今年上半期の世界の干ばつ被害、1.8兆円に=日経新聞

異常気象が世界各地の経済を打撃している。今年1月から6月期の世界の干ばつ被害額は1兆8千億円に達した。欧州では過去500年で最悪とされる干ばつが襲い、川の水位が低下。石炭の輸送量の減少へとつながった。ドイツはエネルギー危機対策として石炭火力に発電量増加を打ち出したが、早くも黄信号がともっている。日経新聞が伝えた。
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保険会社オーエンによると今年上半期の干ばつによる被害総計は全世界で132億ドル(約1兆8500億円)に上り、2019年から2021年同時期平均比の4.7倍増となった。
ドイツ政府は石炭火力の稼働を増やす方針を決めたばかりだが、ライン川が渇水で水位が下がり、石炭輸送に悪影響が出ている。欧州連合(EU)は8月の声明で、EU域内の64%が何らかの干ばつ状態にあると分析し「少なくとも過去500年間で最悪の状況」と指摘。感想は11月まで続くという。
中国四川省では今年の降雨量は例年の半分以下で、電源の8割を占める水力発電の稼働が低迷している。水力発電の4割じゃ区は近隣の重慶市、沿海部の上海市や江蘇省などに送られており、電力不足は他地域にも波及した。また米アップルのiPadの組立工場が一時操業中止。トヨタ自動車の乗用車工場も稼働を止めた。
一方で洪水も頻発しており、パキスタンでは豪雨による洪水で国土の3分の1が冠水。6月以降の死者数は1100人を超えた。南アフリカでも4月の洪水で400人超が死亡した。
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専門家は異常気象の背景に地球温暖化があると指摘する。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究グループは、英国で7月に40度を記録した熱波に関し「人為的な機構変動により少なくとも10倍起こりやすくなった」と分析。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2021年に公表した第6次報告書によると、1950年代以降に世界のほぼ全地域で猛暑が増えている。
国立環境研究所や東京大学などは6月、未曽有の干ばつが各地で常態化するとの予測を公表。河川の流量予測分析などを基に21世紀半ばまでに地中海沿岸や南米大陸南部などで「過去最悪の干ばつが5年以上続く」可能性が高いと結論づけた。
穀倉地帯の水不足は食糧供給を直撃し、欧州委員会ではトウモロコシの収穫量は過去5年平均比で16%、大豆は同15%減少すると推計している。
東京大学の芳村圭教授は「気候変動対策の強化に加え、貯水池などの水資源管理や乾燥に強い農作物への転換など、異常気象への適応策を計画的に実施することが必要」と指摘している。
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