安全保障問題の解決に向け、断固とした姿勢をとる日本

© AP Photo / Shizuo Kambayashi日本の兵士、防衛省の隣に(アーカイブ写真)
日本の兵士、防衛省の隣に(アーカイブ写真) - Sputnik 日本, 1920, 10.09.2022
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日本が、国の弱点となっている防衛問題に本腰を入れて取り組む決意をしている。そのきっかけとなっているのは、台湾をめぐる緊張が高まりである。今後、比較的、台湾から近い島々だけでなく、中国が自国領土だと主張している尖閣諸島も、脅威に晒される可能性がある。こうした問題の解決に向け、日本の防衛省は2023年の防衛費を増大させる意向を示した。
防衛省は、8月31日に決定した2023年度の概算要求で、過去最大となる5兆5947億円を計上した。また金額を明示しない防衛力強化に向けた「事項要求」を100件以上、盛り込んでいる。予算の一部は、射程を伸ばした巡航ミサイルの大量生産、部品不足の解消、弾薬や燃料の確保などの目的のために使われる。2022年度の予算は5兆4005億円で、これはGDP(国内総生産)の1%以下であった。
これに関連して、日経新聞は、日本政府は2023年から2027年までの中期防衛力整備計画の枠内で、防衛費を過去最大の30兆円代に引き上げる意向であると報じている。
日本自衛隊 - Sputnik 日本, 1920, 08.09.2022
日本の防衛省は自衛隊を十分に評価していないのか?
9月2日、防衛省は、台湾周辺の島々の防衛力を、防空および電子戦によって強化する計画を発表した。とりわけこれは、台湾から110キロの場所に位置する与那国島に関するもので、ここが緊張の最前線となる。また、日本政府は、石垣島にも、陸上自衛隊の警備部隊および地対艦・地対空ミサイルの運用部隊を配備する計画である。2019年には同様の部隊が宮古島に配備された。こうした部隊の配備が必要であることは、中国空軍が定期的にこれらの島々を飛行していることからも明白なことである。中国が8月初旬に実施した大規模な演習の過程では、射撃に際し、複数の弾道ミサイルが、日本が自国の経済圏とみなしている海域に落下した。
日本は地域の平和と安定の破壊者になりつつあるのか?台湾周辺で電子戦を強化する日本政府の計画について専門家が語る - Sputnik 日本, 1920, 02.09.2022
日本は地域の平和と安定の破壊者になりつつあるのか?台湾周辺で電子戦を強化する日本政府の計画について専門家が語る
これに関連して、「スプートニク」からのインタビューに答えた極東研究所日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員は、「ここには2つの局面がある」と指摘する。
「第一に、日本は実際、意図的にあるいは意図的でなく、中国または北朝鮮が煽動する可能性がある軍事紛争に巻き込まれるかもしれないということを深く懸念しています。北朝鮮には長期的な軍事行動を行う十分な経済力はありませんが、中国には十分あります。ですから、現在、この地域における主なリスクの要因は台湾です。こうしたことを背景に、日本の防衛省は自衛隊の戦闘能力が潜在的な侵略者に対抗するのに十分であるかどうか分析を行い、その結果に衝撃を受けました。潜在的に危険な地域には、紛争が起こったとき、機動的に使える装備も武器も足りていないことが分かったのです。ついでに申し上げれば、現在、日本はロシアからの軍事的脅威は感じていません。日本は最近行われた露中の軍事演習を注視してはいましたが、それだけです。中国に対する懸念はそれよりはるかに大きいものです。中国に比べ、日本の軍事的潜在力はかなり劣ります。日本は長い間、米国の援助に頼ってきたわけですが、地政学的情勢は変化しており、日本の防衛省は防衛費を倍増するという決定を押し通そうとするでしょう」
2つ目の局面としてカザコフ氏は、日本政府は、平和主義で知られる日本の世論に対し、防衛力強化の必要を訴えかけ、自衛隊が現代の脅威に対抗できない状態であることを知らせようとしていると指摘する。
台湾は防衛費を増大し、中国無人機に実弾警告射撃を行った。今後、情勢が激化する可能性はあるのか? - Sputnik 日本, 1920, 01.09.2022
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「自民党は、かなり以前より、憲法を改正し、先制攻撃を行い、日本の領土以外の場所で軍事作戦を実施できるようにするべきだと主張しています。こうした情報をメディアに流すことは、他でもない世論に防衛力強化の必要性を訴えかけ、人々に、そのためには憲法改正が必要であり、防衛費の大幅増額が必要であると思わせるためのものです。まず開かれた話し合いが行われ、その後、社会の論調を変え、そこから、日本という国を、自国の軍を持ち、侵略者に対抗できる軍事力を持った完全なる大国にするための準備を整えていくわけです」
そうした試みあるいはそうした発言に対して、中国から激しい批判を行なっているとカザコフ氏は付け加えている。しかし、武器や軍の人員に関するデータを見れば、日本が中国からはるかに遅れていることは疑いようのないことである。日本はナショナリズムや軍国主義を復活させているという中国の非難は、自国の国民に対するイデオロギー的な働きかけに過ぎない。
国際戦略研究所の統計によれば、中国人民解放軍の人員数は、予備役を合わせて、300万人を超えているが、自衛隊の人員は予備役を合わせても30万人を少し上回る程度である。また、ストックホルム国際平和研究所の統計によれば、2021年、中国の軍事費はおよそ2930億ドル(約41兆円)で、世界で第2位となっている。しかも、中国の軍事費は27年間、連続で増大している。一方で、2021年の日本の防衛費は541億ドル(約7.6兆円)となっている。
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