ウクライナ、ロシア元大統領らを指名手配 露外務省「テロリストのやり口」と強い不快感

ウクライナ保安庁(SBU)は10日、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領ら露政治家、高官を指名手配していると公表した。これに対し露外務省のマリア・ザハロワ報道官は「SBUのやり口はテロリストのそれを想起させるものだ」と自身のSNS上で述べ、強い不快感を示した。
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ウクライナ内務省の公式サイトによると、SBUは10日、国家安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ元大統領のほか、露外務省のザハロワ報道官らを「3月からすでに」指名していると公表。容疑は「ウクライナの領土的一体性を侵害した罪」などとしている。
このほか、ショイグ国防相、ボロジン下院議長、マトビエンコ上院議長、ボルト二コフ連邦保安庁長官、ナルイシキン対外情報庁長官、パトルシェフ国家安全保障会議書記、コナシェンコフ国防省報道官ら、有力な政治家や軍関係者らが指名手配の対象に加えられた。
「ノルドストリーム」の爆破工作
米国務長官は「ノルドストリーム」の破壊の米国とNATOの動機について公然と表明=ザハロワ報道官
この報道の後、ザハロワ報道官は自身のSNS上で、ISIS(ダーイッシュ)やアルカイダ(いずれもロシアではテロ組織として活動が禁止されている)などを引き合いに出し、SBUへの強い不快感を露わにした。

「SBUのやり口はISISやアルカイダのそれを想起させる。それもそのはず、これらの組織の発生源は同じなのだから。世界は知っている、マイダンの残忍な者たちがビクトリア・ヌーランドの血塗られたピロシキで育て上げられたことを」

マイダンはウクライナで2014年、暴徒らによって当時のヤヌコーヴィチ政権が転覆させられたクーデターを指す。この政変は現在のウクライナのネオナチ政権によるドンバス地域の住民に対するジェノサイドの発端となった。当時、米国務次官補だったビクトリア・ヌーランド氏はキーウ(キエフ)を訪問し政変を支援するなどし、ウクライナに米国の傀儡政権を作った立役者として知られている。ISISやアルカイダの誕生も米国のイラクやアフガニスタンへの介入が遠因だとされている。
メドベージェフ元大統領も報道官を通じて「彼らには穿頭術(せんとうじゅつ:古代ギリシャなどから伝わる頭蓋骨に穴を開けて精神疾患を治す民間療法)が必要になったようだ」とSBUによる指名手配を揶揄した。メドベージェフ元大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領が北大西洋条約機構(NATO)によるロシアへの核の先制攻撃の必要性を主張した際も、「彼に先制的な穿頭術を行わなくてはならない」と発言していた。
ウクライナでの露特別軍事作戦
ウクライナにおけるインフラ施設への攻撃
ここ数日、ロシアとウクライナの対立は激しさを増している。
ロシア南部のクリミア半島とクラスノダール地方のタマン半島をつなぐクリミア大橋で8日、貨物自動車が爆発し、大規模な火災が発生。3人が死亡したほか、橋の一部が崩落した。
翌9日、ウラジーミル・プーチン大統領は、クリミア大橋の爆発がウクライナの特務機関による「民間インフラの破壊を目的としたテロ行為」だと表明。10日には露軍がウクライナの軍事、通信、エネルギー関連施設に対して長距離精密兵器による集中攻撃を行ったと明らかにした。
プーチン大統領は「ロシア連邦領内でテロ行為を実行する試みが続く場合、対応は厳しく、そして脅威のレベルに合致したものとなる」と警告している。
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