この問題については、「沖縄タイムス」紙にも掲載され、複数の活動家らが、こうした発言を「ヘイトスピーチ」であり、世代と世代の間に分断の種を蒔いているとしてひろゆき氏を非難している。10月3日、ひろゆき氏はツイッターに、米軍基地の移転が計画されている名護市辺野古周辺に立てられた「新基地断念まで座り込み抗議3011日」と書かれた看板の写真をアップした。しかし、この現場に抗議者が誰もいなかったことから、ひろゆき氏は、「0日にした方がよくない?」と嘲笑したのである。
この書き込みに対しては、玉城デニー沖縄県知事も反応した。玉城氏は、沖縄だけに多くの米軍基地を配置することは、島の住民たちにとって不平等に大きな負担になると訴えている。
知事は、ひろゆき氏の発言には、すでに3000日以上にわたって抗議を続けてきた人々に対する敬意が感じられないとして、落胆したと述べている。
またその後、ひろゆき氏は、インターネット掲示板2ちゃんねるで、「沖縄の人って文法通りしゃべれない」、「きれいな日本語にならない人の方が多い」などと、沖縄の人の日本語を否定するような意見を投稿した。
沖縄キリスト教学院大学の新垣誠教授は、「非常に危険だ。日本軍は『標準語』ではない沖縄の言葉を話す住民を虐殺した」とひろゆき氏を批判した。
新垣教授は、ひろゆき氏の日本語に関する発言を「沖縄の言葉を奪ってつくった言語的特権に基づく差別、 侮蔑だ」と非難。また、「ひろゆき氏の言動は、人の苦しみを面白おかしく扱う日本全体の病んだ風潮を象徴している。沖縄の若者もヘイトスピーチやデマに影響されかねず、上の世代との間に分断の種がまかれてしまった」と指摘した。
10月7日に2ちゃんねるで行われたこのテーマでのオンライン・ディスカッションには159万人がフォロワーが参加した。
視聴者との会話はおよそ3時間におよんだ。参加者の多くが沖縄の米軍基地問題に詳しくなかったことから、ディスカッションに対する感想のほとんどは肯定的なものであったものの、このやりとりはさまざまな反応を呼び起こした。
今日も面白いお話ありがとうございます!
沖縄県民です! 色々言ってくれてすっきりです! ありがとうございました。
ひろゆき君の配信は心のお薬になっています!
などといった好意的な反応もあったが、批判的な意見もあった。
おじいちゃんおばあちゃんに24時間座り込みができますか?って話。 本当、現地の人たちの気持ち汲み取ってあげてよ。
ひろゆきさん、やっぱり見えてる世界が狭いですね。自分が目にしたものが全てであるかのように錯覚して結論を出し、しかもそれを公共に場で断言するんですね。これもスパチャ狙いなのでしょうか。
ひろゆきのあの行動は解決に繋がる行動ではないし、寧ろ逆効果だった ただ冷やかしたいっていう子どもじみた好奇心で出た行為をわざわざ正当化しなくてもいいんじゃない?無理しないで大人ぶらなくてもいいんだよ?
個人的に今回の騒動はどうでもいいんだけど、「沖縄の人は綺麗な日本語を話せない」って言い方はどうかと思うわ。
話してたら沖縄県民か本土の人かは喋り方でわかる、って言いたいのは分かったけど、いくらなんでも言い方がひどすぎるよ。
沖縄の人でも綺麗な日本語を話せる人はたくさんいます。一括りにして馬鹿にするような言い方をするのはどうかと思います。そもそも日本人で正しい文法、綺麗な日本語を話せる人ってどれくらいいるんですか。
ひろゆき氏の人気は世論調査でも明らかになっている。
2022年5月にLINEコーポレーションが、15歳から24歳の若者を対象に行った調査では、「もっとも信頼できる有名人は誰ですか」との設問で、ひろゆき氏は、ユーチューバーのヒカキン氏についで2位となった。
また2022年7月に、ユース・タイム・ジャパン・プロジェクトの枠内で実施された高校生を対象にした調査でも、「首相になってほしい有名人」として、男子生徒の多くがひろゆき氏の名を挙げた。
こうした状況について、極東歴史考古学民俗学研究所のエレーナ・ゴリャチェワ研究員は、次のようにコメントしている。
「歴史的な経緯をここで語るのは適当ではないと思います。沖縄が19世紀末に日本に返還されて以来、『日本化』の主な手段となったのは標準語の導入でした。最初の大学が開校したのは、第二次世界大戦後のことですが、学校の数も増え、専門学校も作られました。
教育の主要な内容は日本語の習得と日本の天皇に対する忠誠心を養うことでした。現在、日本のほぼすべての住民が、少なくとも義務教育レベルの日本語を知っています。とはいえ、日本語には、多くの方言があり、その中にも地域方言というものがあり、日本語が統一されたものだということはできません。
またすべての日本人が学校に入れば、標準的な日本語を話すようになりますが、日常生活、家庭、近しい人々の間では―これは日本だけではありませんが―、方言や地域方言など、書き言葉とは異なる言葉を使います。外国語を勉強している人が、その言語の国に行っても、地元の人々の話す言葉がまったく分からなかったという話もあります。
それはまさに、勉強してきた外国語が書き言葉だからです。しかし、私は、ひろゆき氏は、日本語がうまく話せない沖縄の人々を意図的に侮辱したり、軽蔑しようとした訳ではないと思います。
ブログの世界では、議論をしたり、意見を戦わせようとする扇動的な問いかけという手法があるのです。たとえその内容が非常に興味深いことであっても、淡々と静かに話したのでは大きな反応はえられません。ブロガーにとって、視聴者のリアクションは生を与える水分のようなものです。ひろゆき氏は、自身に満ち、ホットなテーマを理解し、リスナーたちと1対1の形で会話をする能力を持っているからこそ、インフルエンサーになったのでしょうから・・・」。