再編「サハリン1・2」をめぐる状況

酷暑と「サハリン2」 日本のエネルギーが直面した2つの挑戦

日本では、通常より短い梅雨明け後に到来した猛暑と、「サハリン2」のLNGプロジェクトの予想外の展開により、おそらくやってくる電力危機の克服に向けた議論が白熱している。「サハリン2」のオペレーターの変更で日本を憂慮させているのは、プロジェクトに参画する日本企業の地位だけでなく、日本のエネルギー安全保障を脅かすリスクだ。こうした背景で日本政府は7月1日から3ヶ月間、全国規模の節電キャンペーンの実施を発表した。
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日本は節電は経験済み

夏の暑い時期や冬の寒い時は、エアコンやヒーターがさかんに使われるため、電力消費量が増加する。そのため、不要な電化製品や照明を消したり、洗濯物のまとめ洗いが奨励されている。
消費するエネルギーの53%を占めるのがエアコンだが、電力消費時のピークを避ける節電対策の対象はこのエアコンは入れられなかった。政府の呼びかけに日本企業も応え、エネルギーを最も多く消費する業務をピーク時から他の時間帯にシフトする、看板のネオンを消す、露出広告の照度を下げるといった協力を行った。節電した人には、ポイント制の特典が奨励されている。
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「サハリン2」、事業主体をロシア企業へ:懸念する理由はあるのか?
とはいえ、日本にはすでに省エネを経験済みだ。福島原発事故後に一気に数十基の原発が稼働停止となった時に初めて節約体制がしかれた。当時、電力消費を抑えるための工夫はいろいろ試行されており、公共施設でエスカレーターの一部が停止していたり、ほとんどの場所で不要な照明が消されていた。これを支えたのは主に、個人の快適さを犠牲にしてでも全体の利益に貢献しようとするという日本人の気質が大きな役割を果たした。

日本の危惧感をさらに増した「サハリン2」の再編成

6月30日、プーチン大統領は、大陸棚プロジェクト「サハリン2」のオペレーター変更を指示する大統領令「特定の外国および国際組織の非友好的な行動に関連した燃料エネルギー分野における特別経済措置の適用について」に署名した。
この大統領令により、サハリンエナジーの外国人株主である日本の三井物産(12.5%)と三菱商事(10%)の株式は新たに設立されるロシアの法人に移行される。事業に出資していた株主は、新会社の事業を継続するか否かを1ヶ月以内に決定しなければならず、継続しない場合は、株式は売却される。
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日本 「サハリン2」めぐる大統領令についてロシア側に説明求める=林外相
日本はこの大統領令に抑制した反応を見せた。岸田首相は、これが直ちに日本へのLNG供給停止を意味するものではないとの確信を示した。日本政府は次の段階を検討しているが、日本のメディアはこれに激高した論調を展開している。
北海道新聞は「日本の電力やガス会社はサハリンエナジーと長期購入契約を結んでいるが、今後はLNGの調達に影響する恐れがある。一方的な主張であり、ロシアは国際ビジネスでいっそう信頼を失うと言わざるを得ない。大統領令は商慣行や信義則に反し、到底容認できない。日本政府は強く抗議すべきだ」と主張する一方で、「日本政府は今回のような事態を予想できたはずだが、権益維持を強調するばかりで代替調達先を確保する表立った動きはなかった。見通しが甘かった面は拭えまい」と日本政府の落ち度を批判している。

ジレンマに直面する日本 専門家の見解

ロシアの特別プロジェクト「国家エネルギー安全保障基金」を率いるアレクサンドル・ペロフ氏は、日本は今回のロシアの措置は日本が西側の対露制裁に加わったために発生したことは理解しているものの、日本のエネルギー状況は燃料輸入に大きく依存しているために極めて脆弱であるという事実も理解しているとして、次のように語っている。
「日本はジレンマに直面している。サハリン2を放棄すれば、日本は世界市場で新たにLNG量を確保することに躍起にならざるを得ない。世界市場のLNG需要は、米国最大のLNG輸出ターミナルの一つが火災で被害を受け、その再建に数ヶ月かかることを考えると、今、極めて高い。LNGを他のエネルギー資源で代替することも日本はできない。石炭市場も極めて緊張度が高い状況にある。日本はロシア産石炭も禁輸しており、石炭先物価格は過去最高を更新している。危機脱却の唯一の策は、福島第一原発事故の後に停止している原子力発電所の再稼働で、これを多くの日本の専門家が主張している。しかし、日本政府にとって原発の再稼働は第一に急ピッチにはいかず、第二に技術的にだけでなく、政治的にも困難だ」
ペロフ氏は、日本がサハリンへの参画を堅持しようとするパターンもありえると考えている。日本は、撤退して空いた場所を中国がさっさと占めるということは非常に望んでいない。それに最悪の場合、現在、過去最高価格に達しているスポット市場でLNGを購入するはめになり、スポット購入したところで国内のすべてのガス需要を賄うことはできない。
日本経済新聞は、日本企業がサハリン2から一方的に撤退した場合の累積損失は試算で150億ドル(2兆円以上)にものぼると報じている。
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