研究では1987年~2009年までの19人の米国大統領を対象に行われた。それぞれの性格を明らかにするために、伝記作家らに依頼し200以上の質問があるアンケートを記入してもらった。頑固さや娯楽好き、遠慮や率直性のなさなどがナルシスト傾向に帰するとして、分析を進めた。
その結果、ナルシスト傾向の強い8人の大統領は任期中に平均で613日間戦争をしていたのに対し、ほかの11人の任期中の平均は136日間だった。ベトナム戦争を拡大させたリンドン・ジョンソン元大統領(1963~1969年)、棍棒外交を進めた元軍人のセオドア・ルーズベルト元大統領(1901~1909年)、東南アジアやチリで軍事干渉を行ったリチャード・ニクソン元大統領(1969~1974)らがトップ3となった。
ナルシストの大統領が戦争をやめられるのは、勝利を宣言できるときのみであることが長期化の原因かもしれないと論文は指摘する。どんな犠牲を払ってでも何かしらの成果を得ようとして戦争を拡大していくのだ。こうしたリーダーたちは自らの利益と国益を分けて考えることができないのも理由の一つだとしている。
また、この論文の著者は以前にもナルシストの大統領が同盟国の支持なしに紛争を激化させる傾向があるという研究結果を発表している。今回の論文では、戦争の原因には様々な要因があるが、大統領のナルシスト傾向が戦争長期化を招く重要な要因の一つであることが分かったと指摘している。
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