行き詰まる基地問題 沖縄の米軍基地移設問題に解決策はあるのか?

© 写真 : Simon Desmarais沖縄の米軍基地
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在日米軍海兵隊の軍用飛行場である普天間飛行場の県外移設を強く求める玉城デニー氏が沖縄県知事選で再選を果たした。これを受けて、政府は再び、普天間基地の移設先として唯一可能なのが、沖縄県の辺野古であるとの考えを改めて明らかにした。
そこで当然湧き上がってくるのが、沖縄の住民たちが長年にわたり、米国の軍事施設と隣り合う危険性に激しい抗議を続けているにもかかわらず、なぜ日本政府はこの問題を未だ解決することができないのだろうかという疑問である。
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日本問題の専門家であるワレリー・キスタノフ氏(ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所所属)は、米軍基地が近くにあるということは、民間人にとっての安全に対する当然の懸念を呼び起こすものであることから、沖縄の人々の不満は正当なものだと指摘している。
「沖縄は日本の領土のわずか0.6%ですが、国内の米軍施設のおよそ80%がそこに集中しています。沖縄には美しい海岸がありますが、基地の存在は何より環境に多大な損害を与えるものです。しかも、米軍の軍用飛行場と隣り合うということは、精神的な負荷を感じるということです。というのも、沖縄は(日本全体も同様)米国防総省にとって、アジアおよびインド太平洋地域全体で軍事作戦を実施するための重要な拠点だからです。従って、沖縄の住民は軍事紛争が起きた際に、中国や北朝鮮のミサイルの攻撃にさらされることを恐れています。これが、沖縄県民が、政府に対し、こうした(米軍基地が置かれていることによる)負担を少しでも均すことが必要だと訴えている理由です。つまり、基地を日本領土全体に分散するよう求めているのです」
しかしながら、沖縄県外に住む日本人が米軍基地の他県への移設に同意することはないだろう。加えて、そのような基地移設の「シナリオ」に米国が納得するはずもない。
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米国は、他でもない沖縄に強力な軍事インフラを必要としており、それには重要な理由があるとワレリー・キスタノフ氏は指摘している。
「軍事行動が起きれば、米国にとってアジア全体がいわば『手の届く場所』になるのです。その第一の場所は朝鮮半島です。しかし、重要なのは、沖縄の米軍基地の戦略的意義は、台湾をめぐる情勢が前例のないほど悪化したことで、急激に高まったことです。事態は、中国が(ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に対する)報復措置として、初めて、台湾周辺海域に向けて弾道ミサイルを発射するというところまで深刻化しています。しかも、発射したミサイルのうちの5発が、日本の排他的経済水域に着弾しました。これは沖縄に含まれる島に近い水域です。たとえば、ミサイルは、台湾から100キロ強に位置する(沖縄からよりも近い)与那国島の近くにも落下しました。もちろん、このことは沖縄県民を憤慨させています。ですから、米国の空軍部隊が文字通り、沖縄県民の頭上を飛行し、多くの問題を生んでいるにもかかわらず、米国が今、沖縄の基地をその一部でさえも県外に移設することはないのです」
しかも、一部の基地を沖縄北部に移設するというのも、最良の解決策ではない。なぜなら、そうなれば、海上に埋め立て式の滑走路を建設することが必要となるからだ。またこれは、地域のユニークな動植物に悪影響を及ぼすことから、新たな環境問題を引き起こす危険も孕んでいる。
しかも、沖縄は、米国の軍事拠点としてではなく、ユニークな自然を持つリゾート地として、順調に発展することができる地域である。しかし、日本政府にとって、これが今後数年の優先問題でないことは明らかである。まさに数日前に、東シナ海域に、新たなリゾート地ではなく、大規模な弾薬庫を整備する計画であることが明らかになった。
その目的は、台湾海峡での危機勃発への準備である。またこれに関連し、日本の防衛省は、沖縄で港湾施設と燃料備蓄を増大する計画を検討している。これは浜田靖一防衛相が、日経新聞からのインタビューに応えた中で、明らかにしたものである。
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日本の防衛省は、最近、弾薬不足の脅威に懸念を示している。というのも、現在、保有する弾薬の数は、活発な軍事行動を行った場合、最大で2カ月しか持たない(日経調べ)ことが分かったからだと日経は報じている。
このように、沖縄の人々を長年悩ませている米軍基地移転の問題は解決されないものと思われる。
沖縄県民にとっての唯一の慰めは、平時に輸送機オスプレイが飛行することについてしばらく心配しなくてすむということだけである。米空軍は、事故の多発を原因に、オスプレイの飛行中止を決めたからである。ただし、沖縄での(台湾情勢および地域情勢の激化に備えた)燃料備蓄の増大は、沖縄県民に新たな恐怖を生む可能性がある。
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これに関連し、キスタノフ氏は次のように述べている。
「沖縄にレーダー機器が配備されているところを見ると、ここには対ミサイル・対艦システムが配備されようとしています。これは、日本のこの地域での米国軍の存在が強まる一方であることを証明しています。つまりこれは、(たとえば中国との間で)軍事紛争が起きた場合、他でもない沖縄に報復攻撃が向けられるということを意味しています」
これは、5月に返還50年を祝った沖縄にとってけして嬉しいことではないだろう。しかも沖縄の人々は、「誰かの話からではなく」、身をもって、戦争とは何かを知っている。というのも、第二次世界大戦時、日本国内における激戦は他でもない沖縄で行われたからである。
そして今、米国が沖縄で、戦争に勝利するためではなく、日本国民を守るために、「完全武装」していることは、運命の皮肉である。しかし、沖縄の人々がそのような安全のために支払う対価はあまりにも大きすぎないだろうか。なぜなら、米軍基地とともに、沖縄の人々は敵にとっての目標物になるリスクを負っているからである。
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