島田麻央選手が4回転トーループを成功させています。彼女はスピードのある滑りと素晴らしいコンビネーションを持つ、非常に有望な選手です。つまり、ノルウェーのフィギュアスケート連盟が、ロシア人選手による独占状態に歯止めをかける口実を探している間に、日本は内容の強化に励み、それ相応の結果を出しているのです」。
「実際、エリザヴェータ・トゥクタミシェワ選手は、あらゆるステレオタイプを払拭し、選手としてのキャリアをより良い形で継続しています。ただトゥクタミシェワ選手は素晴らしいコーチであるアレクセイ・ミーシン氏に師事しているということもあり、数少ない例外ではないでしょうか。一方で、年齢制限が引き上げられれば、ジュニアのスケートがもっと面白いものになるでしょう。しかし、いずれにしても、女子選手には必ず思春期というものが訪れます。そして、残念ながら、多くの選手がシニアの大会に出場する前に引退を余儀なくされるのです。こうしたフィギュアスケートの難しさというものは、けしてなくなるものではありません。まもなく、日本人選手やアメリカ人選手も、4回転や3回転半ジャンプを跳ぶようになり、ロシア人選手の競争相手となるでしょう。ですから、年齢制限を引き上げても、あまり意味がないように思います」。
「選手というのは、17歳までに自分が将来進む道についてのイメージを持つために、スポーツにおける自身の限界を知る必要があります。その一助となるのが(その年齢より前の)シニア大会への出場です。もしそこで成功すれば、選手は迷うことなく、コーチとともに新たな目標を設定することができます。加えて、シニア大会の賞金の額はジュニアよりもはるかに高く、それも重要なことです。というのも、スポーツというものは、(シニアにとっても)ハードな鍛錬であり、特にフィギュアスケートには、レッスン代はもちろん、道具や衣装、移動費などに対する両親からの経済的援助が欠かせないからです」。
「ワリエワ選手は、高難度の技を取り入れながらも、非常に女性らしい演技ができるという珍しい例です。しかし、正直なところ、あれほどの才能に恵まれた選手は10億人に1人です。シニアの選手の中でさえ、氷上で、あれほどまでに自分の体を自在に操ることができる選手は見たことがありません。ワリエワ選手は高難度のジャンプだけでなく、素晴らしいスパイラルやビールマンスピンをこなしており、彼女には本当に感嘆せずにはいられません」。