グロモフ氏は、OPECプラスが今年11月以降の大幅減産を決めた理由は主に2つあると指摘した。1つ目は、過去数か月連続で生じている供給過剰。産油国は過去数か月にわたって世界の石油市場で供給過剰に直面している。つまり、世界市場では現在、石油が余っているが、その需要は減速している。グロモフ氏によると、この点においては1年間の大部分の期間に実施されていた新型コロナウイルス感染症の制限もその役割を演じというた。2つ目は、米国の戦略石油備蓄の積極的な放出だ。グロモフ氏は、米国は今年4~5月から自国の戦略石油備蓄を1日あたり最大100万バレル放出しており、世界市場での石油の供給を補充していると説明した。
グロモフ氏は、OPECプラスの国々が日量まさに200万バレルの減産を決めたのは偶然ではないと考えている。同氏によると、OPECプラスは今年9~10月まで段階的な増産の意向を表明していたが、実際には実行しなかった。
「結果として、今年9月までにOPECプラスの国々で生産されず蓄積されている石油の量の合計はすでに1日あたり100万バレルを超えた。別の言い方をすると、OPECプラスが今年11月から日量100万バレルを減産すると発表したならば、市場では何も起こらなかっただろう。しかし日量200万バレルの減産は、OPECプラスが達成しようとしている世界の石油市場の価格を上昇させる」
グロモフ氏は、ロシアはOPECプラスによる大幅減産を意図的に呼びかけたとの見方を示している。
「ロシアは今年12月から輸出が制限されるため、いずれにせよ自国の生産量を制限しなければならなかっただろう。したがってOPECプラスの減産合意に加わることは、ロシアにとって非常に優雅で美しい決定だ」
グロモフ氏は、日量200万バレルの減産に関するOPECプラスの新たな合意は原油市場の状況を変えるとの見方を示している。
「過去数日間で原油価格は1バレル=90ドル(約1万3000円)を割り込み、一時は1バレル=80ドル(約1万1600円)に近づいた。これは少なくとも中期的展望で石油産業の投資の魅力を維持するために自分たちにとってより快適な価格水準で原油価格を維持することを望んでいるOPECプラスの国々にとっては不満なことだ」
日本政府は先に、石油備蓄の追加放出について、米国や他の関係国、国際エネルギー機関(IEA)の動向を注視しつつ、適切な対応を取っていくと発表した。
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